新型チャンバー

G-Motion用ムラクシ純正の新型チャンバー*1がもうじきリリースされるらしい。
記憶にある限りでは、G-Motionのチャンバーは04-I型、04-II型以降(現在のST-Iに採用されてるもの)の2回変更されてたはずで、今度のチャンバーで3回目の変更になる。
噂によれば、「噴けがよくなり、上もしたもよく回る」「ナチュラル/グーフィーにそれぞれ対応」「取り付け口の変更により、E-TONにも付く」らしい。
 
すでにGo-PED用X-CANのチャンバーを取り付けている人や、自分で木型を作るところから初めて棺桶型チャンバーを自作鋳造しちゃった人などがいる。まあ自作する人は極稀な人というか、以前にもOリングを自作したスキルの持ち主なので例外としても、X-CAN装着者はもう結構いる。
みんなスキモノだなぁ、と思う(^^;)
 
G-Motionの楽しみ方というのはいろいろあって、最初は「とにかくどうやって乗ればいいのかわからん」という、入門者的楽しみがある。いい大人がすっ転んで身体中に痣や瘡蓋を作って泥だらけ芝だらけになるわけで、これがまた結構楽しい。
そのうち乗ってまっすぐ走れるようになってくると、今度は左右に曲がる(ステアリング)の仕方を覚えるようになる。最初は緩いスラロームで車体制御を覚えて、キツイスラローム、そしてターンに進む。このへん、最初は「幅が広くて長い道」もしくは「50〜100m四方くらいの広い場所」で練習した方がいいし、そのほうが楽しい。
 
で、乗れるようになってくると、今度は別の楽しみが出てくる。エンジン、その他の改造というもの。改造といっても、いきなりシリンダを磨いてボアアップする、というところまで行くわけではなくて、最初はエアクリーナーの交換だったりステアリングダンパーの装着だったりする。最初はおっかなびっくりだった人も、組んだりバラしたりのメンテナンスを繰り返すうちに、プラモデル(しかも自分が乗って走れる)を作っているような気分になってくる。男の子(笑)というのは、だいたいがネジを締めたり工具を振り回したりするのが好きなのである。子供の頃、ラジオや目覚まし時計を分解してネジ余らせて悦に入ったりしていた経験のある人なら、エンジンに高度な知識がなくても充分にハマる。
そのうちに、エンジンの換装やらチャンバーやらに手を出すようになる(笑)
 
そうして改造によってポテンシャルが引き出され、より高速が出るようになってくると、今度はそれを乗りこなすのが酷く難しくなってくる。極論すると、出荷時のノーマル状態、つまりは低速でとろとろ走るくらいが「安全」なわけで、それをチューンによってタガを外していくと、マシンのポテンシャルは引き出されていくものの、それを制御するのは別次元の乗車技術が求められるようになっていく。タイヤが付いててハンドルとブレーキとアクセルがあるという点は同じなのに、公道を走る一般車と300km/hで突っ走るF1ではまったく別種の運転技術が必要なのと同じことだ。(例えは極端だが、方向性は合ってると思う(^^;))
バイクと違って足、膝だけで車体を制御するこの乗り物は、25〜30km/hを超えると急に制御が難しくなる。転倒しやすいし、転倒時の怪我も洒落にならない。そうすると、オーバースペック気味のポテンシャルに、今度はユーザーが付いていけなくなり始める。そうなると悔しいので、またまた練習練習を重ねていく。(でもそろそろヘルメット必須じゃないかなという気はしている。20km/h台ですっ転んで「痛ェ〜」と笑うのと、40km/hで転ぶのとでは、ダメージが全然違う。頭に何かかぶってないと危ない)
 
で、まっすぐ走って曲がって止まれるようになってきたあたりで、進む道がだんだん分かれてくる。これは性格や好みの問題もあると思うが、
「ラフロード&オフロード走行を極める人(オフロード派)」
「ウィリー、エアなどトリックをしたくなる人(X-Sports派)」
「燃料が続く限りどこまでも行きたくなる人(ツーリング派)」
「エンジンを極めて速度記録に挑戦したくなる人(メカニック派)」
に、なんとなく分かれていくようだ。現時点で「レース派」と「ジムカーナ派」が出てこないのは、競技ルールやサーキットなどインフラ/ルールのコンセンサスなどの未開拓の問題があるからではないかなーと思うが、ジムカーナ派はX-Sports派からの分派として、レース派はメカニック派の発展形として、いずれ出てくるだろう。なぜか共通の趣味にサバイバルゲーマーが多かったりもするので、いずれはジムカーナ派のさらに分派として「流鏑馬派」も出てくるのではないだろうか。個人的にはツーリング派の発展形としての「オリエンテーリング・ツーリング派」も登場するのではと思うが、なにせ走行可能な場所が限られているため、なかなか難しい。
 
今のところ、ユーザーが一堂に会する機会というのがなかなか設けられないのと、せめて二人、三人くらいで集まって同一ルール上で何かするというところまでユーザー人口とユーザースキルが揃ってこないので、競技をするというのはまだまだ先のこと。
やはり、「一人で楽しむ」のが主眼になってしまいがちだ。
それ故に、「車体の挙動と制御を楽しむ(オフロード派/X-Sports派)」や「自分の決めた目標をクリアする」遊び方(人と競わない)が今の主流なのは致し方ないかもしれない。
究極の一人楽しみが「改造」にあるわけで、これはエンジンを掛けなくてもできる(笑)。
 
G-Motionまたはレプリカを、完全無改造で乗っている人はむしろ少ないかも知れない。多かれ少なかれ、みんな何かしら手を入れている。それはその人のスキルによるので、エンジン換装という大技から、車体塗装、ストッパーの装着といったささやかなものまで多種多様だ。
が、この「自分でいじる」という感覚が楽しみ方の重要なポイントかもしれない。
一人ワークス(それはプライベーターだw)気分というか、あくまでベース車として手に入れた車体にどう手を入れていくか、とか。差別化のためのオリジナリティ追求であったり、自分の都合や便利、趣味に合わせた改造でだんだん独自性が出てきたり。
公道を走れないというのは確かに不便だし、できれば走れるといいなあ、という気持ちもある。
が、そういった人目に付かないところで密かに弄り倒す大人の秘めたる趣味として、この乗り物は丁度良い。

*1:SINさんによると、ムラクシ(日本国内の総代理店)の社長さんの古いご友人で、スノーモービルのチューナーをされてる方による設計・製作らしい。