ネタ整理

Θが近いのでネタ整理。
聞いたときにはあんまり恐くなかった話が俄然恐く見えたり、その逆もあったり。
毎度のことながら思う。体験談というのは酒に似てる。
ヌーヴォー、新酒としてできたて聞きたてを出してしまった方がいい話もあれば、貴醸酒や泡盛、バーボンなどのように、寝かせておくと熟成してくる話もある。僕は体験談をため込むネタ帳を「カーヴ」に見立てることがあるのだが、まさにそれ。
今回は2〜3年寝かせてあったネタも開栓してみようかと思っている。
でもたぶん、書き始めるギリギリまで「あれでもないこれでもない」と出したり引っ込めたりしていそうな気がする。(いつもそう)


そういえば、ネタ整理をしていて「怪談の卵」に分類されるようなものがいくつか出てきた。怪談の卵とは、「怪異は発生していないが、明らかに以前に何かあった痕跡がある」または「絶対にこの後に何かの怪異に続きそうな気がする。が、まだそれは起きていない」というようなものを僕は便宜上そう呼んでいる。
それはまだ怪談じゃないので本来なら何かが起こるのを待つべきなのだろうけれども、「絶対なんかあるよ!」「おかしいよ! 違和感感じるよ!」といったものなんで、相当マニアックというか超上級者向け(笑)。
全身の怪談受信センサーが常に全開で、体中のむき出しの粘膜をさらけ出しているような人しか楽しめない、あんまり一般的ではない話のような気がする。
ある意味、「超」怖い話にも使いにくいくらい。
ということで、これまたしばしお蔵入り。
今はきっと「まだ早い」のだと思う。


また、でかすぎる話、長すぎる話というのもある。
これまでに「超」怖い話に書かれた最長の話はたぶん「方法とその効果について(19P)」だと思うのだが、今手元にある話の幾つかは、実際に書いたら19頁は間違いなく超える。「超」怖い話で扱うには分量的に大きすぎ、さりとて1冊にするにはたぶん足りない。帯に短くたすきに長い話だが、いつかそういう機会があると信じたい。


聞きかけになっている話もある。
何度かに分けて伺っている途中のもの、その相手からの連絡が途絶えてしまうもの、数年越しで年に一回くらいの割合でぽつりぽつりと続報が届くものなどもある。
全部揃うのにきっとまだ時間がかかる。これも「まだ早い」のだろう。


夏が始まるよ〜というのは、昔はもっと清々しくて爽やかなものだった気がするのだが、最近はどうにもべっとりねっとりである。