寝床でシャカリキ!

ツール・ド・フランスもうすぐ始まっちゃうよ記念、寝床でシャカリキ!を読破する自転車強化週間ということで、シャカリキ!後半9〜18巻を一気読み。
いやあ……久しぶりに読んだら、やっぱりゼハゼハと息が上がった。
曽田正人の漫画は読んでて大変疲れる(笑) もう、自分がペダルを漕いでいるかのような興奮が。この漫画が描かれた92〜95年の時点では、ロードレース界の哲人はイノーだったりヘレラだったりするところが時代を感じさせる。ツールで5回優勝だった。5回だってモノスゲーのだが、記録はいつだって塗り替えられるもので、イノーたちの後にランス・アームストロングという超級のスーパースターが現れる。昨年までの間に、アームストロングはツール・ド・フランス7連覇というのをやり遂げるわけで、まさに前人未踏、そしておそらくはもう破られることはないだろう、という大記録を打ち立て、昨年限りで引退したそうな。
でも、「ムリ。絶対ムリ」と思われていたイノーの記録を、そのアームストロングが塗り替えているわけで、いつかアームストロングの記録を塗り替える誰かが出てくるのかもしれないと思うと、やっぱり(;´Д`)ハァハァする。


記録の塗り替えっていうのは、これはロードレースに限った話じゃないんだけど、「これ以上はムリ」と思った人間から順に抜けていって、「まだやれることがある」と考える人間がいつまでも残っていき、その副産物として「気が付いたら更新してました」っていうようなものなのかもしれんなあ、と思う。


フランス人のイメージというとボンジュールだったりエスカルゴだったりフランスパン*1だったり。まあどちらかというと軟弱な優男のイメージがまとわりつく。
欧州人から見た日本人のイメージと言えばメガネで出っ歯で首からカメラのガニマタでチビの背広男というステレオタイプなものが、今も残っているらしい(笑) もちろん、こっちもドラマ、コミックに出てくるフランス人といったら「鼻持ちならない軽薄で女好きでプライドだけが高くでブロンドでバラをくわえている」だと思ってるわけだから、そのへんはどっちもどっち。

が、現実のフランスに絡んで行われるものと言えば、フランス全土を回るロードレース「ツール・ド・フランス」、「パリ・ダカール・ラリー」、「フランス革命」いや、これは競技じゃないか(^^;) ともあれ、「ライバルはいる。しかし最大のライバルは自分自身」というような、きつい競技がけっこう目白押し。それらが世界的な競技に昇華したことで、最近はフランス人自身はなかなかランキングには顔を見せないが、「己に負けたものは当然ライバルだって負ける」というストイックな競技は、実はフランス人は結構好きなのかもしれんなあと思った。シラク大統領を始めパリ万博以降のフランス人には、若干の日本びいきまたは「日本趣味」が残っている。19世紀のそれについていえば、シノワズリーの一環なのかもしれないけど、日本人が「武士道精神=ストイックさをよしとする」を尊んでいたことについて、フランス人も似たものまたは共感するものを持っていたのかも、とかいろいろ想像は広がる。


話はツール・ド・フランスに戻って。
今から15〜18年くらい前だったと思うんだけど、当時ゲーム好きの友人が持ってた輸入もののテーブルゲームで、その名もズバリ「ツール・ド・フランス」というゲームがあった。

  1. 双六のようなロードマップはなく、プレイヤーは自分の分身である自転車選手(といっても、数字が書いてあるだけの円筒形のチップ)を一列に並べる。
  2. 山からカードを引いていって、そのカードを手元に3枚だか5枚を上限として持っておき、上限を超えたカードは場に捨てていく。
  3. カードには、「○台抜く」「落車して最後尾へ」みたいな、レース中の順位交替についてのイベントが書かれている。
  4. このカードを、山から引いたときに時計回りに切っていく。切らずにカードを捨てるだけで「何もしない」もあり。
  5. そのカードを切るたびに、車列(チップの列)の順位が入れ替わる。
  6. 山にあるカードが全部なくなり、さらに手のカードを全員が終わったときにゴールとなる。(場のカードを切り直して山に戻し、なお続けるときもある)

だいたいこんな感じのゲームだった。昔の話なんで細かいルールはちょっとあやふや。何しろ、説明書が英文(仏文だったかも)なので、全員四苦八苦しながらのプレイだったのだが、ルールがわかってくると俄然おもしろくなる。その日は洋ゲーをいろいろやろうぜ、という集まりだったはずなのだが、結局このゲームをやってるときが一番長かった気がする。
山が小さくなっていくから、ゴールが近いんだろうなーということはなんとなくわかる。このとき、トップだからといって安心はできない。誰が「5台ごぼう抜き」なんてカードを切ってくるかわからないからだ。
だから、そういう切り札カードはギリギリまで温存する。山が消えるのを虎視眈々と睨みながら、自分の順位を2位に保つ。(2〜3位が逆転のチャンスを狙いつつ、障害をもっとも回避できるポジションだった)最後の最後まで諦めない。そしてゴール直前(山が消えて手札だけになった周)に切り札が乱れ飛び、トップはガコンガコンと入れ替わる。

思えば、「ゴールが何処にあるか事前に地図で知っていても、今自分がどこを走っていて、あと何キロ残っているかなんて考えたくもない」というロードレースの辛さ、ゴール直前での駆け引き(ロードレースは心理戦が見所)など、シンプルながらもよく再現したゲームだったと思う。
またやりたいものだと思うのだが、ああいうゲームこそDSとかで再現してくれないもんかなあ。


ビデオゲームに必ず移植される名作ボードゲーム/テーブルゲームと言えば、「将棋」「チェス」「碁」「麻雀」「トランプ」「花札」の定番の他に、「人生ゲーム」「モノポリー(でもこれはPSのみで任天堂にはこない)」「億万長者ゲーム」など。他は潜水艦ゲームとか、オセロとか? ちょっと前にDSでリリースされた「瞬間パズループ」はタカラの沈没ゲームに雰囲気が似てて気になったのだが*2
複雑なルールではなくて、シンプルでかつ引き込まれるような戦略性、心理戦、奥の深さ、そういうものを兼ね備えたボードゲーム/テーブルゲームというのは実はほんとにいっぱいある。
が、かつてこうしたゲームは必ず「遊ぶ相手」が必要だった。
遊び相手をコンピュータがこなしてくれることで、一人遊びができるようになったが、初期のコンピュータにはそうした「心理戦」はできなかったわけで、ゲームは「提示されたパズルを反射神経で解いていく」という「競技」が増えた。ま、それはそれでいいんだろうけど(^^;)、身体を使う競技ではなくて頭と駆け引きで進めていく、「心理戦を仕掛ける相手が必要なゲーム」というのも、Wi-Fi環境が整備された今ならできるんじゃないかと思う。*3
一人で修行し、かつ相手と駆け引きを競う、というもの。


最近シンプルなゲームを繰り出している任天堂には、そういう脳みそが煮えるような、息詰まるような駆け引きを楽しめるゲームを出してほしいぞ、と願いつつ、サイトを見に行ったら、DSブラウザの予約は7月中旬受付らしい。

ギャー。
買わなきゃ。予約しなきゃ。


ロードレースからDSブラウザから、7月は楽しみが多くてたまらん。

*1:これまでに見た映画で、フランスを先入観だけで描いた傑作(笑)と言えば、やっぱりキラートマト〜赤いトマトソースの伝説(制作順でいうと4作目。日本公開は3作目)だと思う。シャンゼリゼ広場に行くと、パリっ子が全員手にバゲットを持っているだとか、エスカルゴは泥まみれの皿の中に入っているだとか、女の名前はみんなマリアで男の名前はみんなフランソワだとか。そういえばフランスでは名前に使っていい「フランス的名前」が決められているのだとかで、名字はともかくみんな名前が同じなのはそういう法律によるらしい、と聞いたことがあるけどほんとだろうか。

*2:アクションゲームなので購入を断念

*3:XPにはずいぶん前からオセロのインターネット対戦があったりするのだが、遊ばれてないなあ、アレ(^^;)