パスタを茹でる

連載のための下調べをしていて、ちょっと気になった製品がある。


パスタを茹でる調理器具といえば、普通は鍋。
電子レンジ調理が普及したんで、パスタを茹でるための電子レンジ用容器というのもある。
要するに乾麺なんだから、カップラーメン同様お湯を注いで作れないか?という方向に特化したパスタポットというカテゴリもあったりする。
パスタ保存容器みたいなのに、湯切りストレーナーが付いて、通常のゆで時間+3分くらいでアルデンテになるらしい。
モノとしては、本体部分がポリプロピレン*1などの樹脂でできているものが大部分だが、真空調理器のサーモスからも同様のコンセプトのものがでている。シャトルシェフのパスタ専用という感じか。
このパスタポットという商品、やってることは原理的には同じなのだが、価格に物凄い差がある(笑)


まず、サーモスの。
サーモス真空断熱パスタクッカーKJA-2000】3980円
http://item.rakuten.co.jp/piedi/10000972/
これは結構値引きされた値段で、確か定価は4000円台後半だったと思う。
本体が抗菌ステンレスでできてて、触っても外側が熱くならない。パスタ同士がくっつかないように、メッシュのセパレータが付いている。


次に若干廉価品。
【パスタタイム(ロング・ショートセット)】2980円
http://www.rakuten.co.jp/hikariplan/717440/801804/#790309
本体はAS樹脂、フタはポリプロピレン。大きいの(スパゲティ用)と、小さいの(マカロニなどのショートパスタ用)が二個セットになって、保温シートが付いてこのお値段なのだが、サーモスに比べるとかなりチャチ。保温シートというのは、要するに保温用の毛布。サーモス・パスタクッカーは本体が魔法瓶なので非常に冷めにくいが、パスタタイムはただのプラスティックなので、茹でてる間にがんがん冷めるから。それと、ゆでこぼしするときに本体が熱くなるから必要。


次にもっと廉価品。
【お手軽パスタシェフ】1980円
http://item.rakuten.co.jp/helloasahi/zakka-/
はっきり言って、パスタタイムとまったく同じものだ。大小二個セットで保温シートでも1000円も安い。


さらに廉価品。
【パスタファミリー】980円
http://item.rakuten.co.jp/worldpockets/j0631806/
これもパスタタイム、パスタシェフとまったく同等品。どんどん安くなってる。というより、パスタタイムがボりすぎ(笑)


オマケ。
【楽々PASTA】1円
http://sa.item.rakuten.co.jp/hammer/a/0032/
これもパスタタイム、パスタシェフ、パスタファミリーと完全な同等品。あまりにも売れないもんだからオークション投げ売りになっている(笑) もっとも送料が840円もする。(他はだいたい525円)ので、パスタタイムが総額1500円くらいだとした場合、楽々パスタは700円以下で落札しないと得したことにはならない。


サーモス・パスタクッカーは確かに高いのだが、痩せても枯れてもサーモスというか、温度が下がりにくい真空調理器であったりパスタがくっつきにくい工夫がされていたり、本体内槽がステンレスで長期使用に耐えたりするところ、造りはしっかりしている。
同じようなもの、ということで2980円から1円(笑)まで幅広く存在するパチもののほうは、原理は同じとはいえかなり手を抜いてることがわかる。まったく同じ材質でストレーナーが普通のフタになってるパスタ保存容器が、100円ショップで売って利益をきちんと出してることを考えると、おそらくパスタタイム以下の類似商品の単価は大きく見積もっても300円以下。二個あることを考え、保温シートを数に入れたとしたって、仕入れ原価は200円そこそこ、もっと安いかもしれない。
それを2980円で売ろうとしてるわけで、売れたらボロ儲けだ。(もちろん、中間費は掛かってるんだろうけど)
1円オークションにしても、送料に300円近く上乗せされてるわけで、仮に全部1円で落札されたとしても、仕入れ原価は割らないという商売なんだと思う。「赤字覚悟の一円放出!」とよく謳ってるけど、うまくできてる。当初のボロ儲け価格なら、300円で仕入れて2680円の儲けが出たわけだから、差額2380円の儲けを考えたら赤字なんだろうけど(^^;)


AS樹脂、ポリプロピレン樹脂は一応110度前後くらいまでは耐えたと思う。もうちょっと耐えるかもしれない。水はどんなに加熱しても100度は超えないわけだから、パスタを茹でる商品としては、一応使用に耐えるということだろう。
でもポリプロピレンって、使い始めは熱を掛ける(湯を使う)たびに、非常に石油臭かったりする。うっかりコンロの横に置いてあったりすると当然形も変わる<経験者
長期使用に耐えるかと言われたら、ステンレスにはちょっと適わない気もする。
でも、これって多分、一度買って届いたその日に試したら、後は「しまい込まれる」系の商品なんじゃないかと思うのだ。100円ショップの便利グッズってそういうの多いし。
ちょっと試すだけなら安いのでいいじゃないの、と安いのを選ぶ。
安いのは使い勝手はほどほどだから、なんか便利というほどでもないね、と納得してだんだん使わなくなり、台所の場所取りに。<僕はそういうグッズが非常に多いorz
でも、そこそこいいのを買うと、「元を取らなくちゃ!」という気が俄然湧いてくる。


ものを買ったとき、安いものは安いなりな上に、「安かったから」という理由で凄く早く諦めてしまう。性能や、使いこなすということに対しても。
一方、高いものは「これほど高い必要があるのか?」と悩んでなかなか手に取らない一方、買ってしまった後は「高かったんだから」という理由で必死に使い込み、もてはやし、褒めちぎり、自慢しまくる(笑)。使いこなす、使い倒すというヘビーデューティな使い方に対しても、しっかりした造りの高いものは、耐える。安いものは耐えない。
耐えるもの、使い込んだものには自然と愛着が湧く。


そういう視点から考えた場合に、もし「頻繁にパスタを食べる習慣がある」のなら、サーモス・パスタクッカーを迷うことなく選ぶべきで、「物珍しいから試しに買ってみようかと思う」という人は、製品の大きさと材質*2と原理をいろいろ比較してよく理解した上で、近所の100円ショップにある概ね同じような製品を転用するのが一番安上がりだと思う。


いいものはより安く……はなかなかならないが、扱い店が多ければ安い店を見つけられる。地道に捜すべきだ。
扱い店が少ない逸品ものは、値段が高くても納得できたなら迷わず買うべきで、買ったからには元を取ったと判断するまで使い倒すべきだ。


それにしても今日の昼ご飯は何にしよう。パスタかな。



PS.
思い出したこと。
よく行くダイニングバーでは、パスタを茹でるのにパスタポットでもなく、パスタ用寸胴でもなく、大ぶりのフライパンを使っていた。フライパンだと炎の当たる面積が多く湯が早く沸く、鍋の径が大きいのでロングパスタも余裕で入る、浅め・水少なめでもパスタが案外よく踊る、茹でた後の湯を捨てやすい、などなどの業務用のメリットがいろいろあるらしい。いっぺん、僕も自宅で試してみたが、なるほど確かにこれはこれで便利だった。
問題は、フライパンを麺を茹でるのに使ってしまうと、その間はパスタソースを作れないということだ(^^;) 細かいことを気にしない人なら、フライパンでパスタを茹でるときに、レトルトのパスタソースを袋ごとそのフライパンの中に放り込んで温めるという乱暴な方法もなくもないけど、あんまりオススメしない。


……これ、連載記事1回分かそれ以上あるよなあ(笑)<ネタの無駄遣い
そのような記事をあちこちで書いていますが。*3

*1:100円ショップにあるプラスティック製製品のほとんどはこれでできてる

*2:材質の吟味はちょっと重要

*3:でも、「ボりすぎ!」とか「同じものがどんどん安く!」なんて話は、紹介させて頂く系の記事では絶対に書けないでしょうな。気に入ったもの、いいものを紹介、というのが紹介記事の良心なのかもしれない。その意味で、このエントリーは裏面的というかw