外山恒一&MAD

すでに話題になってるので知ってる人も多いことかと思うのだが、東京都知事選。
外山恒一候補の政見放送(の動画)が、ニコニコ動画(γ)に出てた。
sm67556
sm69955 (MAD)


昔ね、雑民党とかUFO党とかスポーツ平和党とか日本愛酢党*1とかのミニ政党が大挙して旗揚げした、愉快な選挙があった。赤尾敏の最後の選挙で。もうね、どこを切っても、どこを見ても、右を見ても左を見ても斜め上を見ても愉快な候補しかいない、ってくらいの。
当時は選挙の供託金(一定以上の得票が得られなかった場合に取り上げられちゃう保証金みたいなもの)が今より安かったんで、そういうバブルで小銭持ってるちょっとステキな主張の方々が、いっぱい立候補してた。
選挙に興味なくてあんまり知らない人もいるかもしれないので一応触れておくと、公職選挙法の規定で候補者が有権者にアピールする方法は、街宣車などによる公道上の演説、街頭演説、ポスターなどの他に、候補者の財力(演説や選挙カーやポスター貼りは人手も金も掛かるので)に左右されない公約の公示方法として「政見放送(テレビ、ラジオ)」と「選挙公報への公約掲載」が保証されてる。
で、選挙公報もめっきり愉快なわけだが、政見放送は民放・NHKなどでだいたい5分くらいの枠を使って、候補者の公約なんかをアピールするわけなんだけど、これって公職選挙法の規定で「放送局側が途中で編集、カットなどをしてはいけない」ということになっていて、候補者の一切の主張を未編集で流さないとならない。確かビデオは禁止で、撮りはスタジオ一発だって聞いたことがある。
なので、手話入れたり有名人を司会者として連れてきたり、また時間の段取りを考えながらシナリオ作ってうまいこと収まるように工夫を凝らすわけで。過去に見た政見放送で、本人がヒートアップしすぎちゃって枠の中に主張が収まらず、しゃべってる途中で話をブッちぎられた山口節夫という伝説的なあっち系候補がいた。
要するに、自分が主張したいけど普通だったらまず電波に乗らないようなこと、ADに羽交い締めされそうなことでも、「政治上の主張」として阻止されることなく言えちゃうのが政見放送の恐ろしくも愉快なポイントなわけで。


でもインターネットが普及してから、言いたいことはネットで言えるようになっちゃったせいか、また何より供託金が高くなっちゃったせいか(あっち系候補が増えすぎたせいかw)最盛期に比べると政見放送も大人しくなったなあ、と政見放送ウォッチャーとしては寂しく思っていたわけですが。

が。


久々にキ…(-_-)キ(_- )キ!(- )キッ!( )キタ(. ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!( ゚∀゚ )キタ━━!
2006年911衆院選山下万葉以来の異色候補というか。
いや、違う。
この人はどっちかというと、内田裕也系か。東京だしね。
芸風としては鳥肌実系なんだけど、鳥肌実が右系なのに対して外山恒一は左系のギレン・ザビ
MADのほうはギレンの演説をかぶせたもの(笑)*2


今回の都知事選に華を添えるのは、桜金造でも黒川記章でもふくろう博士(出馬断念)でも丸山弁護士(これも出馬断念)でもなく、間違いなく外山恒一
で、100%当選はありえない*3のだが、一定数の得票はありそうな気がしなくもない。これだけ話題になっちゃうと(笑)、絶対に愉快犯的な投票があるから。
こうした愉快犯的な投票は、有力候補の中の浮遊票を削ることよりも、有力候補に対するアンチ票の受け皿になるはずの、今回で言えば浅野史郎(無新民主系)や吉田万三(共新)のような候補がウマウマといただくはずのアンチ票をかっさらっていってしまうことになることがほとんど。
このため、野党候補にとっては迷惑このうえないんだろうなあ(笑)


その昔、逮捕される前のオウム真理教が出馬攻勢を掛けていた頃、ウケ狙いで麻原彰光に投票してる奴もいたことだし、世代が一巡以上して同じことをする若い世代もある程度は出てくることだろうと思う。
芸人として見ると愉快なんだけどねえ。


選挙が終わった後、この人はきっとサブカル系芸人としてちょっと話題になったりはするのかもしれない。
それはそれとして、とりあえず今回の選挙の愉快な候補の一人として、政見放送だけでも楽しんでおくといいのかもしんない。


しかし、選挙が終わった後ならともかく、今正に選挙戦の真っ最中の候補の政見放送をネットに転載するのって、公職選挙法的にはどうなんでしょ?
金銭的に余裕のない候補者が政策をアピールするための方法として政見放送選挙公報があり、金銭的に有利な候補者が有利になりすぎないようにするために、ポスターの枚数、運動員への金銭支払い禁止なんかがあったりするわけなんだが、Web・メール・掲示板・動画投稿などの利用はそれこそ「貧者の選挙」には効果的。
今のところ、与野党ともにメールはともかく選挙期間中のWebの更新くらいはOKにしないか、という方向での改正は進んでいるらしい。(現行法では選挙公示期間に突入すると、Webページの更新も停止される。そういう政策や公約の詳細こそ、ビラや宣伝じゃなくてWebで見たいものなのにね)


押しボタン式電子投票もさることながら、情報伝達方法の充実っていう部分の緩和は進めて貰いたい気がするなあ。と、選挙のたびに思うのだが、なかなか改善されない分野でもあるのだった。

*1:酢は体にいいから酢を飲もうね、ということを訴えてた

*2:職人仕事はえ

*3:本人も当選したらビビる、と断言してるし