怪記ゲラ出ました

ゲラっていうのは、元々は一番最初の試し刷りのことを指す印刷用語。
「ゲラ刷り」と言った。初校と同義語。
以前*1は、手書きの原稿用紙またはFD入りテキストファイルとレイアウト用紙をセットにして印刷所に渡した後、最初に出てくる試し刷り(組み版)のことを言っていた。
自分で文庫のDTPを手がけるようになってからは、できあがった原稿を実際の掲載順に並び替え、組み版したもののことをゲラと呼ぶようになっていて、印刷所からはゲラが出ないのが「超」怖い話独特の進行(^^;)。

ゲラは昔は紙で出ていた(たぶん、今も大部分は紙で出ている)し、編集部からFAXで送られてきて、それがまた潰れて読めなかったりということがしばしばあったのだが(^^;)、最近はだいたいメールに添付されて送られてくることが多くなった。雑誌で数頁程度だったらスキャナ取り込みしてJPEGで。
僕が送る場合は文庫一冊分まるごとのゲラだったりするので、PDFファイルに出力したものをメールで送って、手元でプリントアウトして読んでもらう。
時間にゆとりがあれば赤字は郵送で。なければFAXで。赤字が大量の場合で時間がない場合は、スキャナ取り込みしてメールで送ってもらう。
昔は編集部に軟禁されたり(したり)、バイク便を飛ばしてゲラを送ったり(受け取ったり)、自分が深夜便になって作家さんと編集部と印刷所の間をバイクで往復したりしたものなのだが*2「超」怖い話冬班のように日本のあっちこっちに著者が散在している状態でそれをするのはほぼ不可能なので、このような利器を最大限活用することになる。


そういえば、ゲラ/ゲラ刷りの語源は「galley」であるらしい。
ジョバンニが拾ってきた活字(笑)を入れる皿台がガレー船に似ていたから、これを「ガレー台」と呼んだらしいのだが、これがどこかで訛って「ガレー→ゲラ」になったらしい。ゲラ台で刷った最初の試し刷りをゲラ刷りと呼び、それが詰まってゲラになった、と。


実はゲラの本当の語源はgalleyではなくて「Get UP(起きろ!)」で、発音はそのままゲラ。
意味するところは、原稿を書き上げてようやく眠りにつける……と失神しかけた著者の胸ぐらを掴んで、「この野郎! 試し刷りができたぞ!」と叩き起こすときのかけ声「Get UP!」から来ている……と、寝入りばなに言われたら、なんとなく信じてしまいそうな気がするが嘘です。


そういうわけで、怪記のゲラを今出校。
どうせ台風来てるし。関係者が遊びに行くヒマを全部奪ってやる! 巻き添えにしてやる!
というわけで、連休中はずっとゲラ読みですorz

*1:20〜10年くらい前まで

*2:角川書店で編集者をしていた頃、月に1回東京の東の端と西の端をバイクで50km近く往復するという過酷な原稿取りをしていたことがある。