戦略的苦悩

ある分岐点がある。
今が上り調子であるとして、それをどう展開させていくのか。
戦力の精度を高め、高い精度のものにのみコストを集中させて一騎当千で行くのか。
戦場全体の勢いを駆って、戦力の総数を増やしていくのか。精度は若干落ちても戦力が高まるほうをヨシとするか。
天才的な軍師や武将がいるとして、その才に全依存していても大丈夫なのか。
ゲーミックス版横山三国志を通し読みし、蒼天航路も目を通し直していて、「なぜ蜀は滅びたか」を考えていた。
もちろん、阿斗の腰が砕けたからだと言ってしまうと話が終わってしまうんだけどw、関羽張飛が強すぎた、諸葛亮が聡明すぎたことが、人材育成に繋がりにくかったというのもあったのかもー、とちょっと思った。横山三国志孔明の死後、阿斗の降伏まで描いて蜀の没落を全通ししているが、蒼天航路曹操の死で話を切り上げている。これは蒼天航路曹操視点の話なので当然と言えば当然なのだが、関羽の死が描かれた時点で、蜀の滅びは決定的になった。*1
魏も最終的には滅びて司馬懿に乗っ取られてしまうわけだが、それでも国の形を最後まで為していたのは一応は魏だったということになるのかな。
つまりは、人。
高い精度の武将の獲得。
しかし、武将個人の武にのみ、他に代え難い孔明一人にのみ期待を掛けてしまった、人材が育たなかったのが、蜀の運命を決めた。横山三国志の最終巻はそういう解釈になっている。蒼天航路曹操は英雄の中でもっとも人材集めに執心した、と解釈した物語になっている。曹操自身が有能であるのは間違いなく、なんでもできてしまう人としても描かれているけれど。それを超えてなお、人、才能に興味を示したのが曹操であった、というのが蒼天航路の基本解釈。横山三国志の解釈と合わせると、やっぱそうなるのか、と思ってみたり。
関羽張飛の輝きをもってよしとするのか。
次の世代の武将の層を厚くすること、そのために若い武将を抜擢して激戦地に投入することをよしとするのか。確実に老練な武将だけを使い続ける、関羽に過度の役務を期待しても、歳には勝てなかったわけだし。
そうした武将が去って、劣勢になってから人捜しを始めた蜀は、およそ全てが手遅れだったし。
考えてみたら、魏には武将はたくさんいたけど、関羽張飛、あるいは呂布のような、その一個の武で戦場を左右するような武将って思い浮かばない。蒼天航路は司令官としての夏侯淵を名将として描いているけど、個人の武という点ではやはりそれほどでもなかったような。
戦略的分岐点。
難しい。
蜀が滅びないためには、劉備が存命のうちに阿斗をきちんと育て、諸葛亮の後継者も早めに育てておくべきだったのかも。阿斗にだけコストを集中させていればよかったというものでもなく、やっぱり人材の枯渇を早い段階で考えるべきだったのか。
後継者育ては劉備の責務ではなく、諸葛亮の責務だったろうと思う。
難しいなあ。戦略的分岐点。


……いかんなあ。三国志系のゲームはやり始めると欝になるなあ(^^;)

*1:その関羽を討ち取るのが新進の人材を輩出してきた呉だという演出にも、その後の蜀の人材の枯渇を暗示があるのかも。