良曲の楽な見つけ方

そんなの、ない。




Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) エー……

ニコニコ動画でタグ検索「ミクオリジナル曲」で探したとして、オリジナル曲はだいたい一日に30曲前後くらいリリースされる。これはウィークデーの数字で、週末(金曜の晩から日曜の深夜まで)は倍から3倍くらいに膨れあがるわけで、ちょっと気を抜くと未聴曲の山ができる。

一日くらい遅れで追うというのも、ひとつのやり方かもしれない。
ランキング入りするような曲というのは、一日で1000〜10000近い閲覧数に跳ね上がったりしているのでわかりやすい。
完成度、バランス、インパクトが揃っているとか、過去にスマッシュヒットを飛ばした作者の曲は注目を集めやすく、それが閲覧数という数字になって現れるためだ。
知られた既存曲の作者以外の「初投稿」作者がいきなりこの数字を弾き出すこともある。もしマイリストを公開していたら、それをRSSリーダーに登録しておいて、新着を別個に監視w


1000〜10000というのは、誰でも注目している曲ということなので、ある意味「他人の尺度」に身を委ねて安心して聞ける曲、と言えないこともない。リスクが少ない曲と言ってもイイ。オリコンチャートの上位にいる曲の多くは、「他の人も聞いている、間違いのない曲」であるというのと同じ。
それだけ多くの人の好みに合致している、評価を引き出した曲、と言えよう。怪コレで言えば黄昏の章(笑)


一方、多くの「あまり注目されなかった曲」というのは、3桁止まりか1500〜3000以下くらいで閲覧数は足踏みする。注目される前に「過去の曲」になって埋没していってしまうためだ。同じ週にスーパーヒットがリリースされたりすると、話題をそこに持って行かれてしまってひっそりと沈んでいってしまう。
スロースターターな曲というのは実際あって、誰かがその曲をベースにPV/アニメなどを二次製作、そのPVが注目を集めて原曲が再注目される、というケースは実際にある。
「White Letter」なんかはその典型と言えるだろう。

【White Letter(旧題:空から手紙が降ってきた)】← 原曲(9/9リリース)
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1028001

【White Letter/アニメPV】(10/27)
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1379990

この曲はPVの閲覧数が原曲を上回っている。PVによって知れ渡った原曲が、引っぱられて数字が伸びた。
PV以外に「歌ってみた」が原曲再生数を伸ばすケースも多い。


そういう「誰も注目していなかった曲が、ある日再評価されて知れ渡っていく」というのは、インディーズ好きの人には同意を得やすい快感wだと思う。まったく注目されてなかったバンドが、突然脚光を浴び、「俺はそいつらが全然売れてなかった頃からファンだったんだぜ!」というアレだw
逆に売れてしまって有名になりすぎると、遠くに行ってしまったようで寂しい、という(^^;)


最初から注目されている曲ではなく、注目されていない(しかし将来的に話題になりそうな)曲の見つけ方としては、結局は自分の耳で丹念に聞いてみるしかない。閲覧数(再生数)は一種の指針だが、「ユーロビート好みの人ばかりがいる場所では演歌が評価されにくい」「クラシックファンにはデスメタルはわかってもらえない」というようなもので、自分の好みと自分以外のオーディエンスの好みがいつも一致しているとは限らない。このため、他人の評価はあくまで他人の評価として、自分自身の好みに合ったものは、結局自分で見付けていくしかない。


逆を言えば地雷曲wwwというのを見分ける方法もなくはない。
公開されてから再生数が3桁に届かないものの多くは、まず地雷だと思っていい(例外はある)。地雷ではないけど地味にいい曲というのは、公開後一週間で1500〜2000前後には届く。しかしその先が頭打ちになって伸びない(つまり、リピーターが少ないか、コメントを付けにくい)。
その辺りを中心に漁っていくと、地雷をなるべく踏まずに良曲を見付けることはできるかもしれない。
でも、リリース直後のジャケ買いwというか、地雷リスクを覚悟の新着チェックもまた楽しいわけで、「楽しい見つけ方」はあっても「楽な見つけ方」というのは、やっぱりないってことでFA。


一度注目した作者がマイリストを公開していれば、それをRSSリーダーに登録しておく、マイリストが公開されていなければ作者名のタグをお気に入りにブックマークしておき、定期的にチェックするというのは、ある意味良曲集めの早道といえば言える。
また、デッドボールPhttp://www.nicovideo.jp/mylist/1075175/3390381#pt_d)のように、その曲を重点的に追いかけて「歌ってみた」人がいるような場合は、歌ってみた系の歌い手のマイリストをチェックしていくという手もある。原曲より先に歌ってみたを発見してしまい、後から原曲のリリースを知るというケースは結構多いようなので。


「初投稿」とかの未知の新人の曲や、マイリスト公開していない寡作な作者の曲は、結局は新着チェックしていくしかない。
後はそういうのをチェックして紹介している人のblogを覗くというのもひとつの方法かも知れないけど、その人と好みが合わなかったら何かを取りこぼすかもしれないし、結局元のデータを直漁りというところに流れていってしまうのかもしれない。うわー、僕テラ廃人。


でも、この漁り行為wは、昔、レコード屋レンタルCD屋の店頭で旧譜漁りをしていたときのことをちょっと思い出す。
新譜は漁らなくても耳に入ってくる。見向きもされない旧譜や、インディーズ盤をジャケ漁りして勝負(大部分は負けるw)をかけ、そこから当たりを見つけ出すのが楽しい。
特に、インターネットが発達する遥か以前にライブハウス中心で活動していたようなインディーズは、それを裏打ちするような情報がメジャーにはまったくないので、勘と感性で勝負するしかなかった。
「はにわ(HANIWA)」「バンバンバザール」「ソウルフラワーユニオン/ソウルフラワー・モノノケサミット」なんかにはそういう出会い方をした。そのうち、ライブハウスに出入りするようになってお気に入りバンドの対バンを知る、という接触型の出会い方をするようにもなった。
「ガレージランド」「伝承遊戯」「らじるし」にはそういう出会い方をした。



でも、そんなに金も続かないので、新曲/いい作曲者(この場合はバンド)に出会うのは年に数回程度だった。それ故、「才能が世に出るのは稀少なこと」または「世に出る(そして認められる)才能というのはごくまれにしか存在しない」という認識が強かった。


実際には、「誰も気づかなかった」或いは「商業的に活動するつもりがない」ような、しかし類い稀な才能というのは、案外あちこちに転がっていることがわかってきた。
多くは誰かの真似に過ぎないかもしれないし、既存曲の影響を受けすぎたものに過ぎないと言われてしまうかもしれないけど、それがいきなり化けたり一皮剥けたり、既存の何かと比較できないようなものを繰り出してきたり、そういう才能が次から次に現れる。
それを毎晩チェックできる。


ふるみっくされてる状態というのは、たぶん「初音ミクにやられてる」のではないのだと思う。様々なジャンルの音楽を作っている作者の無限の引き出しにやられてるのだと思うのだ。地雷もある。超曲もある。何が琴線に触れるかわからない。
今までまず近付かなかった分野のものに惹かれていることに気づいて、自分の音楽のキャパが広がったりすることもある。僕が音楽について悪食なのは、ジャケ漁りをしていた(そして大部分は負け)ときの名残りかもと思う。そのおかげで、「好みじゃない分野も一応聞いてみる」という習慣ができ、好みの分野が広がったという効能があった。


そんなわけで、久々に音楽にやられている。
初音ミクというツールは、音楽脳を飛躍的拡張するための起爆剤として、作る側だけでなくその恩恵を受ける側にも役立っているのではないか、と思う。