人類の逆襲セレクション

初音ミク用に書かれた曲を、人間が歌う。
初音ミクの襲撃(底歌)に対する、人間の逆襲。
そういうコンピレーションアルバムがあったらおもしろいかも。
そんなわけで、自分の聞いている曲の中からテーマのものを集めてみた。原データはニコニコ動画に準じるが、Youtubeで見付けられるものもあるかもしれない。

みくみくにしてあげる♪(高音質版) あめこ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1440355
みくみくにしてあげる♪(大人ver/NEWアレンジ) 歌和サクラ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1625529
晴れときどきにわか雨 Re:A
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1599915
SING&SMILE LONG ver_ Re:A
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1703956
桜の季節 sm1518985
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1518985
女神のシュークリームのうた。 あきら
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1548856
不思議な幸せ 雌豚閣下
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1441287
きみの体温(ぬくもり) フンドシンバ(国木田子)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1626260
嘘ついてるの 終音ニク
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1565476
celluloid はるよ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1223673(ラジオRemix)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1296699(\3000Ver)
サウンド Ciel
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1644409
White Letter milia(うたのおねいさん)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1475989
最後の人類 初音ミク+最後の人類
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1558985
やあやあ(初音ミク専用ヴァージョン) 山本似之+初音ミク
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1526671
初音ミクの暴走 あめこ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1440006
初音ミクの消失 D様2_0+あめこ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1649052


※歌い手の名前が特定できないものについては、smXXXXXXのように表記した。また、特定の名前を名乗っていないけれど、便宜的にそう呼ばれているものについては、仮の通称としてそうした。中には僕がそう呼んでるだけのものもあるので、通称/公称は他の判断が優先する。

以下は、長いので無理して読まなくてもいい解説としてw



「あめこ」の歌が3曲入っている(消失はあめこは歌ってるわけではないけど)が、やはりこの人はうまいなあ、と実感。年内でニコニコ動画から「卒業」するらしい。自然消滅する人が多いなか、時期を区切っての「卒業」を宣言しているあたり、何らかのプロデビューが決まった(プロでやってくからにはアマチュアとしてのグレーな活動はもう終わり)ということなんだろか、とちょっと思った。


あめこの歌う「みくみくにしてあげる♪」は、定番曲のお手本のような仕上がりで(ショートVer.だけど)原曲のアレンジを忠実に乗りこなしている。
それに対して「歌和サクラ」のNewアレンジ大人Ver.は、同時に聞かなければ同じ曲であることを一瞬忘れそうなくらい、しっとりとした別の曲に仕上がっている。アレンジもうまいけどボーカルが原曲の「アニメっぽさ」を拭いさっているからこそこの仕上がりなんだと思う。歌和サクラVer.はあまり知られていない埋没状態にあるのだが、是非御一聴を。


「Re:A」は初音ミク系ではかなりの実力派ボーカル。
初音ミク系歌ってみたでは、「みくみくにしてあげる♪」「celluloid」「初音ミクの暴走」「初音ミクの消失」「このあたりが定番チャレンジ曲になっていて、それ以外の曲は積極的にカラオケを公開している「OSTER Project」や「デッドボールP」など以外はあまり歌われていない。
その中で、Re:Aは「WAY」「SING&SMILE」「晴れときどきにわか雨」など、Re:nGの曲を中心に歌う。Re:nGとRe:Aは身内繋がりw(おそらくバンド仲間とかかもしれない)らしいのだが、それにしたってやっぱうめえ、と感嘆する。ライブとかやってないのかな。


「桜の季節」も結構多く歌われているのだが、これは結構な難曲で歌いこなせてなおかつ情感もたっぷり、というのは難しいらしい。その中にあって、男性ボーカルで頑張っているのが「sm1518985」。評価は微妙に分かれるかもしれないけど、僕はサビのあたりの妙なセクシーさwが割と気に入っている。


「女神のシュークリームのうた。」は、原曲はデッドボールPの「シュークリームのうた。」限りなくアウトな内容で、これをロリータボイスで歌っている例(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1488558)もあり、それはそれでハマっているのだが(^^;)、あえてお姉様ボイスで歌っているのが「あきら」。歌い終わりのところで「井上喜久子17歳ですぅ」と付ける芸の細かさは、その次に歌った同じくデッドボールPの「_hidden(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1624691)」にも繋がっている。一瞬、本物の井上喜久子かと……


お姉様ボイス系の歌い手はあきらの他にも「みなみ」などがいるが、歌のうまさとネタの下品さでは昔から定評のある「雌豚閣下」が群を抜く。恐らくVIPSTARが流行った頃に「鼻声」と呼ばれていた人と同一人物だと思う。現在は「雌豚」「鼻亀」などを自称他称する、鼻声系ハスキーボイスのボーカルで、浜崎あゆみ椎名林檎の曲を忠実かつ下品に改変して歌っている人なのだが、「不思議な幸せ」は雌豚閣下のために書かれた曲と断言しても過言ではないほどの出来。
椎名林檎の久々の新曲なんだよ」と謀って聞かせたら、10人中7人くらいは信じるかもしれない。曲も、ボーカルも。


初音ミクの曲は、サンプリングデータの提供者である声優・藤田咲の声を念頭に置いて作られたものが多い。その声は透明感があり伸びがある、というものであるわけで、それを生かして作られたスローバラード「きみの体温(ぬくもり)」は、やはり透明感のある歌い手がふさわしい。これも多くの挑戦者がいるが、その中で「フンドシンバ(国木田子)」がもっともイメージに近いように思った。若干の音揺れもないではなく、実力がはっきり出てしまうスローバラードにあって100%とは言えないかもしれないが、先々の成長を見守る意味でもチェックしたい。


初音ミク系の曲はロリボイスとやはり相性がいいようなのだが、音の不安定さを捌ききれるロリボイス系歌い手は、多いようで多くない。その中で「終音ニク」の辛そうなロリボイスは、選ぶ曲によっては神々しいほどの一体感を見せる。同じ初音ミクというソフトを使って、初音ミク向けに作られた曲なのに、「不思議な幸せ」→「きみの体温(ぬくもり)」→「嘘ついてるの」と聞き比べてみると、原曲もそれを最大限ふくらませた「歌ってみた」Ver.でも、これほどの違いや膨らみがあるのか、と目から鱗が落ちるほど。初音ミクを使いこなす作曲者と、それを乗りこなす歌い手の才能のコラボと言わずして何を語れというのか、と。


「celluloid」は初音ミク系ではもっとも多く歌われている定番曲の一つかもしれない。歌ってみた〜の初期では、みくみくにしてあげる♪よりcelluloidのほうが遥かに多く歌われていた。それ故に、誰がいちばんうまく乗りこなしているかというのは、単純評価が難しい。リスナーの好みが猛烈に反映されてしまうからだ。そこで、僕としては敢えて1000円のヘッドセットマイクで録音したという、「はるよ」による音の籠もったVer.をお奨めしたい。なんというか、ラジオRemixというか。合わせて「3000円のマイクで録り直したもの」も付けておく。また、はるよと違った歌いこなしをしている歌い手も夥しくいるので、celluloidだけで巡って聞き比べてみるのもいいかもしれない。


サウンド」はcelluloidを書いたbakerという作者による新曲なのだが、これも歌うのには難しい曲、しかしサビが気持ちいい曲であるようで多くの歌い手が挑戦している。僕は「Ciel」によるVer.を推したいが、miliaによるVer.(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1604067)はるよによる元気いっぱいVer.(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1554997)も捨てがたいので、このあたりもシンガーに対する好みで分かれるところではないだろうか。


その「milia」が発掘されたのは、「White Letter」から。出現直後は歌い手が固有名を名乗っていなかったため、識別のためにNHKみんなのうた的な透明感のある声から「うたのおねいさん」のタグが付いた*1。実際、「うたのおねえさん系」というのは本人も自覚があったようで、あながち外れてなかったぞ、と。本人作詞作曲編曲のオリジナル曲・wing(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1659715)も公開されているけど、初音ミク系曲ではないせいか、そちらはあまり伸びていない。いい曲なんだけどな(´・ω・`)


「最後の人類(sm1558985)」というのは、公称でも自称でもない。名前がないので、個人的に識別用にそう付けてある。曲名であると同時に、初音ミクとデュエットしている(おそらく作者)人間こそはまた、曲中で歌われている「生き残った、しかしもはやその寿命もあと僅かな最後の人類」をイメージさせる。この曲、SF的なテーマを扱いながらブルーハーツのようなシンプルなメロディラインとハープが印象的な終末の歌なのだが、曲の後半がちょっと思想的なにおいが僅かにするのが惜しいところ。歌っている作者は決して特徴的なシンガーであるわけではなく、また初音ミクだけが単独で歌っているVer.(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1559050)もある。そちらは「もはや最後の人類はいなくなった後、Vocaloidだけがその人類の痕跡を伝える」というようなニュアンスになっていて別の味わいがある。僕としてはまだ辛うじて、しかし息絶える直前の存在として敢えて人間が参加しているこちらのVer.に趣を感じた。


同じく「やあやあ(初音ミク専用ヴァージョン)」もまた、人間と初音ミクのデュエットとなっている。デュエットというか、初音ミクはコーラス参加だが。今回のコンピレーションの中では、この曲だけが唯一山本正之の原曲(究極超人あ〜るのイメージソング)の替え歌なのだが、歌い手「山本似之」が、山本正之そっくり。というか、当初「当人が匿名でやってるんじゃないのか!」という声が上がったほどで、歌詞のいじり具合、山本正之的歌唱のすべてが本人としか思えなかった。これまた、黙って聞かせたら「山本正之始まった!」と叫んで走り出す人が出かねない勢いなのだが、後に山本似之当人が「本人じゃないんです」と、「がんばれこだま号(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1555705)の最後で釈明している。おまけに本人画の絵がゆうきまさゆき*2に激似。人間、ファンであるというだけでここまで才能が開花してしまうモノなのか。


初音ミクの暴走」は早口曲として発表されたもので、歌い手の滑舌と肺活量の限界を測る基準曲としてよく歌われている。あめこがこの曲を歌ったこともあって歌ってみたが注目され、また「三次元の逆襲」「人間始まった」など、後の人類の逆襲を励起する力の一つになった。ここまでで紹介している歌ってみた系は、再生数2000〜3000くらいが中心で、終音ニクの「嘘ついてるの」などのように3桁を抜けないものも珍しくないのだが、あめこという(ニコ動では)メジャーシンガーが歌ったこともあって、この初音ミクの暴走の再生回数は26000回を越えている。
初音ミクの暴走は「始音カイトの暴走(Vocaloid KAITO向けのアレンジ)」、「腐女子の暴走(ry」など、多くのバリエーションを産んだ。D様の二度とやるかVer.(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1470867)もしんどそうでwこの曲の大変さの片鱗が伺える。


暴走の作者が「最初はこっちを作ってたけどやりすぎた失敗作」といって暴走の後に出してきたのが「初音ミクの消失」。初音ミクに歌わせても、何言ってるかほとんど聞き取れないほどの超絶早口曲で、内容は超高密度のレクイエムと言える。「〜暴走」以上の難曲ということでこれも多くの挑戦者を産んでおり、滑舌と肺活量と早口とを測るチャレンジ曲になっている。歌う人が現れたため、作者がオフボーカル版(カラオケ版)を出したことが、チャンレンジャー排出に拍車を掛けた。
何しろ人間が歌うことを前提にしていないので、ほとんどブレスがない。歌詞なかドドドドとかポポポポポとしか聞こえないくらいで、多くは諦めてチートで歌っているが、中にはチートなしの一発録りで歌うというツワモノも多い。(さらに、消失を120%加速して歌っている人もいた。http://www.nicovideo.jp/watch/sm1693794
「D様」があめことのコラボで歌うVer.では、D様当人が「この曲は言うなれば、今際のきわに捧げる、この世で最も高速な鎮魂歌」と称賛する。この例えは実に素晴らしい。内容は「HDDから消え去るプログラムとしての初音ミクが逝ってしまうのを惜しむ」というものなのだが、消え去る初音ミクをもがいて惜しむその演出はとてつもなく素晴らしい。
おそらく少々チート使ってると思うんだけど、それを差し引いても原曲へのリスペクトに満ちたよい演出だと思う。                                


それぞれの原曲については、歌ってみたを辿ると原曲へのリンクが付いているので、ここではあえて紹介しない。歌から原曲への巡礼wを楽しんでいただきたい。

*1:というか、このタグを最初に付けたのは僕でしたw

*2:酔ってましたw