新体制案に賛同する

先日のエントリ「一般人から初音ミクはどう見えているのか? http://d.hatena.ne.jp/azuki-glg/20080214/1202984774」と関連するのだが、敢えて別エントリで。

[特集]クリプトンとユーザー、他企業の間に入る「新体制」の必要性
http://uranaka.net/article/84082449.html

この視点はとても大切。
ここで言う「新体制」は、クリプトン、ユーザー、他社の「板挟み」になる可能性も高いのだが、クリエイターが領収書の整理に翻弄されるのを防ぐために会計事務所があるようにw、クリエイターやユーザーが本来その資質を発揮する方向に専念できるように、その仲介役的なことをする「新体制」の必要はこの先避けられない。

元々、JASRACがまともに機能していたらw、JASRACがすべきことだったかもしれないし、電通が忌み嫌われていなかったらw、彼らに委ねることだったかもしれないが、そのどちらもに対して不信がある現状では、類似の業務をする別の「新体制」は遠からず必要になるだろう。*1


ただ、こうした業務を担う「新体制」に対しても、不満や不信は出てくるだろうとは思う。
これまでにもさぼり記で繰り返してきたが、「仲介役」が持ち出しではない状態で恒常的に機能していくためには、活動利益を出せる法人にならざるを得ない。
カンパや寄付といった不安定な財政基盤では、仲介役は安定した活動が難しい。しかし、そうした仲介役を機能させ続けるために利益を出す(必要経費を自力で稼ぐため、作業手数料を徴収する)というのは、結局のところ「ピンハネする奴ら」という従来通りの敵視を生んでしまいかねない。


方向性としては幾つかあって、ここでうらなか.netさんが挙げられている「クリプトン、ユーザー、協業他社の間に入る【何か】」を、別会社の法人、協議会などの形にするというのは、今も挙げた「ピンハネする奴ら」という不信感や反対意見をある程度生むのは避けられないだろうと思う。
ただ、そうした業務をする存在そのものがないと、些事に翻弄されて伊藤氏が倒れる、クリプトンがその都度声明を出さなければならなくなるなど、判断業務の過集中が起こるのは目に見えているし、実際既に起きている。
好きなようにやればいい、そういうオファーは個々が考えればいい、という段階は、今の市場規模/ユーザー母体数から考えると既に過ぎているのではないかという気もする。

クリプトンが社内にこれを専門に捌く部門を持つか、クリプトン資本の子会社という形でクリプトンのお墨付きを与えてやるか(つまり、意思疎通が不安定な他社委託ではなくする)、というのが、こうしたものに不安感を感じるユーザーでも納得しやすいところなのではないか。


ただ、そうした部門をクリプトンに「持て!」「やれ!」と部外者が命令できるものでもないんで(^^;)、「そうだといいんじゃないかと思ったりしますよ」くらいの意見でしかない。
ともあれ、「今のブームを一過性にしないこと」というのは、クリプトンにとっても、ユーザー*2にとっても、恩恵を受けるリスナー*3にとっても、共通の課題ではないかと思う。
解決しなければならない課題が今後どんどん増えていくのだとして、今の「トップダウン式」のままではいずれ突然崩壊しかねない。*4


もちろん、言われるまでもなくそこんところはきちんと考えてるに違いないとは思うけれど、実情が出てこないうちはあれこれ思考実験してみるより他にないのかもねー、と。

*1:リンク先うらなか.netさんでも指摘しているが、噴出するすべての関連問題を、すべてクリプトン社長・伊藤氏本人が一人で奔走して捌くというのは、そもそも異常な状態であり、すでに限界が見えている。

*2:この場合は、ソフトウェアの購入者利用者

*3:ソフトウェアは購入していないけど、それによって作られた楽曲を試聴している、将来的な消費者層

*4:このへん、僕が抱えている課題とも通じるところだけど、推進役・判断役の全権責任者がある日突然失踪したり死んだりした場合、こういうシステムだと全てが止まってしまう。