ハイトニック・路上ジプシー

三週目となる週末の池袋でのハイトニック。
家人がまだ広島なので、今週は一人で覗きに行く。


初めて西口へ。
地下道を行くと、出口付近に近付くともうワタナベ君の歌声が聞こえてくる。大変わかりやすい。
地上を出たところでしばらく聞いて、差し入れなどする。
本日、新たに焼いたホブスをチキン+チーズ+キュウリのサンドイッチに仕立てたもの。
後で聞いたら、朝食べて以来、差し入れまで食べてなかったということ。それは作った甲斐があった。


途中、公僕のストップが掛かる。
以前に比べて、最近急に厳しくなってきたとのこと。
明日(5/6)、胡錦涛が来日するため、それに合わせて警戒が厳しくなっているのでは? という話。
東口への移動(機材、荷物を持って池袋地下道を横断w)を試みるも、先遣隊w別動隊からの連絡にて「東口もだめ? 開始3分でストップ?」などの情報が錯綜。
再び元の場所に戻ってみるも、もう先客が!(ホームレスの方が横臥w)


続行するか解散するかしばし作戦会議の後、西口の別の場所に移動して、アンプラグドで少しやりましょう、てなことに。
とあるホテル前の小さな公園(というのも憚られるような、喫煙スペース)で、マイク&アンプなしで再開。
マイク、アンプなしで、迷惑にならないよう公僕に見つからないよう、小さく小さく控えめに再開した路上ライブなのだが、ワタナベ君の声は、前からもしやと思っていたけど、マイクなしでもかなり通る。もちろん、囁くように歌うところは、雑踏やビル風に遮られて埋もれてしまうこともあるのだけど、サビのフレーズでよく伸びる声は、マイクがなくても十分。街頭を行く人の足を留めるだけの威力があった。
ただ、アンプラグドだと、リーダーのギターが大変しんどいようす*1だった。
リーダーのギターなくしてハイトニックは語れないわけで、この人のつま弾く「伴奏楽器としてのギター」の多彩さというのは、僕としては結構耳目を奪われる。歌より目立っちゃいけないけど、ただコードを追うだけではいけなくて、ギターデュオという最小単位に近いユニットにとって泣き所となりかねない「リズム&ベース」を、ハイトニックではリーダーが担っている。ベースに相当する音が入ると、それだけで引き締まってくるなあ、とつくづく思う。


アンプラグドで再開してからのこと。
公園の反対側のベンチで夕ご飯を食べていたホームレスの方。ハイトニックの演奏が始まると、もぐもぐやりながらそれに耳を傾けている様子だった。やおら立ち上がると、ハイトニックに近いほうのベンチに移動してきて、もぐもぐやりながら聴き入っている。折良く一曲終わると、もぐもぐやりながら再び荷物を置いていたベンチのほうに戻っていった。
音楽というのはどんな境遇の人でも動かすんだな。


最後に何か、と問われて、そういえば今日はまだ「僕の話を聞きなさい」を聞いていないことを思いだし、リクエスト。
その曲の少し前から聞いていたHMVの袋を下げた50絡みのおじさんが、ジッと聴き入っている。
ホテルのモールから出てくる親子連れ、繁華街へ向かうカップル、そういう人たちを背景に「〜なんかいいもの食いにいこうぜ」と慰める曲中のフレーズが、ぴたりと当てはまる。
ハイトニックには雑踏が似合う曲が多い、ということを先週も思ったのだが、雑踏を行く人々が抱えているかもしれない事柄と合致する、雑踏のためのBGMという性質を持っているのかもしれない。雑踏がハイトニックにとっての格好の環境音であるというよりも、ハイトニックの音楽のほうが雑踏を色鮮やかなPVにするBGMであるかのような。つくづく、路上と相性がいいということかもしれない。


終了後、「じゃあ、ちょっといいもの食べに」ということで食事に行くという一行に、ちょっと混ぜてもらった。
熱心なサポートメンバーの年齢も路上に現れるようになった時期もそれぞれなのだった。
以前、ジャズとファンクを混じったようなバンドを組んでいた、という話を耳に挟んでいたのだが、今回その頃の曲をnanoに入れて持ち歩いているという、ハイトニの古い友人の方から、一曲だけ聴かせていただく機会を得た。まだ彼らが20代中頃くらいの頃の音源らしい。ワタナベ君の歌は今の形の原型が出来つつあったがまだまだ初々しく、また、録音環境を模索していたこともあってか、オケの音のほうが少し大きい。「今聞くのは恥ずかしい」と照れていたけれども、今に至る貴重な音だと思った。
いずれ、その頃の曲を今のハイトニでやってるものを聴きたいな、と。*2


もにょもにょといろいろ話を聞くこともでき、やっぱり貴重な一夜であった。
近く、ニコ動でも聞いてもらえるようになるといんじゃないかな、とか思いまして、「どすか?」と打信しておきました。







僕のGWは、この一夜で終了orz

*1:エレキギターアコースティックギターでは弦の張りが違うから。どうしてもリードすべきフレーズがかき消されてしまう(´・ω・`)

*2:時々路上でその頃の曲を混ぜているらしい。