血合いでハリハリ

気合いではなく。

夜食食おうと思って炊飯器開けたら、おにぎり一個分しかごはんがなかったので、とりあえずおにぎりを作って食す。
昼間買った鮪アラのどでかい血合いを血抜きして何かにするつもりで塊からサク取りしてたのだが、ヘモグロビンたっぷりで真っ赤というよりむしろまっ黒な肉塊が、だんだん鯨肉に見えてきたw
鯨もイルカも、全身運動で泳ぐ海獣類というのは、得てして血液中のヘモグロビン量が多いのだそうで、鯨肉・イルカ肉はいずれも血で真っ赤を通り越してまっ黒。新鮮な鯨肉・イルカ肉(生か少なくとも解凍されたもの)を握りしめると、鮮血が俎板にどわーっとしたたり落ち、何か自分がハーバート・ウェストになったような気分になってくるのだが、それはさておき。
鯨・イルカ同様、大型の回遊魚が赤身肉なのは、全身運動で泳ぐ運動量が多い=血液中に大量の酸素を運ぶためヘモグロビン量が多い、ということなのだろうと思う。
鮪の場合、ほどよく赤身なところと、脂肪分たっぷりなトロ・中トロ・大トロが食用とされる他、頭身、頬身が食される。よく言う「ネギトロ」「すき身」と言われているのは、最近では骨・腹骨・頭のアラ・尾の身などからすき取られるものの総称となっているようだ。尾の身は昔、うちの老父がまだ現役だった頃に、みりん干ししたのを作っていた。よく動く個所だけあって肉のように弾力があり、みりん干しとして焼いて食うよりも、鶏肉の代用として食べると結構うまかった。
で、そこまで隅々まで食われる鮪だけど、血合い部分だけを食べるかと言われると、少なくともあの鮪には不自由しなかった実家時代でも、ほとんど食卓に載っていた記憶がない。
他にうまいもんがあったからかもしれないし、何分にも血生臭い部位でもあるので、敬遠してたのかもしれない。*1


そんなわけで、小鍋に出し汁沸かして、鮪血合いをハリハリ鍋にしてみた。
生憎水菜がなかったので、もやしで代用する。
血合いは刺身一切れと同じか若干薄いくらいに削ぎ切りして、「そのまま」「塩をまぶしてちょっと置く」「ナンプラーに浸してちょっと置く」の3種を試す。これに片栗粉をちょっと付けて、沸いた出し汁にもやしを放り込んだものに、放り込んでみる。
しゃぶしゃぶよりは長めに煮るが、あまり煮込むと固くなるので、目安としては30秒。お好みだけどあまり短いと中がレアっぽくなるので、生臭いのが苦手な人は若干ウェルダン気味になるまで煮た方がいいかも。それでも1分くらい。
片栗粉の表面がつるんとして、いい感じに鯨肉っぽい。
また、血合い特有の「血生臭さ」が、絶妙に鯨肉っぽい。
塩で揉んでみたものは、生臭さが緩和されつつも、奥の方に「血と肉」の味が感じられて、ますます鯨肉っぽい。こんな感じで、しかももっと獣の味がするんだよなあ。でも、「海のでかい生き物の血の味」っていう意味では、とてもよく似ている。食ってるものが似てるからだろうか。
塩ではなく、より海っぽさを感じられるようナンプラーに浸したものも試してみたところ、塩だけよりさらにおだやかかつそれっぽくなった気がした。ナンプラーはカタクチイワシのはずなのになあ。
いちばん鯨肉っぽいのはやっぱり「そのまま」かな、と思う半面、食べやすさ美味しさで言えば、ナンプラー+塩がいいのかも。
ということで、残った血合いは全て削ぎ切りにして強めに振り塩し、ナンプラーに浸して、ビニール袋に入れて冷蔵庫へ。
もしかしたら、塩鯨(鯨肉を塩漬けしたもの)的に「塩鮪」もいけるのかもしれない。


ともあれ、刺身、ヅケ、偽鯨肉、と97円で少なくとも4食は堪能できそう。口福口福。





ところで、振り塩とフリージアって似てない?

*1:イルカ肉なんかも血が多い肉なのだが、この血が曲者で下ごしらえのために下煮していると、とにかく臭かった。完成品はうまいんだけどなあ。