良いパズル

パズルはなかなか仕事になりません。
パズル的思考の人達は、ばりばりの理系の方や数学的に深いところに造詣の深い方が多く、皆奥の奥の奥まで戦略考えてて、考えすぎで凄いことになっててすげーなーと思う。真似できん、アレは。
ではルールが複雑なパズルが良いものなのかというと、必ずしもそうでもない。というのは、一時期ルールが複雑化しすぎたコンシューマRPGが、初心者を受け付けなくなって凋落してしまったことからも、なんとなくうかがい知れる。やってみたら面白いんだろうけど、ルールの複雑さ、チュートリアル不足が垣根を高くする。
だから、できるだけルールはシンプルなほうがいいわけで、シンプルなルールのものほど傑作が多いと思う。
例えば僕の溺愛する数独*1とか。
これは、「縦横、いずれも同じ数字は一度しか入らない」「9×9=81のマス目を全て埋めよ」というだけのルールなのだけど、それを解いていくための「法則性」を見つけていくのが面白いわけで、慣れてくるとタイムアタックすらできるようになるというのが恐ろしい。真似できん。解くので精一杯です。
でも、その「法則性を語れ、説明しろ」って話になったら、たぶん物凄く分かりにくい説明の仕方しかできないだろうなー、と思う。なんというか、ラインとラインの排他性というのがあって、残り2マスになったとき、余りをどう扱うかとかそういう面倒くさい言い方しかできないんだけど、解き慣れてくると自分の頭の中に「解き方のフレームワーク=法則性」みたいなのが何通りもできてきて、それを見つけていくのが楽しいというか(ry


このへん、良いパズルというのはルールがシンプルというより「目的」が凄くシンプル。有名なハノイの塔のように、「重なった円盤を全て右端に移動させよ。ただし、小さな円盤の上に大きな円盤を乗せてはいけない」みたいな。
この場合のパズルの目的というのは「すべて移動させよ」で、わかりやすい。
そして同時に「ただし、小さな円盤の上に大きな円盤をのせてはいけない」という付帯条件が付く。
数独の場合は「全て埋めよ」「ただし、縦横各列の数字は一度しか使ってはいけない」で、やっぱり付帯条件が付くんだけど、それもシンプル。


遺伝記で言うと、「怖い小説を書け。ただし、どれかと繋がってること」という感じに集約できる。これに「審査もせよ」とかもう一個付帯条件が付いてくるけど(^^;)
細かい条件とか、細かいQ&Aは本当はなくてもいい。
極論すれば、CGIの入力方法だってなくてもいいし、常識で考えろ、で終わってしまいかねないのだけど、どういうものにでも「解釈の仕方」というのはあって、解釈の相違が連鎖的な拡大発展を生む場合と、解釈の相違が誤解と殴り合いを生む場合がある。やはりTPOというのはあるなと思う。
また、手取り足取り教わらないと動けない人がいる一方で、基本を理解すると恐ろしく応用性を発揮するという人もいたりする。遺伝記では応用のための方法や攻略法のヒントまでを一気に書きだしてしまったので、なんだか凄く複雑で凄く難しいように見えるけど、基本はシンプル。
「繋がってる怖い話を書き、自分のも他人のも分け隔て無く審査する」
そんだけ。
ただそこに、「自分に有利にするためのコツ」が存在している、というだけの。


と、このように最近は何を見ていても、何をしていても遺伝記に頭が行ってしまうのだが、それだけ大昔から思い入れのあるライフワーク的な企画のリベンジ版が目前に迫っているということで、まあ勘弁していただきたいのだった。夏だし。*2

*1:ナンプレ

*2:日露戦争あたりの戦記なんかを読んでいると、あの時代の名参謀・名軍略家のエピソードがごろごろ出てくるのだが(マハンとか)、一分の隙もない完璧な布陣というのは、実は膠着状態を生むだけで結果的に自戦力の消耗になるので、実は良くない布陣であるのだというようなのを、どっかで読んだ。誘い水として敢えて弱く見える手薄の個所を作っておき、そこになだれ込ませておいて背後を狙う、とかそういう。銀(ry 的には、ヤン=ウェンリーとラインハルト・フォン・ローエングラムの十八番。故に、敵対したときに手薄な個所があったら、逆に罠があると考えて警戒するか、安易に軽んじないほうがいいってな話は別に目新しい話でもない。三国志なんかで「待て、これは孔明の罠だ!by司馬懿」とあるように、それそのものが誘い罠であるかもしれないし、本当に急所であるかもしれない。勇気と武断で軽んじるのと、慎重と臆病で疑うのと、どっちが正しいのかは誰にもわからんわけなのだが、そういうところの裏の裏の裏の裏を読み合うようなところに、パズルやストラテジーゲームの面白さがあったりもする。でも消耗するよね。ストラテジーゲームって(^^;)