iPod touchの修理

校了の真っ最中にアップルからメール来てた。

アップル修理サービスでは、すべてのiPodに一連の製品検査を行なっております。この度の製品検査の結果は以下の通りです。なお、この検査は問題が確認されるまで順次行ない、問題特定が出来た時点で検査終了となります。

1.受け取り時の外観検査:正常
2.LCD 検査:正常
3.起動テスト:正常
4.ハードディスク診断:正常
5.バッテリー充電およびバッテリー寿命テスト:正常
6.機能および一般的な操作のテスト:正常
7.コネクタ検査およびテスト:正常
8.音声/映像および再生テスト:不具合を確認しました。

この後に、あとどれだけの項目があったのかは不明なんだけど、アップルが不具合を認めて交換対応するまでのチェック項目が見えてきた感じ。この1項、「外側に傷がある、凹みがある」という場合、傷の程度にも寄るんだろうけど、物理的破壊痕があったら、もうその時点で「問題特定」としてしまうんだろうかw
LCD(モニター)はもちろん映らなきゃ壊れてるというのは明らかなので、これはわかる。起動テストも同様。
ハードディスク(SSD)診断というのは、これは「iPodを起動して自己診断しました」ということかな。
バッテリー充電&寿命テストというのを最短で行うとしたら、まず満充電し(ほぼ満充電で返したけど)、動画を再生して5時間くらい保つかどうか(音楽再生だと20時間掛かるので)を試し、そこから再度満充電に2時間くらい、いやそんなにかかんないか。内蔵動画を再生してバッテリー寿命テストをやるんだとすると、恥ずかしいデータは消してから返したほうがいいかもしれない! 恥ずかしいデータが入ったままで交換修理に出す人は要注意だw 僕のiPodに入っていた一番でかい動画データはハイトニックの路上動画だったので、きっとアップル修理センターではハイトニ動画が5時間分(1回30分なので10回分)再生されたに違いない。
機能及び一般的な操作のテストは、タッチパネルが正常かどうかを見てるんだと思うけど、これはバッテリー充電&寿命テストより先にやるべきなんじゃないかと思うんだがどうなんだろう。
コネクタ検査も同様。
そして、今回の最大の懸念であるところの音声/映像及び再生テスト……あり?
バッテリー寿命テストの時点で、もう判ってる話なのではないのか? という気がしないでもない(^^;)


ともあれ、そこで不具合が確認されたということで、めでたく交換となった模様。既に昨日の時点で不具合認定→交換決定して、修理品(別製品)の交換返送準備に入っているというステータスが出ているので、今日中に発送されれば明日か明後日には戻ってくるだろう。
修理問い合わせ(オペレータと電話)が8/4、こちらから返送したのが8/5日の11時過ぎくらいで、到着が8/6。不具合確認は8/6のうちに済んでいるので、今日あたり発送されれば、明日には到着するだろう。そうすると正味5日での対応ということになる。オペレータとのやりとりで問題個所についてはかなり具体的に伝えてあったので、そのへんも対応が早かった理由だろか。


僕のiPodは刻印入りだったのだが、それだと返送にさらに2週間くらい掛かるということだったので「んじゃあ、それは飛ばしてよい」ということで、次は刻印なしの新品(恐らくは再生品)が来ることになる。
こちらから送り返すときには「傷はないですよね?」としつこく聞かれるので、戻ってきたら傷がないかどうか細かくチェックしたれw


しっかし気になるのが、「ではなぜそうなったのか?」の部分。
アップルのリペアセンターというのは、実際には修理をするセクションではなくて、「不具合を確認して、新品を送り返すセクション」なので、訴えられた症状を確認することはあってもそうなった原因というのは特定してくれないし、教えてもくれない。「どうせユーザー自身がどうにかできる問題はほとんどなく、メーカー側の改善に当てられるかどうかだけ」という考え*1もあるのだろうけど、自分がそこにコミットできないにしたって、「ではなぜ?」という原因を知りたいと思う。GEEKだから。


基本、机の上に乗せっぱなしで、持ち歩くときにはカバンに入れっぱなし。物理的衝撃痕もなし。
だけど、キャビネットは内側から圧迫されて隙間が出来てた。
バッテリー検査では充電/寿命ともに問題ないということだったけど、気になるのはこの点。
もし、バッテリーに問題がないにも拘わらずキャビネットが開いて*2しまうのだとすると、これは工作精度の問題というか、アセンブリ*3の問題となるわけで、他のiPod touchiPhoneについても広く同様の問題が発生している可能性がある。それを承知している(類似事例がすでにかなりある?)から、「隙間が生じたiPodの故障」に対して、やたら迅速に対応できているのかもしれない。
アセンブリの問題だとすれば、iPod touch/iPhone全体に関わる話で、今後も新型の量産体制をキープしたいアップルとしては、結構重大な問題になるような気がする。


一方、オペレータはキャビネットに隙間が出来ていることを伝えたときに「ああ、バッテリー膨張の可能性がありますね」ということをさらっと言っていたので、バッテリー膨張でキャビネットが内側から圧迫されるという不具合であった可能性は高い。
touch(おそらくはiPhoneも)のバッテリーは、それ以前のiPodのような硬質のパッケージではなく、指で曲げられるほど柔らかいものだということが知られている。これは、薄さと面積を稼ぐために、パッケージを犠牲にしているということかな、とも思う。Liは膨張するとは限らない、というアップルの主張はあくまで建前論だとは思うが、いずれ膨張する可能性は低くないということを承知の上であの形のバッテリにしたんだとすると、touch/iPhoneはできるだけ短いサイクルで更新していく*4という性質の製品なのかもしれんなー。


が、ここでちょっと気になることがある。
僕は2月に32GBが出たときにすぐに買い換えてしまったので、実際に稼働していた期間は半年程度。「バッテリーの寿命&充電時間は正常だった」というアップルの検査結果がその通りなのだとすると、バッテリーの性能が正常でも、半年程度の使用でバッテリーはキャビネットを広げるほど膨張するっていうことは起こり得るんだろうか?

これについてはちょっと思うところがないこともない。通常、iPodシリーズは「持ち歩いて聞く」ことが前提になっている。つまり再生中はバッテリーはどんどん放電していて、聞かないときだけ充電されている……というのが想定された使い方ではないかと思う。20時間は保つわけだから、よほど毎日過酷な使い方をしない限り(例えば毎日20時間いっぱいまで聞くとかw)、実はそんなにマメに充電しなくてもいい。
家人の使っているiPodクラシックは、最後に聞いたのが7月の上旬あたりで、それから一ヶ月近く充電してなかった(iTunesと繋いでいなかった)にも拘わらず、バッテリーは大余裕で残っていた。つまり、自然放電はあんまりないというか、毎日使っても数日に一度かへたすりゃ1週間に一度の充電でも足りる。
その程度の使い方であれば、Liバッテリーの損耗劣化の進行もかなりゆっくりであるはずで、あの柔らかい電池であっても致命的にパンパンになるにはそれなりに時間が掛かり、バッテリーの寿命が来る前にSSDの容量不足のほうが不満になって買い換え、となるだろうと思う。*5


僕の場合、机の上のDockに乗せっぱなし。ある意味、常時充電されっぱなしの状態で、音楽を再生している。家にいるんならiTunesでいいじゃない、という話もなくはないのだが*6iTunesはあれで結構重いソフトなので、DTPなどCPUパワーをそれなりに食うソフトで仕事をするときに、不安定ででかい音楽再生ソフトを常駐させるのは、いろいろと作業負担になる*7
脳味噌を使わない作業に集中するときはやっぱり音楽は必要なわけで、そうなるとPCに依存しないでtouchから曲を鳴らすことが多くなる。
もちろん、touchにだって過充電防止機構はあるだろうと思うので、充電しすぎで熱くなるとか爆発するとかってことは、たぶんないと思う。恐らくきっと。
が、常時再生常時充電を基本の使い方として使ってたことが、バッテリに通常以上の劣化の可能性を与えていたのだろうかと思わなくもない。


アセンブリが原因か、バッテリが原因かは置くとして、キャビネットに隙間が出来てたというのが、音質劣化の原因なのではないか? というのは、濃厚な気がする。
最近のこの手のガジェットというのは、クリーンルームで組み立てられるほどに、埃やゴミの内部侵入を嫌う。キャビネット*8に隙間があるということは、そこから埃やゴミが侵入する可能性が増えるということであるわけで、不具合の原因としては非常に大きいのではないか。
最初、ステレオヘッドホンジャックが片側だけ聞こえなくなってきた(しかし、プラグを回転させると聞こえたり聞こえなかったり変化した)ので、何らかの接点不良を疑ったのだけど、Dockコネクタに差して使うタイプのヘッドホンでも同じ側が聞こえたり聞こえなかったりという不具合が出た。ステレオヘッドホンの端子とDockコネクタの双方から同じ症状が出るということは、もし接点不良が起きているとしたら、それぞれのさらに上流のどこかに不具合があった、ということになる。例えば、基盤にハンダ付けされているはずのリードが取れかけてる、的な。
これが起こる可能性があるとすれば、

  1. 最初からハンダ付けが半端で、いつ外れてもおかしくない状態だった。アセンブリのミス
  2. 物理的衝撃が加わったことでハンダが取れた。*9
  3. ヘッドホンプラグの脱着の繰り返しで破損した。*10
  4. バッテリーの膨張によりハンダ付け部分に負荷が掛かって、ハンダが剥がれた。*11
  5. キャビネットの隙間から何らかの異物が入って、ハンダ部分を損傷。*12

などなど。個人的にはバッテリ膨張でハンダに負荷が、というのをちょっと疑っている。
が、このへんは自分で分解したわけではないので、あくまで想像の域を出ない。touchに分解レポートはあちこちに出回っているので、構造はおおよそ想像できるのだけど、組み立てた状態での遊び(というか部品同士の隙間)がどの程度なのかなどについてはわからないことが多いのだけど、iPod touchのあの基盤の薄さ*13、Li電池の薄さその他を考えると、バッテリーの膨張で基盤が割れる、基盤が割れないまでも圧迫されるというようなことは起こらないとは断言しにくい気もする。


touchは、基盤を極力薄くしたことで、基盤の強度は下がっているのではないか、とも思う。Li電池も薄く広くし、物理的な操作が必要な部品は本体上部のロックボタン、本体下部のホームボタン、ヘッドホン、Dockコネクタの4個所だけだ。これらの基盤上に物理的に接続された部品との接続点というのが、touchの隠れた泣き所なのかもしれん。見えないし開けられないから、どうなってるかはわからないけど。


iMacはスケルトンになってて、「中身が見えてかっこいー」というのが当時の売りだった。新品だったらいいけど、使い込んでいって中に埃とか虫の死骸とかが入り込みはじめたら*14、なまじ見えるばっかりにストレス溜まるだろうなあ、と思っていたw
iPodは中身をまったく見せない構造になっているんだけど、中身が見えないなら見えないで、「なぜ不調なのか?」が全然わからなくてストレス溜まる。
まあ、ソフトウェア的におかしいという話であれば、外から目視したってわからないのでどうにもならないんだけどw、物理的な不具合の可能性に関しては、外から見たらわかるような気がしてしまうのがGEEKの厭なとこだよな、と自分でも思う。*15


ともあれ、早く来ないかな。新品のtouch。

*1:それはそれで至極もっともで、ユーザーが自己改良できる=改造されやすい、ということでもあるw

*2:しかも、押しても閉じない

*3:中国にある組み立て工場

*4:ユーザーが買い換えていく、という意味も含めて

*5:僕がiPhoneに食指が動かない理由のひとつとして、SSDがちっちぇー、というのがあるw

*6:今は繋ぎとしてそうしてますが

*7:同じ理由で、仕事が佳境に入るとskypeも落としてしまう

*8:しかも上部

*9:でもこれなら物理的衝撃痕が残るはずなので、この可能性は最初に排除された

*10:可能性はゼロではないけど、ヘッドホンプラグはDockコネクタより下流で繋がってるように思えるので、Dockコネクタ側にも不具合があったことの説明ができない

*11:僕はこれを疑っていた

*12:キャビネットの隙間は0.3〜0.5mm以下だったので、ハンダを物理的に破壊できるほど大きいモノが入る可能性は低い。ただ、例えば導電性の何かが入り込んで回路を焼いた、というようなことなら起こり得る

*13:それまでのiPhoneiPodと比べても基盤そのものを薄く作る新技術で作られているらしい。3G版iPhoneがどっちの技術なのかはわからないけど。

*14:昆虫は温かいところがお好きですw

*15:機械が壊れると、直す知識のあるなしに関わらず、とりあえずキャビネットを開けて中を覗かずにはいられない、ダメなお父さんが昭和の時代にはいっぱいいたw。たぶん、僕もそういう血を引いているのだと思う。