もっと分かりやすい例え

中川財務相辞任騒動で霞んじゃったけど、数日前にも書いたかんぽの宿の話はまだ進行中。
http://d.hatena.ne.jp/azuki-glg/20090215/1234667098
新しいニュースが出てくると、その前のニュースは「もう古い」となってしまうけど、興味が失せたからってそれが解決したわけじゃない。


長々書いたことについて、もっと端的な例えを拾ったのでメモ。

  1. 2000万のBMWが1円で売られていても、それに2000万のローンも付いてくるんだったら誰も買わない
  2. バブルの絶頂に買った億ションは、バブルが弾けた後になぜ買ったときの値段で処分できなかったのか?


いずれも的確な例えと思う。
(1)は2000万を2000億、BMWかんぽの宿、1円を109億に置き換えて考えるとすんなりと腑に落ちる。かんぽの宿のローン(というか経常赤字)は2000億ではないけど、毎年40億を超える赤字が出続ける、今年109億で売れなければ来年は149億で売れなければ赤字がかさむ、というのが竹中平蔵氏の主張で、「利益獲得ではなく、損切りのために手放せ」というのがかんぽの宿売却処分の本旨なのに、いつのまにか「元手を取り返せ」に話がすり替わって膠着状態に陥っている。
(2)も同様で、バブル絶頂期の億ションは購入の時点では「さらに値上がりする」「処分すれば元金がいつでも取り戻せる」「賃貸に出せば家賃収入は金利を超える」というような触れ込みで売られていたけれども、実際にバブルが弾けてしまうと値上がりどころか値下がりし(減価償却もある)、値下げによって元金割れするので売るに売れずに塩漬け、バブルが弾けた後では賃貸収入では金利どころかローン支払いにも足りず……売れなくてなくなく塩漬けになったものが不良債権または処分不能不動産になった。
需要がなければ、取得時にどんだけ金を掛けていようと処分価格は取得価格を上回ることはない。


ここで、「なぜそんなに高い金で買ったのだ! 責任者出てこい!」という責任追及や責任者への罰則を望む必要はもちろんあるのだろうが、これは放火に例えられる。

  • 放火が原因で建物が火事に遭い、目の前でがんがん燃えている。そのときにすべきことは、犯人を捕まえること以上に、まず目の前の火事を消火すること。燃える火災を目の前に、犯人探しと犯人確保の乱闘をやらかしていたら、火事は隣に延焼する。


とそういう感じ。
かんぽの宿問題についていえば、今も燃え続け、延焼し続けている火災である。それが失火なのか放火なのかの責任追及は必要だろうけれども、今第一にしないといけないのは、「延焼防止」と「消火」であろう。不動産処分は、日本郵政にとって破壊消火にも相当するものなんだけど、燃えてる物件を目の前に「2000億掛けたんだから、壊してタダ同然にするな!」「誰が燃えるような物件に2000億もかけたんだ」と騒いでも仕方ない。


何事も優先順位を見極めるって大切だよなと、ここでも思うのだった。