サイバネティックヒューマン

昨日辺りから方々のガジェット系サイトで話題になってるアレ。

産総研:プレス・リリース 人間に近い外観と動作性能を備えたロボットの開発に成功
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090316/pr20090316.html

これ、絶対にヘッド部分はオリエント工業製だと(ry


それはそれとして、産総研ってつくづく日本のDARPA*1だな、と思う。
もう、何してくれちゃってんだよもうw


陸上ロボット分野では、アメリカは「セグウェイタイプの車輪走行*2」か、「SWORDタイプの履帯走行*3」か、「Big Dogグタイプのエッホエッホ四脚歩行」という選択肢を選んだ。
車輪/履帯など、移動に際して既存の技術を使うことは手っ取り早くて、「問題は移動方法じゃなくて、その上部構造物の性能だよ!」という考え方はいかにもアメリカ的実用主義
Big Dogのあのアホらしい愛らしい動きはアメリカの実用主義からは離れているように見えて、ガソリンエンジン駆動だとか、蹴っても倒れない四脚動物のバランスだとか、履帯以上の荒れ地走破性など、これまた手っ取り早い。
いずれも「軍用で即利用するには」というのが開発の根本にあるため、技術的に難しいうえに、二足歩行にはメリットを見出しにくいのかもしれない。*4


日本が技術的に難しい二足歩行にこだわってる理由は、「他にやってるとこがないから」じゃなくて(たぶん)、「民生利用する場合、ロボットに合わせてインフラ(公共設備や家屋の構造)を全面刷新できないから、通常の人間が使う既存インフラの中に入り込める、重心の高い縦型装置が必要」っていうことで、二足歩行が原則になっている人間と同じ動きができるロボットを獲得しようとしてるのかなあ、とか思う。


こういう技術の着眼点の差について思い出されるのは、
「電波吸収素材を開発したアメリカはステルス機の外装に塗り、日本は橋と電子レンジの内面に塗った」
「カーボン素材を開発したアメリカはそれで航空機を作り、日本はゴルフクラブとバットを作った」
という事例。
大物、軍事モノを作ったほうが、大きな金が得られるのでアメリカはそうし、軍事モノ市場がごく小さく、また、リスクの大きな大物の市場より、安くてたくさんの需要を満たしそうな小さな物に活用していくのが日本、というのは、これは風土の影響というか国柄もあるのかなあ、と。


産総研は、この人間型ロボットを、「サイバネティックヒューマン」と呼んでるそうなので、ここでもそれに倣う。
しかし、この無駄にリアルなヘッドwww*5
なんというかオリエンt(ry


これを見てまた思い出したのが、産業用ロボットが初めて企業の工場のラインに導入されたときのエピソード。
元々多関節産業用ロボットはアメリカで開発されたのだが、アメリカでは「労働者の仕事を奪う」という組合の反対もあって、その普及は遅かったらしい。例えば米軍はプレデターなど無人のロボット航空兵器に、任務を更新し始めているが、これについても当初はパイロットの職を奪うとして、結構な反発があったらしい。
日本の工場の生産ラインに産業用ロボットが導入されたときは、工員達はロボットに当時のアイドルのブロマイドを貼り付けて「百恵ちゃん」「順子ちゃん」と命名して、受け入れていたらしい。
このへんにも日米のロボットとの「距離感」の違いが出ている。


無駄にリアルなヘッドが首から上に乗っかってるロボットというのは別に今回のサイバネティックヒューマンが初めてというわけでもなくて、韓国がASIMO型のロボットにアインシュタインの頭を乗っけたのも作っているし、日本でも「顔の表情を作るロボット」というのは幾つも開発されてきている。
が、いずれもその顔というのは、なんかおっかないのだったw
今回のはかなりオリエn(ry まあ、リアルだなと思う。既存のキモイヘッドが乗ったロボット群に比べたら遙かに。
何より、身体のバランスが(手がでかいことを除いて)かなり均整が取れている。人間のリアルヘッドを乗っけて、人間っぽい振る舞いをするロボットだって幾つもあるが、自律的に二足歩行ができるロボットには本来こんなリアルヘッドいらねーだろ、とwww


たぶん、欧米あたりからは「また日本がやらかした!」「アレは絶対にコスプレ!」という声が上がるだろうことは間違いない気がする。
でも、見たいなあ。生で。
せっかくだから、音声はVocaloidにしませんかね?
ミクでもルカでもOKなので。



2009/3/17追記:

DVICE: HRP-4C robot ready to put human fashion models out of work
http://dvice.com/archives/2009/03/hrp-4c_robot_re.php

たまにネタ拾いする海外サイト「Sci-Fi tech DVICE」でも話題になってた。

By designkiller at 7:09 AM ON 03/17/09
yeah, she/it is the granny of motoko kusanagi LOL :D i thought the same. Once they improve the way of walking, the proportions of the body parts, i think they can start to sell/use these machines as it happens in ghost in the shell :)
(意訳:草薙素子キタ━━(゚∀゚)━━!!)


By shiptosee at 7:32 AM ON 03/17/09
Wow, that's almost scary the realism. It looks like a girl wearing a robot suit!
(意訳:リアルすぎてキモッ! パワードスーツを着たおにゃのこっぽいよね)


By mine-own at 8:16 AM ON 03/17/09
i'd hit it. can it do "other" things? ;)
(意訳:ね? できる? 「他」のことできるよね?)


By amit at 10:30 AM ON 03/17/09
good post.........................
(意訳:ゴクリ……)


By joeschmo at 1:01 PM ON 03/17/09
mmmm... sexy, look out milan!
(意訳:むひょー、たまんねえぜ!)


By snakerake at 1:38 PM ON 03/17/09
what's with the gigantic hands?
(意訳:いや、手がでかすぎね?)

まあ、考えてることは洋の東西を問わんな。
惜しむらくは、彼等はオリエント工業の存在を知らな(ry


追記2:
拾い画像で。

HRP-4Cは「ファッションショーにも」という話なんだけど、実際に着せたらこんなふうになるだろう、というイミテーション画像なのだが。
ねらーは仕事早すぎるよwww

で、ますますオリ(ry

*1:DARPAアメリカで「ない、絶対にそれはない!」という超兵器や超技術の開発に、けっこうとんでもない金額を先行投資するので有名な開発局。ここから生まれた超兵器/超技術wでもっとも普遍化したのは「インターネット」だが、狂気の沙汰としか思えないような研究を結構やってるため、「米政府公認のマッドサイエンティスト・ラボ」とも。

*2:平面でしか移動できず障害物に弱い

*3:障害物にはやや強いが、道路を傷めるため戸外の未舗装地に用途が制限される

*4:最近、ロッキードだったかが、二足歩行の軍用外骨格スーツを発表してたけど、あれも「二足歩行のフォークリフト」で、エイリアン2のローダーに近い概念。

*5:手=マニュピレーターが大きいのは、手の表情を見せるためじゃないかなー、と思った。手話利用とか。