朝日新聞社本社の校閲部員が、会社の仕事では使えない禁止用語を会社のPCから2ちゃんねるに書き散らして鬱憤を晴らしていたら、IP掘られて会社にバレて怒られたでござるの巻。ニンニン

朝日新聞社・ネット工作部隊って本当にあったんですね。
というのが昨日今日で盛り上がっている祭り。
その概要はと言えば、タイトルで言い尽くされてるわけなのだが、一応まとめてみる。

2ちゃんねるの鉄道板を荒らしている奴がいた。

コピペや日本語として意味をなさない系の罵倒中傷が多すぎる*1ので、運営にIP掘りが依頼された。

運営がIPを掘ってみたら、発信元は朝日新聞本社だった。

運営は該当する朝日新聞本社からのIPを接続遮断。朝日新聞社に抗議と警告(IP遮断に関する通告)を行う。

朝日新聞2ちゃんねるなどに対して「ネット取材」と称するものを行っているのだそうで*2朝日新聞社のネット関連を管理する外注コンサルに、接続できなくなった旨、IP変更の指示などがあったという内部告発が出た。*3

2ちゃんねるで罵倒中傷がやたら激しいニュース系の板、政治系の板から、民主党擁護/麻生政権批判/ネトウヨヨット右翼w・ヲタク批判/親中韓朝発言が、一斉に態を潜めた。*4

Technobahnが記事化して、祭りスタート。

朝日新聞が事実を確認して謝罪掲載 ←今ここ

第一報を掴んだ時点では、もちろん一般紙に出てくることはないと思っていたら、一般紙じゃないけどwいつもの技術系オンラインニュースの「Technobahn」が早速ネタにしていて、さらに朝日新聞自身も、

asahi.com朝日新聞社):本社編集局員、差別表現をネットに投稿 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0331/TKY200903310332.html

と、事態を重く見て内部調査と公開謝罪に動いた模様。


これは朝日新聞GJとか朝日に良心があったとかいう話ではなくて、2008年7月の毎日変態新聞事件での毎日新聞の泥沼の失態から学んだリスクマネジメントではないかと思われる。

  • 嘘に嘘を重ねると事態がどこまでも拡大する
  • 個人の行為(該当社員・当事者の行為)を会社が擁護しない(スケープゴートを迅速に差し出す)
  • どこまでも低姿勢で、迅速に謝罪を行う
  • 内部調査、原因究明、自己分析を行う

などなど。この辺り、毎日新聞が初動で失敗したことから学んだ対応と言える。なかなか良いコンサルが付いている、またはコンサルの言うことを素直に聞かざるを得ないほどに、毎日新聞が被った打撃は大きかったということだろうか。一時期、mainichi.jpから自社広告以外の広告が一切消えてたもんなあ。


今回の一件については毎日変態新聞事件と違って、朝日新聞が社名を掲げて発表した記事が原因ではない点などから、「新聞配達員が痴漢や強姦殺人を行ったケース」と同様に、「所属する個人の犯罪」というところに落とし込んで、「以後は気を付けます」で決着させたい、という思いが透けて見える。
普段、「ネットは悪」「ネットは誹謗中傷の巣窟」と煽ってきたところに、それを実際にやっているのは朝日新聞の社員でしたでは話にならない。故に、該当者個人の犯罪として矮小化した上で、できるだけ速やかに話題を風化させるか、イメージされる内容を他の誰かの似たような犯罪例やまったく逆のニュースで塗り替えてしまう、というような情報操作がこれから行われるのかもしれない。
例えば、巷では「KY」と言えば「空気読めない」という意味合いで、安倍元総理を中傷するキーワードとして知られているが*5、これは元々は朝日新聞社が珊瑚を自ら傷つけて「珊瑚破壊者がいて嘆かわしい」というニュースを捏造した朝日珊瑚事件で、珊瑚に付けられていたイニシャル「KY」を、掻き消すための言い換え工作の結果だとも言われている。*6

同様の、事件隠蔽工作はある。かもしれない。というより、以前の例があるだけに、ないと断言できない。


こうしたネットイナゴwによる祭りは、あまり長くは続かない&組織化されにくいこともあって、息を潜めていればいずれ飽きるだろう、飽きるはずだ、お願い飽きて、という切なる願いもあるのではないかと思われる。
実際、リーダーを潰せば組織が脳死する、という類のものではない。
これはWW2のパルチザンキプロスあたりから始まる「細胞組織」の典型例で、ネット住人達による祭りやそこから発展する毎日変態新聞事件でのネット住人達の対応のように、「スローガンと手段の流布」だけを繋がりとして、それぞれ個々の細胞は独立している、しかし同じような動きを連鎖的に行うというような事象・反応は、誰か一人を脅したり賺したりで一斉に沈静化できるようなものでもない。
新聞社やテレビ報道などでは、「ブームは作るもの」「情報の一斉送信で、世論は作れるもの」という意識と自負があるが故に、自分達に不都合な「世論」も操作できるもの、と思っているのではないかと考えられる。(それが毎日新聞の対応に見られる誤算だったのだろう)


また、「ネットと実生活は違う」「ネットで語られていることは、実生活では通用しない」という意識もそれなりに強いのだろうと思うのだけど、パソコンからであれ携帯からであれ、ネットを使うユーザーは今後増えることはあっても減ることはない。
ということは、
「ネットで語られていることしか知らないような人間」は少数派でなくなり、
「ネットで語られていることも知らないような人間」が少数派になる可能性は大きい。
現在のところ、「ネットで語られていることは実生活では通用しない」と考えている人が実生活(実社会)の高位にあるため、そういう前提が常識とされているけれども、いずれそれでは通用しなくなる。実際、通用しなくなってきているからこそ、テレビ視聴時間の減少、新聞購読者数の減少が起きているんじゃないのかな、とも思う。*7


そうなってくると、「ネット住人をどうやって制御する」または「ネットを使って情報操作をするには?」という技術の習得が必要になってくるわけで、毎日新聞が「従来の対応」でしでかした失敗を糧に、朝日新聞は「ネットでいい顔をしつつ、権威の失墜を永続させない対応」「ネット住人をくすぐりつつ、同意を引きだす」「意図した論調にネット世論を導く」ための、手法の開発を行っているのではないか?
単に「これが正論です!」「これが正義です!」と書けば、誰でもそれに従うという時代は過ぎているわけで、ニュースソースの横の比較*8と縦の比較*9について、膨大な切り抜きを書斎に溜め込んでいる専門家でなくても、容易に比較検討が出来るようになった。
もちろん、その中には真偽怪しい資料もあるわけなのだけど、最近では「新聞の切れ端を集めている専門家だから正しい」という従来の思い込みは、実はさほど正しくなかったのではないか、という【気付き】も起き始めている。
情報の上流、玉石混淆の情報を「選別して正しいものを提供する」という点に利権wを持ってきたのが新聞・テレビなのだと思うのだけど、その情報の選別能力が低下した状態で、先達の作ってきた「選んだものを煽り広げる」部分だけを肥大化させてしまい、目的と手段が入れ代わったことを修正できないでいるのが今のマスコミなのかなあ、と対岸の火事……じゃなかったw他山の石として見守っている。


そんなわけで、今回の朝日新聞遮断事件が「校正部員の暴走」という一個人の犯罪に押し込められるのかどうかというのが、非常に興味深いところ。
朝日新聞社を遮断したら、民主党支援やその他の板でのコピペ荒らしが激減しました」
っていうのが証明されるようなことでもあったら、今回の一件だけじゃ済まなくなるのかもしれないし。


それにしても、「校正部員が差別用語・誹謗中傷の暴言」という辺りに限って言えば、「日本語として存在するのに、出版禁止用語/自粛用語となっていて仕事には使えない言葉」がたくさんあるが故の、ストレス発散wだったかもしれない、と思えば、ちょっとだけ気の毒だなとも思う。
差別用語とされる言葉の多くは、「本来は差別意図はまったくない、【区別用語】だったもの」や、「差別意図を伏せるための隠語・配慮として使われてきたもの」などが多く含まれている。
例えば、あまり普及や認知はされていないかもしれないけど、「お巡りさん、お手伝いさん、用務員さん」というのは職業差別用語に含まれるらしい。「警察官、家事手伝い・ホームヘルパー、学校事務員」と言わなきゃいけない。ついでに言うと「○○○屋」という職種呼称も本来はいけないらしい。八百屋とか魚屋とか畳屋とか怪談屋とか。ちゃんと青果販売店、鮮魚販売店、藺草製品販売店、怪談作家と言わないとダメ、とw*10
でも、「八百屋」と言われてそれを気にする八百屋さんが少数派か、もしくはそんなことを声高に文句言う大声の青果店員が出てこない限りは、八百屋は八百屋で通用するし、お巡りさんは愛称であるという認識&相手は公務員であるが故に、お巡りさんという言葉もなくならない。


一方、「美しい国」などのように、どちらかと言えば、いい意味で使われた言葉も、「そんな言葉を使うような奴はバカ」という、嘲笑う意味にすげ替えられてしまっている。これもマスコミ自身がやってきたことで、結果的に「言葉の本来の意味と違うニュアンスを与えることで、それを使いにくい言葉や差別用語に変えてしまう」ということが繰り返されてきた。
先頃「乞食」とテレビ放送で発言したゲストコメンテーターがいたとかで、それを「差別的意図の不適切な言葉」と謝罪したらしいのだけど、「食を乞う」から「乞食」で、それの何がいかんの、と。
じゃあ、「ホームレス」はいいのか、と。「家がないからホームレス」と。僕らの子供の頃は「レゲエ」というのが乞食の隠語でホームレスはまだ登場してなかった。もう少し遡って、うちの親父の若い頃あたりになると、「バタ屋(バッタ屋)」と言ったらしい。今「バッタ屋」というと「バッタものを売る店」で、リサイクルショップの隠語なんだけど、昭和20〜30年頃の「バタ屋」は、クズ拾いの隠語で、クズ拾いが差別的(または人前ではっきり言うのは憚られる)ということから、「バタ屋」という隠語が発生したらしい。バタ屋のバタがどっから出てきたのかは、それ以上追うのが面倒なのでここでは割愛。


まあ、差別語上等! というわけじゃないけどw、差別と区別の違いや、職掌を表す伝統的な言葉、方言、隠語というのは残していくべきだと思ってはいる。


この冬から僕はATOK2009を使っている。
視覚障害を意味する「めくら」「めしい」は、どちらも変換できない。
聴覚障害を意味する「つんぼ」も、変換できない。
発音障害を意味する「唖(おし)」は辛うじて変換できた。
歩行障害を意味する「片ちんば」は、変換できない。
手抜かりがあることの隠喩である「片手落ち」は変換できるが、内蔵辞書では意味が出ない。
星飛雄馬の親父、星一徹の職業、「日雇い人夫」は、「日雇い妊婦」と変換され、人夫は「にんふ」と入力しないと変換されないんだけど、にんふからたどれる辞書での読みは「にんぷ」になっている。
言葉は、入り口から消され、出口でも消されている。
多くの場合は、「配慮」「善意」または「事前の面倒事の防衛」のためにそうされている。
僕らはそうしてどんどん言葉を亡くしているのだなあ、とふと思うのだった。
……まあ、その分、隠語がどんどん増えるだけなんですがね(^^;) 隠語は誰かが日の当たるところで意味を説明した途端に、新たな差別語認定されて死んでいく。その繰り返しがこれからも続くんだろなとか思うのだった。


ところで死語になって久しい「バカチョンカメラ」のバカチョンは、「馬鹿でもチョンでも」という喩えの省略だが、この場合の「チョン」は朝鮮人じゃなくて「拍子木の音」のことで、江戸時代からある言葉らしい。取るに足らない、半人前の意で、落語で言えば与太郎的な人物をくすぐる言葉であるらしく、意味としてはバカとほぼ同義で、そこには朝鮮人をどうこうする意味合いは特にない。




……場が暗くなったので、少し明るい話題でこの項を終わる。

■ 朝日新聞工作員迷言集 ■
『コピー&イスト』『名誉執行妨害』『ネティブキャンペーン』『にちゃんねー』『意欲業務妨害』『名誉禁止』『ネオウヨ』 『テレびでもみようぜw』 『目測でレス』『海産総選挙』 『マジ目に働きなさい。』『頭が暖かい』 『一介の淫分社』 『ドメンネーム』『このケジメは必ず取る』『歳=彼女いなり歴の人生って楽しい?』『どうでもいいニース』 『人戦術』『飽きたきた 』『ネットナゴ』『民小党』『ネット世耕』『完全にインピラのいちゃもんレベル』 『エイリルフールネタ』『ニュートドモ*11』『なんだ朝日新聞社が会社ぐるみでやっとぁけじゃないね』 『本当にお前ら歌えるぞ 』『聞かずもなが』 『ってるのか*12』『スッレッド』『ハーロワーク』 『その画像のソースが本当だってゆう翔子はない 』 『おい、貴殿 いい加減にしろ*13』『ネトウ*14』 『おい、出で来い ここで勝負してやる 』 『リアル寿司屋で見てコーヒー吹いた』『そんな奴らのおもう坪 』 『クロリティーペーパー』←New!

……誤変換って楽しいですね(棒





PS.
しかし、この一件が2ちゃんねる運営と朝日新聞の合同による、壮大なエイプリルフールだったら凄いのに。
一日早く始めちゃってる時点で笑うに笑えないw

*1:ある意味、「2ちゃんねるではよく見かけるような、誹謗中傷発言」の類。

*2:ネタ拾い?

*3:これは検証のしようがない情報なので、そういう話もある、という程度で。

*4:これも要追跡調査。僕の知る範囲内では確かにその通りだったんだけどw

*5:これだって元々は「空気嫁」=「空気を読め」という語が先にあり、空気が読めない人を諭すために使われていた語が、直接的に「空気が読めない奴はダメな人間」という罵倒語に変えられた。

*6:実際、この言葉が流行させられたことによって、KYといえば思い出される本来の語義である朝日珊瑚事件はすっかり影が薄くなった。

*7:僕だって一応はw出版関係の末席にいる者であるわけなので、大きな市場を掌握している人たちの転落は他人事ではないんですけど。

*8:同時期のニュースを伝える複数の報道、または複数の解説者の言説の比較

*9:一定時間を置いた古いニュースと最新のニュースでの言説の変化の比較

*10:この辺りは、人権擁護ハンドブックという本に載ってましたw

*11:ニュート=イモリ?

*12:学生運動市民運動・組合運動wなど、左翼的な活動組織に参加してると、「たたかう」と入力すると「斗」が優先的に選択候補にきちゃうんですなw ATOK2009で「たたかう」って入力しても「斗」は出ないよw

*13:貴様じゃないんだw

*14:魚だったんだ! だから釣ってたんだ!