「超」怖い話 怪逅

「超」怖い話 怪逅
「超」怖い話 怪逅

久田樹生 著(竹書房文庫)


新刊「超」怖い話 怪逅がようやく発売の運びとなった。
ようやくというのはあんまり正しくもない。
なんせ、3月に怒濤の罠を終えた直後、これまた発売日が当初予定から2週間ほど繰り上がった怪逅にすぐにスイッチして、あわわ、あわわと仕上げたのはほんの3週間ほど前。通常進行の本より遙かに厳しい日程内ながら、驚くほど集中して仕上げられた。文章の仕上げに時間を取られるかなと覚悟していたけれど、それも杞憂に終わった。
文章は何度も推敲して練り上げると良くなる人と、最初の勢いでおおよその骨格がほとんど決まってしまう人がいる。
松村進吉は前者で、原稿が仕上がるまでの間に当人の内宇宙の中で止めどなく手直しが繰り返され、割とギリギリに間に合ってくる原稿は芸術品のように緻密な仕上がりになっている。
久田樹生の本質は後者であるようで、当人の中での推敲回数、怪に当たる機会が少ないものほど、元の話の鮮やかさが映えるようにも思えた。
鑿の痕も生々しい。そういう怪談本としてご賞味あれ。


さあ、次は妖幽戯画〜おどろ怪異譚ですよー。