党首答弁討論

でかけてたので出遅れちゃった。
ので、要約の引用&討論全文へのリンクのみ。
だらだら長い注釈のみ付けとく。

党首討論を要約してみた(2ちゃんねるより)

鳩「俺には「友愛*1」という立派な政治理念があるんだぜ! お前には理念なんてないだろ?」
麻「俺も「小さくても温かな政府」という理念はあるけどね。ま、友愛もいいんじゃない? でも、具体的には何すんの? 社会保障とか安全保障とか*2ハッキリしないと不安だよ」
鳩「具体的に言えば、三鷹小学校はボランティアを取り入れて皆シアワセになったんだよ。官僚任せのお前らにはこんな真似できないだろ」
麻「…いや、小学校と国政とは違うし。つか、ちっとも具体的じゃねー。官僚=悪と糾弾するだけじゃ国は回んないから。官僚を上手く使うことを考えたほうがよくね?*3
鳩「上から目線かよ、むかつく! じゃ、もっと具体的なことを言ってやる。うちは西松の件を反省して、企業献金世襲も禁止するつもり*4だから」
麻「おいおい、今ある法律を犯した疑いがあるから捕まったんだろ? その疑いに対する説明もしないで法改正とか言うのは論理のすり替えじゃん。つか、責任とって代表辞めたはずの小沢が代表代行になり、小沢に殉じるとか言ってたヤツが代表やるってどゆこと?*5
鳩「…アナタは今大変なことを言いましたね。「違法」かどうかはこれから裁判で明らかになるんだよ!*6 そもそも自民だって同じことやったヤツたくさんいるのに、何で小沢だけ責められるんだよ? 大体、正しい小沢が逮捕されるいわれはない!」
麻「おいおい、正しいって本気で言ってんのか?」
鳩「もちろん! 秘書は「自分は正しいのに捕まった」って言ってた!」
麻「あのな、自分では「正しい」と言っていても、法を犯しているヤツはいるぞ」
鳩「これだから友愛精神のないヤツは…。*7とにかくお前、官僚任せで無駄遣いするつもりだろ!?」
麻「数年分まとめて計上すればそれなりの額になるけど、それが何か?*8
鳩「ちっ、お前が意味の無い長い答弁をするから時間がなくなっちまった。とにかく官僚は悪で、友愛で、皆シアワセなんだよ!」
麻「(「答弁」って…どうりで話がかみ合わないわけだ)。*9えーっと、次は「討論」をしような?」

麻生太郎vs鳩山由紀夫 2009年5月27日党首討論 発言全文 【無料HP Chip!!】
http://l19.chip.jp/tousyutouron/

民放などで放映された党首討論ダイジェスト版は、かなり鳩山代表が有利なように編集されている模様なので、発言全文テキストと突き合わせつつ、ノーカット未編集版で確かめておかないと、また、誰かに踊らされてしまうかもしれない。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7170460

http://www.nicovideo.jp/watch/sm7170712

ニコ割 ネット世論調査の結果
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7182215

党首討論に絡んだ覚え書き。


麻生vs鳩山の党首討論だが、それぞれの文脈というか癖が掴めた。
民主党側は「野党なので攻め手」を意識していて、普段の国会での政府答弁を求めるのと同じ感覚で、「質問に答えろ!」という論建てが目立った。
自民党側もついつい癖で質問に答えたりしてはいるものの、そっから後が民主党の定番のやり方になってるんな、と。

鳩山代表に限らず、これは民主党のほとんど全ての議員(新人、中堅から執行部の幹部議員に至るまで全て)が、実は同じ論建てをしている。
国会中継をつらつら見ていて、毎回いつもなんというかムカツクwしゃべり方をするなあ、と気になっていたのだが、民主党論法は概ねこんな感じ。

  • まず、相手に「俺が考えたおまえのダメなところ」という表現をして、相手の主張を換骨奪胎したものを先に脳内補完して説明してしまう。
  • そうすると、相手は「いやいや、それは誤解で俺が言いたいのはこういうことで」ということを説明する(受け)ことになる。そもそも、主張が間違って伝わっているのだから、その「間違った解釈」に乗ってしまっては話にならないからだ。
  • 相手が「それは誤解」という説明をしたところで攻守交代すると、民主党はまず冒頭で必ず「よくわからない」「全くダメ」「話にならない」という感じで、具体論ではなくて印象論で相手の答弁・返答を全否定する。この部分はテレビ番組のダイジェストなどでも引用しやすい。返答は具体性を突き詰めれば微に入り細に入りになるし、そうした長文引用などしていられないから、それを民主党側が「脳内総括」して印象付けした否定的な結論を、反論の冒頭で必ずくっつけるわけだ。
  • そうすると、途中を端折ってオチの部分だけを記憶しているオーディエンスは、具体的=長い説明が、その冒頭の総括で断定されたような気分になってしまうので(ダイジェストを作るときに)、そこを抽出してダイジェストを作ると、自然と「民主党が圧勝」のように見えてしまう。


つまりこれは、「具体的な説明」をさせるように見せかけて、その労力を全て「予め用意しておいた印象・断定総括」で吹っ飛ばしてしまう、というやり方なわけだ。
もちろん、相手の主張についても予め脳内で「誤変換」しておいたものを前提にし、それに基づいた「自分の正しい結論」に誘導し、相手の主張に対しては決して理解したり、同意したりはしない。相手に一部でも同意したら、自分の理解に基づく自分の正論が崩壊してしまうためだ。
こうした「相手の主張を自分に都合良く誤変換し、それに基づいて結論を決めつけて、相手を自分の結論から排除してしまう」という論述方法は、ストローマンとか藁人形論法とか言うらしい。
ディベートに強いw人の得意技とも言われているらしいが、要するに「人の話をまるで聞かない」という奴でもある。独善的、と言っていい。
そして、議論、会議、ディベート、飲み会、口げんかwなどなど、この「人の話をまるで聞かない」「自分の脳内だけで結論を決めつける」というスタイルで話をする人が、その議論や会議に参加するオーディエンスに100%心酔されて支持されるかというと、そういうケースは非常に少ない。
「おまえ、うるせーよ! 少しは人の話聞けよ!」と言えないところが、党首討論とか国会議員の気の毒なところではあるなあw



鳩山代表の言う友愛というのは、「価値観の相違を認め、異なる価値観、異なる考えの相手と、互いに違いを認め合った上で建設的に接点を探す」というものであるらしい。
が、民主党的な論述方法というのは、「自分の結論以外は認めず、相手の主張も誤解釈し、必ず相手の悪口=毒舌を一言添えて価値観の違う相手を否定してから、自分の是を主張する」というもので、鳩山代表の言う友愛の180度逆方向+38万光年ほどの差違があるものであるように見えて仕方がない。
家庭で仲良くできない方法で隣国と仲良くできるとは思えない。
主張の違う党を「友愛」で宥和させて与することができないのに、それよりもっと難解な主張の異なる国とうまくやれる根拠って、どこにあるんだかさっぱりわからない。

*1:この「友愛」という理念は、麻生太郎の祖父・吉田茂退陣後に鳩山由紀夫の祖父・鳩山一郎が掲げたスローガン。同時に、EU創設提唱者が掲げたスローガンでもある。結構「古い政治」のスローガンなのだった。EUは根底にキリスト教という共通の価値観があること、基本的にヨーロッパ大陸の戦争の歴史は日本で言えば戦国時代みたいなもんで(領主による小国の統合分裂の歴史)、EU設立後もイギリスがなんとなーく距離を保っているように、「当用のイギリス」である日本もやはり大陸とはなんとなーく距離を保たざるを得ない。陸境を接せず風土・文化的な隔たりが大きい、大陸国に対する不信感(同化意識の希薄さ)などから、イギリス同様、日本も大陸に簡単に同化するのは難しい。

*2:保険、年金、教育、生活インフラ整備などが「社会保障」で、外交、防衛、シーレーン保護、海賊対策、条約締結などが「安全保障」。警察(治安維持)は、一応社会保障に入ると思う。社会保障の一部は地方自治体でも代行できる(小泉政権三位一体改革というのは、社会保障目的税収を国から地方に移管して地方が自由に使える金を増やす代わりに、社会保障整備と運営を地方が担うように、としたトレード政策)が、安全保障は国=中央政府でなければ担えない。地方に任せると幕末の長州や薩摩のように、江戸幕府に断りなく、勝手に外国と戦争を始めてしまう地方自治体も出てきかねないため。また、社会保障(内政)は、安全保障(外政)の安定の元に成立するものでもあって、安全でなければ安心して商売も教育もできないから、まず安全保障に注力すべきでないかい? というのが、僕が選挙で投票先を考える上で、安全保障論を特に重視する理由でもある。

*3:官僚=行政の実務担当者集団というのを、如何にして「使う」かというのは重要な話で、基本は信賞必罰。官僚悪論を突き詰めると「官僚は悪だから全部なくしてしまえ!」ということにもなるのだが、それを率先して実現したのがジンバブエ。今、えらいことになっています。

*4:例えば民主党の内規として「受け取らない」とすることは今すぐにでもできる話なのだけど、やらない。それをやると、民主党内で企業献金以外の支援力を持つ労組系議員が強くなりすぎてしまうため。民主党執行部にいるのは横路代表代行と菅代表代行以外は労組系の支援でなり立っているわけではないので、率先して自主的に実現したら、民主党議員の半分以上も干乾しになる。去年から選挙態勢に備えすぎて資金底を突いてるし。

*5:「小沢前代表が辞任するときは、執行部の一員、補佐役である幹事長の自分も運命を共にする」と、幹事長時代に言ってた。確かに言ってた。三歩歩いたらなかったことになる、というのは民主党では珍しくない話だけど。

*6:「違法」の可能性が濃厚であるから、違法ではないかどうか確かめるために捜査のメスが入った。また、「違法行為を行った側」である西松建設側の内部調査では、「やらないと仕事の邪魔をされるので、みかじめ料という認識で払っていた」という調査報告が出ている。熊谷組など他の同種企業からも同じ認識(みかじめ料)という報告が出てきている。このへん、報道ではベタ記事扱いで注目も特集もされないし、民主党では(∩ ゜д゜)アーアーキコエナイ状態の様子。

*7:友愛精神というのはそういうことじゃないんじゃないかと思うw

*8:よく言われる「○○○に○億円」の類。実際、人件費、手当てなどを計上した上で、正規品をまとめ納入すると、何を買っても結構な金額になるのは確か。例えば、NHKなどを用いた災害情報などの周知用機器の一環として、国主導で地デジ対応テレビを全国に備えた、とする。37インチ地デジ対応テレビ本体を15万、チューナーやアンテナ類を5万、合計1台20万だとする。47都道府県に仮に1台ずつ配置しても、940万。もちろん、都道府県に1台ずつじゃ意味ないから、市町村に1台ずつ。2009年5月現在の日本の市町村数は1799なので、仮に1台20万の地デジ設備を1799市町村全てに配置した場合、費用は純粋に機器代金だけで3億5980万。これに購入実務を担当する人員、設置・管理を担当する人員の作業手当てなどを上乗せすると結構な金額に。というか、たぶん人件費が一番高く付く。結局、国という総元締めの視点から、国中で掛かる総額というのをとりまとめると、どう見ても「結構な金額」になってしまうのはある程度は避けられない。もちろん程度問題というのはあるわけで、「役人の人件費など削れ!」と削ろうとした結果、それに対する「労働待遇改善!」を叫んだ自治労みたいな労組があれやこれやと増長万に走ったのが、一連の社保庁問題。その社保庁問題の当事者である自治労が、民主党の支持団体というのは笑うところ。また「自分(民間)なら幾らでできる」とつい考えがちになってしまうのは致し方ないが、「自分にならできる安上がりな方法」を、全国規模で同じようにやらせるのは、実は結局は割高で手間ばかり掛かるのが実情。自分でできる人ほど、他人も同じようにできるはず、と思い込みがちなわけで……お年寄りとかPC音痴に「1万円で買える無線ルータを自分でセットアップすれば1万円で済む」という要求は通じないものでorz

*9:党首討論について、民主党側代表がいつも「答弁」と思ってるらしいのは今に始まったことでもなくて、小沢、前原、岡田、菅あたりまで遡っても、常に「質問に答えさせようとする」「自民党側の質問には答えない」という、「答弁」の延長線上のような意識が垣間見える。鳩山でもそれは変わらなかった様子。