Windows7――商売道具には金を掛けろ

僕の師匠に当たる人は何人かいるのだが、これは高校時代のバイト先だった地方の広告代理店*1の社長の言葉。
「商売道具には金を掛けろ」
アーティスト気風の強い、ストレートな物云いをする人であった。


で、「30円のエンピツで描いた絵と、2000円のロットリングで描いた絵なら、高く売れるのはロットリングで描いた絵。絵描きなら画材をケチってはダメだ」というのが、芸大で彫塑をやっていたこの社長の口癖だった。
絵は今はもうやってないけど、この「道具には金を掛けろ」というのは、今も座右の銘としてある。
高い道具を買うときに、思い切るための都合のいい口実と言えなくもない。
まあ、清水の舞台から飛び降りるほど高い道具というのは、そうそう更新する機会が多いわけでもないので、「良いものを長く使う」という視点から言えば、その判断が間違いであることはさほど多くない。
良いものは長持ちするのだ。


で。
Windows7が発売された。
Vistaはパッシングするつもり満々だったので……というより、Vista発売の直前頃に当時使っていた作業機が壊れて、急遽XP入りマシンを組んでしまったので、実はここ3年以上メインマシンを更新していない。
最後に組んだのは2006年の春で、超-1/2006の開催年。いろいろパーツの相性が悪かったり不具合が出てCPUを交換したりとで、ロールアウトにえらいこと時間掛かった。超-1/2006開催時のデータ更新とか管理とかは、結局このマシンが間に合わず、大部分を緊急用サブマシンのLet's Note CF-W2で行った。これがモニタが狭くて目が疲れて、近眼がさらに進んだため、レーシックを決意するきっかけにもなった(^^;)


ぼちぼちWindows7入りマシンを考えようかなー、と思っていたら、今度はサブノートのLet’s Noteのほうにブルースクリーン発生orz 今は家人のメインマシンにもなっているので、これはこれでないと困る。
起動はするけど、1分もしないうちにブルースクリーンで落ちる……という挙動を繰り返し、しかもべらぼうに重くなっている。
原因を究明したが、その解決方法を試そうとするとまた落ちる……の繰り返し。解決方法は残り3つくらい……というところまできたところで、「買い替え」という案が浮上してきた。


今買うならWindows7入りだよな!
ということで、スペック的に納得のいく範囲のものをいろいろ探した。
絶対条件は「ディスプレイが12インチ以上」ということだった。最近ネットブックがかなり安く出回るようにはなっているが、確かにネットブックは画面が狭い。僕もスーパーサブwとして工人舎のSA1Fを持っているけど、これも10.1インチワイドか何かで、はっきり言って狭い。
最近のディスプレイの大型化と関連しているのだろうけど、どこもWebページデザインがかなりでかくなってきていて、ネットブックのブラウザで開くと、目指すページは1/2くらいしか表示されなかったりするし。
Let'sNoteが12インチ強程度だったので、「せめて12インチ以上」が条件ということでいろいろ見てみた。
主流の10.1インチを別にすると、12、13程度というのは今はあんまりなくて、次は15.4とかになる。15.4で探すと6〜8万円台がちらほら。
今はファブレスメーカーやOEMも多く、ノートもユニット化されているものが多いので、どこで買っても信頼性についてはあまり変わらないといえば変わらないので、後は搭載スペックとの検討ということになる。
現時点ではノートはマウスコンピューターの「LuvBook TW610B (Windows 7モデル)*2」あたりがいいかなあ。標準版は49350円(税別送料別)で、諸々のカスタマイズ+税送料を込みにすると、だいたい7万円台前半くらいで「これなら3〜4年は使える」という構成になる。


これで買うか。どうしよう。
……と悩みつつ最後の決断を先送りして、「その他の安く挙がる解決方法」を幾つか試していたところ、前触れなくLet'sNoteが復活。
あれ?
いつ落ちるいつ落ちるとハラハラしながら、無駄な常駐を外し、データを外部のネットワークサーバにサルベージし、Windows Update*3を完了するところまでなんとかこぎ着けたところ、問題が解決してしまったorz
というわけで、当面はこれで様子見をするよということになり、Let'sNote買い替えは先送られました。


しかし焼け木杭に火が(ry
どっちにせよ、僕の作業用メインマシンの更新も考えなければならない点は変わらない。
現状、「AMD Athlon 64/2.01GHz/2GB RAM」という、当時としてはそこそこなスペックであったわけなのだが、やはり今だとエントリー機程度でしかない。
一応は仕事で使う機械、特にDTPなどにも使う道具なので、そこはケチってストレスを溜めたくない。*4
メーカー品でもショップブランドのBTOでもいいけど、ぼちぼち自作は引退。*5


どこで買おうかといろいろ考え、ときどき使ってるFaithはどうかなと思い当たって様子見。
Core i7-860(2.8GHz/FSB1333MHz(2GBx2)+PC10600 DDR3/4GBとか、3年前とはもう住む世界が違うな(^^;)
PCは買い替えるたびに技術革新が進んでいて、なおかつ夢の世界の負け犬w気分になれてステキ。
そういえば、にしうらわ氏がVista対応環境になったとき、「今まで使ってたデバイスVistaに対応してなくて死ぬかと思った」と零していたのを思い出した。
32bit版ではメモリは3GBまでしか対応しない*6が、それ以上の潤沢なメモリを堪能しようと思ったら64bit環境を導入するしかなく、しかしそれだとデバイスが対応していない場合は、それらのデバイスは全てデバイスドライバ待ち、または買い替えになってしまう。
この場合のデバイスは、
・モニター*7
・プリンター
・スキャナー
・外付けHDD、外付けMO
・モデム/ルータ*8
タブレット
などなど……。
挙動が怪しいのはプリンター・スキャナーなど、レガシーな接続方法に依存しているケース。さすがにいまどきシリアル接続とかはないのでその辺は問題ないだろうとは思うけど、確かにOSを更新するたびにプリンターとスキャナーの接続で悩むことが多かったのは事実。


そして今回さらに影響大きいのはソフトウェア。
基本的には頻繁に使うソフトは全て最新に保つようにしている*9けれども、うちの主作業用ソフトウェア群は、1995年リリースのWZ Editor Ver.1.0(for 32)を最古としつつ、数年越しで使われているもの、既に更新終了しているものなども珍しくない。*10
また、もっとも重要な仕事用ソフトといえばInDesignだが、これが対応していなかったら環境移行する意味がない。
AdobeによるとCS4はWindows7に完全対応しているらしい*11
でもウチのInDesignはCS3ですよ! 去年だかに変えたばかりだっちゅうのorz
InDesignは1.0→2.0.2→CS/CS2を飛ばして→CS3と乗り継いできているのだが、最近は印刷所が.inddを触らずPDFファイル以外は弄らないのでw、こちらがなんぼアップグレードしていようと、そのへんは気にしなくてもいいようにはなってきた、が。
InDesignCS3からCS4にアップグレードすると、2万強円orz
製品版を素で買うと9万以上するわけだから、それから考えれば安いといえば安いけど……2万強出したらエプソンのネットワークPCが買えるよorz 麟太郎の特別療法食だったら3ケース買えるよorz
しかも、だ。
Windows7環境に移行したら、たぶんPhotoshopも古すぎて使えなくなるよorz*12


InDesignCS3→CS4にアップグレードすることにして2万強円で収めるか、それともこの機会にCreative Suits CS4に乗り換えることにして、InDesignCS3からのアップグレードということにすると、PhotoshopIllustratorとかも入って12万円orz 麟太郎のMRI代より高いよorz
……ていうか、12万出したらそこそこハイスペックなパソコンが買えるよorz
5〜6万の廉価PCに12万のCS4を入れるのも悔しいが、PC環境刷新に25万とかはキツイ。そんな金どこにあるんだorz 刺身にタンポポを載せるバイトをしてもとても賄えない……。


せめて、InDesignPhotoshopIllustratorのみ、とか目的別に組み合わせて選べるパッケージを作ってほしい(´・ω・`)
CSがお得なのはわかるけど、分野的に使わないソフトとか抱き合わせられても、お得感が全然湧かない(´・ω・`)



昔、1995〜2004年くらいまでの10年間は、世の中が不況だってのに出版業界はITバブルで賑わっていた。インターネット、新型パソコン、デジタル家電関連記事なんかでも、結構いい原稿料が支払われてた気がする。
でも、記憶にあるデジタル系ライターはみんな貧乏だった。
入ってくる原稿料が、そのまま全部機材費などに消えてしまうからだ。*13
1994年頃、メモリの値段はSIMM 8MBで32000円だった。*14。バンクで使うので必ず2本1セット。16MBは1本56000くらいした。CPU 150MHzで動作する本体は20万だと「安い部類」だったと思う。
今はメモリ1本2GBで数千円。CPUはぼちぼち壁にぶつかりつつあるとはいえ、2.5〜2.8GHzはざら。


PCを更新するときはいつも昔を思い出してセンチメンタルな気分になる。
安くなったなあ、進化したなあ、と思うけど、Adobeのソフトの値段だけは全然安くならないorz


――社長。
商売道具には金を掛けてますが、やっぱソフトは高いです(´Д`)
これが全てのネックですorz

*1:というか、チラシの版下作ってたデザイン事務所だった。

*2:http://www2.mouse-jp.co.jp/scripts_cart/spec.asp?PROD=0911LB-TW610B

*3:の途中で落ちまくっていた

*4:若い頃、仕事用の椅子をケチっていて腰を壊し、それが今も尾を引いていることからの反省。

*5:猫がいるから。そして面倒だからw そして、BTOでもあまり値段に差が出ないから。

*6:というか認識されないので意味がない

*7:これが影響を受けることはまずないと思うけど(^^;)

*8:最近発売のものは多分大丈夫

*9:特にアンチウィルス関連

*10:古くても単機能で枯れたプログラムは信頼性が高い

*11:しかし一部ソフトは32bitにしか対応してないらしい。が、それは僕は使わないソフトなので無問題。

*12:うちのは5.5で、アップグレードの対象外。

*13:フリーは特に、自前で新技術にトライ&エラーを試みてスキルアップしてる人が多かった。

*14:Gateway200 P150に積んだもの