中野買い物紀行

上京して間もない頃とか、学生時代とか、そしてちょうど15年くらい前ぐらい、角川の仕事をしてた頃くらいまで、結構中野をうろうろしていた。
初めて東京に降り立った……のもなぜか中野で、そこからバスで江古田に行き、最初の家捜しなんかをしたものだった。*1
それはまだ、まんだらけがブロードウェイを占拠する前の話で、樋口さんに日本酒を教え込まれたりしていたのも中野であった。


で、今日はちょっとした用事で中野へ。
ハーベストキャラメルがもう絶版になってしまうらしいので、あるうちに、と思って。
なんとか二包入手。*2大事に楽しもう。


サンモールからブロードウェイの入り口辺りまでと、その裏通りをうろうろ。日本酒を勉強した(そして今もたまに行くし、今もおとっとき。)隠れ家的なお店がまだ営業継続中。よかったよかった。ハラーズもまだ営業継続中の由。
とはいえ、以前からの店以外の店は、結構入れ代わっているようで、とにかくラーメン屋が増えてた。
時間が半端だったので、ラーメン屋の暖簾はくぐらず。客が店からはみ出すのがデフォルトになってた飲み屋*3はなくなって、その近所になんだか小綺麗な角打ちができてた。


そこから久々に新井薬師の之吟へ。
奈良萬純米吟醸無濾過生原酒など仕入れる。これは御神酒用に。
店主とおしゃべり。
最近は新宿など都市部の繁華街からの注文が減っている由。都心で呑む人が減っている様子。ただ、地方というか校外(地元)の駅前あたりの店からの注文は増えているそうで、「都心で飲まずに家に帰って地元で飲む人が増えているのでは」という見立て。
確かに、酒一杯・肴ひとつとっても、テナント代が重く上乗せされる都心部と地元とでは大きな差が出る、ということなのだろう。


事務所に回って、アパート管理人さんとおしゃべり。
工務店関係は仕事減って厳しい、という話。
「群馬のダム*4が建設中止になると、その周辺の開発や建築工事も全てなくなり、地元に金が落ちなくなる。さらに、そこで働いてた作業員の仕事がなくなるので、かなり大量の建設現場作業員があぶれる。地方にはダムに替わるような大規模工事はないから、それは都心に流れ込んでくる。でも、都心にだってそういう作業員を吸収できるほどの仕事があるわけじゃないから、大部分はあぶれる」
しかも、生活コストは地方より都心のほうが高く付くから、路上生活に転落したり、その他の犯罪に手を染めて治安悪化を招いたり、「今年は昨年より多くの年を越せない人々が……」という事態が起こりうる。
人手が余るから仕事の賃金は安くなり、働いてもそれでは食えない人間が出る。生活保護を受けたほうが食えるから、仕事口を探すことより生活保護申請のほうが活発に行われて、結果、「働かずに食う」人間を増やすことになり、まじめに働いて税金払ってる人間の負担が増えたり、新たなバーストが出たりする。


どこに行っても景気が悪い、という話ばかりが出る。
「格差が」とか言ってるうちはまだマシで、「ここ数年に比べて格段に、人が金を使わなくなった」「節約ビジネスや安物商品*5が増えた」などなど。
政治の舵取りが自民から民主に移った以上、これから起こる全ての事象は「原因を造った、放置してきた自民が悪い」ではなく「それを対処できない現政権が悪い」という流れになっていかざるを得ないのだが、果たして慣らし運転中、という言い訳はいつまで通用するんだろか。
セケンの我慢は、たぶん年内保たないような気がする。
来年の4〜6月くらいには子供手当てをばらまいて、バラ色を演出して参院選に臨む計画なのだろうと思うけれども、子供手当ては「もらえない世帯」の大きな反発を生む。子育て世帯と子育てが終わった世帯&子供ができない世帯・独占世帯との間に、乖離や対立を生む可能性が高まる。
好景気で金銭的に余裕があれば「施し」について人は寛大になれるけれども、不景気で経済的に厳しいときは、やはり「まず自分、自分達」が優先で、「施し」に資産を割くゆとりはなくなる。
子育て終了世帯は老後の貯えをキープしたいし、子供が出来ない世帯・独身世帯は今現状で金がないから子供が作れなかったり結婚出来なかったりしているわけで、「そういう世帯からは搾るばかり、これは不公平ではないか?」ということについて、「もらえないから関係ない」という無関心から「もらえないなら激しく批判する」にシフトしたら、子育て手当ては却って逆効果になるんでないかなあ、と。


日本人は結構気が短い。
「政権交替すれば景気がよくなると言ってたのに」
という期待に早い段階で対応できなければ、怨嗟は期待に反比例して大きくなる、という萌芽を、今日は方々で感じた。

*1:そのときに借りたアパートは、今も事務所として使っている

*2:40g/690円

*3:テーブルもカウンターすらなく、客は通りにはみ出して飲む

*4:八ツ場ダムのこと

*5:大部分は中国製商品で、それらは結局の所金を払って外国から輸入した製品であるわけで、ツメに火を灯してケチった結果、結局金は「国外」に消えていく