恐怖は犯罪を抑制する

恐怖を知らない子どもは、大人になって犯罪者になりやすい 米医学誌 国際ニュース : AFPBB News
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2665324/4927637

【11月18日 AFP】通常の恐怖反応を示さない子どもは、大人になると犯罪を犯しやすくなるとする研究結果が、16日の米医学誌「American Journal of Psychiatry」に発表された。
 研究チームは、約1800人の3歳児を対象に、大音量の短い不快音と普通の音とを聞かせる実験を行った。このとき、恐怖への反射作用である汗の分泌などを測定することで、「恐怖条件付け」を調べた。
 そして20年後、被験者の裁判記録を調べた。
 その結果、被験者のうち23歳までに重罪を犯したのは137人で、このなかに3歳時の実験で正常な恐怖反応を示した者は1人もいなかった。
 一方で、23歳までに犯罪を犯したことがないグループでは、実験では正常な恐怖反応を示していた。
 研究者らは、大人になって犯罪を犯すようになる傾向には、社会的な条件付けや民族性や性差よりも、脳の特定の部位が正常に機能していないことによる方が大きいと仮定。神経系の発達が犯罪に部分的に関連しているとすれば、犯罪を防止し対処する取り組みとして、早期の治療行為が今まで以上に頼りにされるだろうとしている。
 たとえば、妊婦の喫煙、飲酒、ドラッグの使用を減らすことを目的とした出産前プログラムを実施して15年後には、未成年者の非行が減ったとする調査がある。
 また、3〜5歳のときに栄養バランスの良い食事をして多くの運動をし、精神的にも刺激を受ける生活を送っていた子どもは、6年後にはそうでなかった子どもに比べて脳が良く機能し、大人になってからの犯罪率も35%減少したという統計もある。(c)AFP


恐怖は、生存性を高める。
怪ダレの第一巻を準備しているとき、編集さんにこんな熱弁を奮ったことがある。
最近の子供は、大人・社会が過保護に扱うせいで、「怖い思い」を経験することなく成人するまで過ごしてしまっているのではないか。
怖い思い……要するに恐怖であるわけだが、恐怖というのは「自分の身に起こりうる、生命・財産・人格その他を喪失する脅威」を、それが実際に起こる前に【想像・連想】することで、実際にそれが起こる可能性を予見すること、である。


例えば、道路に飛び出せば車が走ってくるかもしれない。猛スピードの車に衝突すれば、撥ねられるかもしれない。撥ねられたら内臓と脳漿を撒き散らしながら道路の反対側まで20m以上を転がりながら飛んでいき、さらに対向車両の車体の下に吸い込まれて、ダンプの車輪と泥よけの間でぐるぐる回されて、生乾きのスルメのように平たくなってしまうかもしれない。
というようなことを、連想・想像するからこそ、「それが起きたら自分は死ぬ、自分の意識の連続性は遮断され、そして二度と目を覚まさない」というようなことを予見して、【そうなるまい】という意識が芽生える。
だから交差点では立ち止まり、大きな道路では左右を確認するようになる。期せずして車が突っ込んできたら、驚いて身体がビクッとなる。


恐怖というのは、そうした「生命の危機に対する予行演習」であるわけで、知識としての「起こりうる惨劇の可能性」と「どういうときにそれが起こるか」という知識と、実際に起こるかもしれないシチュエーションを肌で感じる経験などが必要で、それらを察知するセンサーを発達させる必要がある。
結果、恐れを抱く子供は慎重になり、生存性が高まる。
恐れを抱かない、または怖れないことを自慢する子供は、あっけなく死ぬ。


「だから、子供にはできるだけ怖い思いをさせましょう。怖い状態を演出しましょう。シチュエーションとしてあり得べきものをできるだけ多く挙げ、寸止めをしてその後どうなるか?を連想させるようにしましょう。親の目が届かないところで、子供達自身が自発的に自分の命を救うようにさせるためには、恐怖心を抱かせ、連想力・想像力を培うことが何より重要です。怖いモノ、酷いものは見せない、というような過保護をしていたら、親の目が届かないところで子供は死にます。自分の身に迫る不利益を連想できない子は犯罪にも手を染めます。自分の行いが自分を加害者にすることを自覚できない、自分の行いが誰かを被害者にすることを自覚できない、そういう連想力・想像力のない子供を作ってしまわないために、子供に恐怖を与える。恐怖を叩き付けて、怯えること、想像することを刻んでやりましょう。これはそういう仕事にしましょう」


ひでえ言いぐさであるけれどもw、実際そのように思う。
うまいもんを食べて、いろいろなものを見てぶるぶるするほうが、慎重で健やかで生存性の高い、親が目を離しても駅のホームから自分が死ぬ可能性をまるで考慮せずに線路に飛び降りたりしない、ましてやふざけて友達を突き落とすようなことをしない子供に育つ、可能性が高まる。


死なない子供、殺されない子供、そして「誰かを殺さない子供」を育てるためにも、幼少時から恐怖と対峙させることって大切じゃないかなあ、とか思う。


そういうわけで、是非とも拙著をご購入下さいw <そこかよ!