バイクが売れないのは駐車場が足りないせい

asahi.com朝日新聞社):二輪の国内生産、瀬戸際 09年、28年前の1割以下 - 経済を読む - ビジネス・経済
http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY201002050616.html

バイク離れというよりも、「乗っていっても置くとこがない」というか、インフラと法規制の壁がバイク利用機会を縮小させている、ということのほうが大きいと思う。
買っても乗れないものは売れない。


都市部での自動車販売台数の落ち込みも、同様のロジックで説明できると思う。
そりゃ決して安いものではないし、公共交通網の発達度が異なる地方・郊外ではやはり今も車はないと生活できない。
が、駅近に住んでるとか、都心部に住んでるとか、そもそも通勤通学は電車で足りているとか、要するに「車に乗る必然が週に二日以下」の人間は、別に乗らない5日間のためだけに車を維持しておく必然性があまりない、ということなのだと思う。
僕は地方出身者なので一応車の免許は高校卒業する前に取ったけど、都内出身の友人などは車のあるなし以前にそもそも免許を持ってない、という人が結構多かった。*1
要するに、「必要がないのに維持しておく道楽」としては車は高すぎる。


バイクはそれでも乗っていって駐めておく場所があるうちはまだ良かったけど、「ちょっとそこまで」的な乗り方をした場合に、駐めておける場所の確保がどんどん難しくなってきている。
となれば、やっぱ売れないわな。
高度に発達した都市=都市交通網が発達した都市、ということであるわけで、都市交通網=公共交通機関が過度に発達している東京、例えば乗り逃しても5分で次の電車がダイヤ通りに来るとか、目的地へ行くためのルートが、私鉄地下鉄JRバスにタクシーなんなら徒歩で……と何通りもあるとか、そういう都市では「自分一人だけが移動するための装置」を、自分がそこにいないときにキープしておく【場所・土地・駐車場】のほうが高く付く。
大物を電車で持って帰らずに済むようにジャイロUP買ったのに、買い物先に置くスペースがないというのは盲点というかw

それでも駐車スペースがあればマシで、車はコインパークを活用できるだけ遙かにまし。車より省スペースで省エネルギーなのに、「置いておく場所がない」という理由でバイクという小型コミュータの利用が減っているというのはいかがなモノか。
ま、自分で乗ってて確かにバイクはモノ運ぶのに向かないよなと思わないでもないけど、車でモノを大量に運ばなければならない用事って、それを仕事にしているのでなければ年に1度か2度くらいしかないんじゃないかという気もする。やっぱりバイクで足りる。

うちのジャイロUPは、バイクであり運搬車両でありミニカーなので車にも近いが50cc未満の原付なのでミニバイクの範疇にも入るという、いろいろ曖昧な存在。
昨年末に新PC七竈号の不具合で、秋葉原のサポセンまでジャイロUPが大活躍したが、そういう用事が年に何度もあるわけでもない。G-Motion運搬用にジャイロUPをキープしているが、そういう特定目的がなかったら話は別だろうし。


個人的には、250ccくらいで、三輪で、荷物が50kgくらいは運べて、できれば人間をもう一人くらい運べて、高速を走れて、自動車免許か自動二輪中型くらいで運転できて、ハイブリッドで、燃費はできればリッターあたり40kmくらい(モーター併用で)、車格はジャイロUPと同じくらい――というような乗り物が50万円前後で発売されたら、かなりくらくらすると思う。是非欲しい。できればヤマハ辺りかそうでなければホンダかスズキで。できれば国内工場製で。


という夢のような話はさておき、新宿の東口数カ所にバイクを置けるスペースを幾つか発見。露天だけど自転車とミニバイクは公的に無料駐車してよい駐車スペースが、あんなにあるとは知らなんだ。また、凄くわかりにくい場所wに入り口がある格安駐輪場も発見。たはー。
発見というか元々あったんだろうけど、平日なら特に問題なくいけそうな。これで次からはびくびくせずにバイクで行けるなあ、とか。
同じような条件でバイクを置けるスペースが、池袋にもうちょっとあれば、ハンズとハナマサが楽になるんだけどな。


ともあれこの手の「バイクを駐められるスペースの確保や、公的な働きかけ」は、バイクを生産販売するメーカーこそが本腰を入れるべき課題だと思う。
売りっぱなし、じゃなくて、そうしたインフラの整備・維持の部分にまでフォローしていかないと、顧客は「買おうにも買えない」「だったら無理に買わなくていい」のほうに流れてしまうし、実際流れているとも思う。


ちなみに、都内はカミナリ族w時代の名残で、「環七の内側は夜○時以降は400cc以上のバイクは走れない」とか、そういう地域条例の生きている地域が結構あるらしい。西口の新宿副都心周辺もそうだったはず。
都内でもっと使われるべきコミュータの活躍の機会を奪っているのは、当時カミナリ族だった先人*2のヤンチャの余波と言えよう。
今は不安になるほど静かな4ストエンジンのバイク(スクーターとか)だの、もっと不安になるほど音がしない電動モーターのスクーターとかもあり、往事のような「夜な夜な騒音で」という排除理由は必ずしも必要ではない。
また、カミナリ族の後の珍走団(珍走団)の撲滅のために、やはりバイクの排他条例はあれこれ進められたわけなのだが、それらを座視した結果が今のバイクに不利益な規制や条例の成立に繋がっているんだとすれば、バイクメーカーにはそこらんへんも含めてどうにかしていただきたいような。

  1. 省エネルギー/エコ・ハイブリッドバイクの開発と量産
  2. モックアップではなく、購入可能な実機と購入可能な価格帯での販売
  3. 都市コミュータとして自動車以上に価値がある、という点をアピール
  4. バイクの普及促進を阻む【古い条例】の見直しなどへの活動
  5. バイク用コインパークの普及*3

などなど、手を付ける切り口はいくらもある。
ただ漠然と「なんとかしろ」とは言わんが、なんとかしてくれんかあ、とは思う。
もしなんとかなる兆しがあるなら、僕はもう一度FZRを買い戻してもいいぞお、とかいうくらいの勢いで。

*1:ので、引っ越しにはやたらと借り出され、今もコラムシフトのトラック運転できるw

*2:今は団塊世代としてリタイア寸前

*3:自動車1台分のスペースに2〜3台置けるのだし