また悪法！祝日法改正案
地域でＧＷが１週間ずれる？大型連休分散に法改正検討 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100214/plc1002140107000-n1.htm
要するに、連休が同じ時期に集中するから交通網が混雑するのであり、休日を集中させずに地域ごとに分割すれば渋滞も緩和でき、観光地の「シーズン」が延長できて観光に万々歳じゃないか、という改正案。
ＧＷと10月の大型連休を、地域ごとに分散させよう、というもので、同時に、すでに定着している「連休を月曜にずらして土日月の３連休にする」ハッピーマンデー法も廃止されるとか。
「なるほど、観光地は一気に観光客が来すぎず、少しずつずらしてくるから儲かる時期が増えるね！」
「観光客が一気に交通網に殺到しないから、渋滞も緩和されるね！」
というところが、この法案のキモなのだろう。
同時にこれは高速道路無料化のネックとされる、「休日に渋滞が起こる」を緩和するための施策でもあるのだろう。
だがしかし、だ。
連休が分散すると、良いことばかりが起こるわけではない。
例えば自分が休みで相手が仕事、相手は休みで自分は仕事、といったことが起きてくる。今すぐ連絡取りたいのに相手は大型連休中、やっと相手の休みが明けたかと思ったら今度は自分が連休に突入。休みが優先できる仕事ならいいが、「休みより仕事を優先しないとダメな業種」の場合、結局休日とされる期間中も働かなければならなくなる。
距離の離れた場所にある本社と支社、自社と取引先など、流通の発達によって全国にネットワークを持つ会社などは、結局無駄なタイムラグによる混乱がまるまる一ヶ月近く続くというようなことも起こりうる。日本国内だけでなく、海外との商取引があるようなところも、「連休」がばらばらというのは、いろいろ瑕疵を生み、結果的に「今まで以上に休めない」ということが起きてくる。
また、もう少しローカルでメンタルなデメリットもある。
やっと取れた大型連休、久しぶりに実家に帰ってみたら、実家のある地域は連休期間ではなく、皆働いていた。せっかく休みが取れたのに、家族も、地元の友達も皆忙しくすれ違いで誰にも会えずに街に戻る。
或いは、同窓会。地元の休みに合わせて行われる同窓生とのイベントなど、今までなら休みを合わせて懐かしい友人と顔合わせというようなこともできたわけだが、大型連休がズラされることによって、一度地元から出てしまった人間は、休みがほとんど合わせられなくなり、ますます疎遠になってしまう。
大型連休のメリットというのは、（休めない業種を別にすれば）全員が一斉に休めるという、ここに尽きる。いつも会えない人に会える、仕事、生活地域以外の、移動に距離や時間が掛かる地域の人とも時間を合わせられる、というこれが大きい。
しかし、この「地域ごとに大型連休の時期をずらす」という祝日法改正案が推進された場合、すでにクラスタ化されている核家族そのものが、小さな家族の単位として旅行や何かに行くことは出来ても、そのもうひとつ上の単位の「実家」や「田舎の友達」という広域の横の繋がり、旧知との距離は、むしろいっそう希薄になる。
田舎の友達とはますます会えなくなり、「そういやあいつどうしてんのかな」「おじいちゃんたち元気かしら」という連絡は、メールでだけしか取れなくなる。
まとまった休みが取れることで、ずれた時間を合わせられる。
祝日法改正案は、人と人の繋がりをますます希薄にする悪法だと思う。
平成23年度(2011年)からの実施を目指すそうだ。
その他諸々の問題点のまとめ*1
■問題点■
◎カレンダーが混乱
・カレンダーが地域によりバラバラになり全国共通化が無理。
・地域データを入れられない携帯などのカレンダー機能は死亡。◎一家団欒や家族旅行が崩壊
・地域が異なる場所で仕事している夫婦は、休みがばらけて一家団欒や家族旅行できなくなる。
・大型連休に実家に帰省しても、実家は休みじゃなく一家が揃わない。◎保育園問題
・保育園は休日で休みだが仕事場が他地域にある夫婦は休日にならず、子供を預けることができない。◎労働時間増加
・本社と支社とで休みが異なり、強制的に休日出勤させられる。実質的に連休は有名無実化する。◎観光業界などが大打撃
・他地域のイベントなどに参加できなくなる。
・３連休が激減して、旅行や遠出をする人が今以上に減る。交通機関や観光業界にとって痛い。◎交通機関のダイヤが混乱
・複数の県を行き来する電車やバスのダイヤが、祝日平日のどちらになるか分かりづらい。◎銀行振込で混乱
・銀行などは支店ごとに休みが異なるため、地域をまたいでの振込手続きなど送金処理で混乱発生。◎梅雨時期にＧＷ
・５月ＧＷが下旬から６月あたりになった地域は、梅雨で外出や行楽が潰れる恐れあり。
*1:転載
