アディ・ギル号に関する覚え書き

ちょっと小耳に挟んだことなどを覚え書き。
アディ・ギル号船長乗り込み事件の背景事情は、案外生臭くてどす黒いよ、という話なのだが、今は忙しすぎるのでソースに当たるのはまた今度。

  • アディ・ギル号(調査捕鯨船(監視船)第二昭南丸に衝突してきた、シーシェパードの抗議船)は、元々は「アース・レース号」という。
  • 先だって、第二昭南丸に不法侵入して拘束された「アディ・ギル号の船長」は、元々「アース・レース号の船長でオーナー」。
  • アースレース号はバイオ燃料を使った高速艇として地球一周レースに参加していた(そのレースに参加するために、船長は私財をなげうってアース・レース号を作った)
  • ところが、アース・レース号は、その航海の途中にグアテマラで漁船と衝突、相手の船の漁師に死人を出してしまう。http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10429738
  • その賠償金の支払いに困り、アース・レース号はシーシェパードに売りに出され、購入原資(100万ドル)を出資したアディ・ギルの名前を取って「アディ・ギル号」となった
  • この時点で、アディ・ギルから「アース・レース号買い取り」の資金は、アース・レース号(現アディ・ギル号)船長にわたっている*1
  • 漁船に衝突させて死人まで出した船を、改めて第二昭南丸に衝突させるのは言語道断なのだが、死人まで出した経験のあるアディ・ギル号船長が、第二昭南丸への突入を敢行した理由は、「同じ衝突でも、捕鯨船なら許される」という贖罪意識か?*2
  • また、アディ・ギル号船長は第二昭南丸に対し、「失ったアディ・ギル号の賠償金として3億円の支払いを要求」しているそう
  • アディ・ギル号の売却益は「アース・レース号」の時に起こした事故の賠償金として消えているが、今回改めて請求する3億円は、沈没喪失したアディ・ギル号を再建造するための資金として請求している*3
  • アース・レース号の建造費は300万ドル(3億円)。
  • アディ・ギル号船長=アース・レース号船長は、自分の船を、自分でぶつけ、自分で沈めて金を請求するという、船乗りとしてはかなり問題の多い行動を取っている


第二昭南丸船内では、機関室以外への立ち入りは特に禁じておらず、見張りはあるものの拘禁・拘束されているわけでもなく、食事は肉魚野菜と、他の乗組員と同じものが与えられ、またそれを食べているそうな。
通常長期航海に及ぶ船舶では、楽しみが食事しかないので船員の叛乱を予防し不満を和らげるために、飯だけは豪華にしておくのが、世界共通の習わしとされている。
だが、シーシェパードポール・ワトソンベジタリアンなので、船上食として肉魚卵は認められていない。
肉魚も残さず食べているということは、アディ・ギル号船長の腹の内はポール・ワトソンに賛同しているというより、売名と資金獲得により、アース・レース号を再建造するという、その一点にあるのではないか。(アース・レース号はバイオ燃料を用いるなど環境問題を訴える船でもあり、反捕鯨は環境問題と親和性も高いので、環境問題で英雄になれれば、資金集めもグッとやりやすくなる)
記憶がちょっと曖昧なんだけど、以前、ディスカバリー(CS)で見た「地球一周航海に出発するバイオ燃料船・アース・レース号(シーシェパードに売却される前、そして事故で漁師を死なせる前)」には環境問題に取り組んでいる日本企業のステッカーが貼られていて、重要な金主だったような……。
今、アース・レース号で検索しても悪名高くなってからの情報しか出てこないwので、ちょっとソースを当たるのが面倒。


ともあれ、アディ・ギル号船長の第二昭南丸乗り込みは、この船長の個人的売名と金儲け、というのが筋なんじゃないかと思われ。
そりゃまあ、私財投げ打って作った船で漁船と衝突して漁師死なせちゃって賠償金まで求められてたら、大事な船を売って金作るしかないし、それだけだとプラマイゼロなので、再起を図ろうと思ったら注目集めて英雄になるしかない、というのも彼の個人的事情としてはわかるけど、要するに売名だよな。これ。

*1:要確認だが、アース・レース号船長がそのままアディ・ギル号船長になってる、金に困って船を売った、という事実は変わらず

*2:これは想像

*3:のではないか?