善意の子供手当詐取と養子と移民

ここ何日か貯めてたネタの第一弾。
子供手当て。*1


既に、「外国人と養子縁組したらどうなるのか!」などの問題が発生しているが、今年度中はこのまま行くらしい。
で、「子供の貸し借り」「シンジケート」「世紀の手続きによる偽装養子」などが懸念されているけど、これもっと踏み込んでいくと、「日本人による児童売買犯罪」を煽ることになるんじゃないの? という気がした。


実際、「母国に子供が10人いる」「海外の子供20人と養子縁組した」なんてケースに対して、手続き通り配るしかないというのは今年の流れらしい。
悪意、または詐取目的でこれをする犯罪者・犯罪組織はもちろん出てくるだろうけど、実はそれよりもっと手に負えないのは、悪意ではなく善意の養父母ではないか、という気がする。


シャレじゃなくてあり得る話なのは、強欲からじゃなく(建前)、善意から制度を悪用しようとする人。
この、善意からというのが厄介で、人間は悪事を行う前は何らかのためらいがあるが、善意から出る正義のための行いだと自分を納得させられるなら、それが脱法でも違法でも、「善行のためだから!」と自分を騙してしまい、まったく躊躇思い切った行動に出る。


例えば、当人の意識としてはまったく善意の人がいたとする。

チリ、ハイチ、ソマリア、アフガンの恵まれない子供達を救うために、世界の恵まれない子供達を自分の養子にした。
それぞれの国に述べ1000人ずつくらい。
彼らの現地での生活費は、日本円で1万円もあれば、公務員の初任給に匹敵するので、十分に足りる。
日本側に支援のための援助体制を作る必要があるので、給付金からその分を差し引き、日本国内で援助物資を買って送る。
日本国内でも金を使うので、日本の経済対策にもなり、恵まれない子供達も救うことができる。
自分は【善意】で正しいことをやっている

海外の難民救済NPOとかNGOとかやってる人達は、間違いなく計画しているだろう。彼ら、「正義感と行動力」はありますし、政府の金を正当な手段で得るためなら、どんな労苦も厭わないし。
NPO/NGOの構成員が1団体に100人いたとする。
「その100人が、それぞれ100人の現地難民の子供と養子縁組をしたら、一人につき毎月26000円分の現地支援費用を獲得出来るわけで、100人×100人=10000人の難民が救済できるんですよ! 是非あなたの名義を貸して下さい! あなたは名義を貸すだけで結構! あとのことはこちらでやります! 名義を貸していただいたお礼に、毎月1万円をお支払いします!」
という、お手軽な善意が充足できて、お小遣いも手に入る……というような話を吹き込む人も出てくるのでは?
実際そのお金がどう運用されるかはともかく、もともと自分のカネじゃないと思ってるものは、誰だって気前よくばらまくだろうし。




ところで、今年度の子供手当ては財源5.5兆円が決まらないまま推敲されつつあるわけなのだが、参院選後には確実に扶養者控除の廃止が実現する。

  • 子供のいる家では、子供の扶養控除がなくなり、
  • 専業主婦のいる家では、専業主婦の扶養控除がなくなり、
  • 高齢者のいる家では、高齢者の扶養控除がなくなる。

子供と老いた両親と同居している家庭*2などは、むしろ実質増税になる。
特に、介助が必要な高齢者と同居している介護世帯はダメージばかりがでかい。子供手当ては振り込まれないのに、扶養控除はなくなるわけだから。


そうすると今度はこういう話がきっと湧いてくる。
「お年寄りのお小遣い稼ぎとして、恵まれない難民の子供を養子にしませんか」
子供達は海外にいたままで、あなたは何もしなくてもお金を送金でき、子供達を救えますよ、とかなんとか。


んで、いずれ彼らは日本に来るわけだ。
日本語も、日本の生活風習もまったく知らず、養父母になった人の顔も知らず、しかし「日本人の養子になって日本国籍を得た、養父母に養われるために日本に行く」という、これもまた正論そのままで。


海外の養子にも子供手当てを給付するっていうのは、効率よく移民を日本に移住させるため、国籍取得のハードルを下げるためのカラクリなんじゃないのかなあ。



懸念事項は必ず2個か3個繋げて考えると、いろいろ見えてくる気がする。

*1:以下は、さだきちさんの日記にコメントしたものをベースにしています

*2:うちの弟んところがそうです……