心に沁みる戦前の選挙のスローガン

本業多忙のため本日も拾いネタにて。

●選ぶ人正しければ 選ばれる人正し(昭和二年)
●投票の一瞬は 国家の百年(昭和二年)
●国政は船のごとく 一票はかいのごとし(昭和二年)
●善政も悪政も 一票から(昭和二年)
●裏も表も 明るい人を(昭和三年)
●軽く選ぶと 重い荷を負う(昭和三年)
●投票は 主義と主張を 聞いてから(昭和三年)
●投票買いの 良心売り(昭和三年)
●嫁と議員は 調べた上で(昭和五年)
●政治は 国民の色に染まる(昭和五年)
●政治の明暗 この一票(昭和十年)
●金で選ぶな 心で選べ(昭和十年)
●売るな魂 捨てるな一票(昭和十一年)
●義理は禁物 人物本位(昭和十四年)
●人をよく見て よく選べ(昭和十六年)
●国思う一票 国思う人に(昭和十七年)
●世界が見ている この選挙(昭和十七年)

すべて、戦前戦中に行われた選挙のスローガンとして使われたものだそう。
戦前というと、「票をカネで買う」が罷り通っていた時代だとか、大政翼賛選挙が行われていた時代だとかいうイメージも強いのだが、スローガンはしごく正論。
これだけのスローガンが謳われてきたにも関わらず、あの政権ができ、あの戦争を避けられなかったわけではあるけれども。


そして、これらのスローガンが戒める内容は、現代にあっても腑に落ちるものばかり。
「よくわからんけど、みんながそう言ってるから」
という行動を取った結果が、現在のていたらくだということを考えれば、「悪いのは鳩山」「悪いのは小沢」「悪いのは民主」「民主に騙された」じゃなく、それを見抜けないまま支持した有権者自身が、それによってもたらされる全ての結果*1を引き受けるのが、議会制民主主義、有権者の責任の取り方、ということかもな、と思った。


「とにかく日本(=目の前のすべて)をめちゃくちゃにしてすっきりしたかった」
というのが2009/8/31時点での有権者の衝動であったのだろうし、ちゃぶ台をひっくり返す快感というものを、みんな十分に味わった。


でも、ひっくり返したちゃぶ台は、自分で片付けないと誰もどうにもしてくれない。
ちゃぶ台片付け業者を家に入れて全部任せる愚を、果たして2010年7月にも繰り返すのかどうか。
そしてそれによって、どういう結果が出てもやっぱりそれは有権者が選んだ未来ってことだよね、とか思うのだった。

*1:良いも悪いも