教訓茶碗

パズル作家の仕掛屋定吉さんにお願いしていた、教訓茶碗の銀継ぎが出来た、という報せ。
さっそく出向いて拝領してきた。

これは石垣島の焼き物で、茶碗の中にシーサーが入っている、というもの。この茶碗、八分目まで水や茶を注ぐと普通の茶碗として使えるのだが、それを越えて満水まで注ぐと、茶碗の底に空いた穴から一気に水が抜け落ちてしまう。
サイフォンの原理と同じものなんだそうで、石垣島に大昔伝来した酒器を元に、石垣島の工房で作られている。
陶器としては決して値の張るものではないのだが、ギミックのおもしろさとシーサーの愛嬌が気に入って、以前日経の仕事で使った折に譲っていただいた。
長いこと仕事部屋のラックの上に飾ってあったのだが、これを麟太郎が落として割っちゃったのだった。
原理部分は無事だったが、茶碗の縁が12〜3個の破片になってしまい、茶碗としての用は為さなくなってしまったのだが、いつか機会があったら直そう、と思って欠片のほとんどを残してあった。


今春、定吉さんが継ぎができると聞いて、じゃあお願いしますと頼み込んであったのだ。
今回、漆と銀で継いだものができあがってきた。

向かって奥側に継いだ痕が景色となって見える。
水を張っても水漏れなし。
水を一杯まで入れると、底からさーっと抜け落ちる。
教訓茶碗としての機能も申し分ない。
ありがとうございます。


これ見るとたぶん麟太郎を思い出せる。
願わくば、万夜も割りませんように。