怪ダレ5

今年ずっとやっている、怪異伝説ダレカラキイタ(5)【悪霊の教科書】のゲラチェック。
完成がようやく見えてきたような……。
本日はあかね書房社内で複数の方に読んでいただいて出てきた疑問部分、不整脈的文章の整理・再考など、細かいところを浚う。
普段、文庫ではそれらの作業を一元的に自分の手元で行って、初稿ゲラ、再校ゲラなどで著者、小人さんなどの初見チェックを重ね、最後に目を皿に耳を目にしてのチェックなどなど「手段を変えたチェック」を重ねるのだが、怪ダレでは主に出版社内の複数のベテラン編集者による二重三重のチェックが入る。
児童書では大人向け商業誌とは違ったチェック基準がいろいろあり、表現(言葉遣い)、漢字熟語、使用可能な漢字の種類(小学校低学年で習う漢字までしか使えないとか)などなど様々な「大人向けの本にはないチェック項目」がある。
これらを何重にも何度も重ねて進めていくわけで、一向に終わりが見えてこないwが、ちゃんと進んでますよ、と。


最近は自分でゲラを出す場合も、また雑誌などでゲラを出していただく場合も、PDFかJPEGの状態のものをメールで送ったり貰ったりする機会が増えているのだが、怪ダレの場合は紙に出力された状態で頂戴するため、赤字も昔ながらの赤ペン直書き。なかなかこういう仕事をする機会も減ってきた。
以下、表紙色校を拝見しつつ出た話。
「そういえば最近は金アカって言わないんですかね」
「赤色にスミが入ってくすんでたんで、【金アカ】って修正指定入れたんだけど直ってこなくて」
金アカ=金赤というのはM(マゼンタ)100%+Y(イエロー)100%の二色のみを混色する赤のこと。僕の世代などでは「一番赤い赤」「金赤」として覚えた。
四色印刷ではC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(クロ)で自然色を再現するのだが、シアン=青は案外青くないというか、コバルトに若干近い。イエローは黄色というよりレモン色に近い。マゼンタはそのままだと赤よりは濃いめのアマンドピンクに近い。クロはスミ版といって普通にクロなのだが、クロ100%だと真っ黒にはならない*1……などなど、それだけでは思い通りの色にはならないので、Cを50%、Yを70%と、使用濃度を組み合わせて色味を指定してきたわけだ。この中で、M100%+Y100%で組み合わせてできた赤が赤の中の赤、金赤。
なのだが……やはり電子組版が定着して久しいせいか、現場で組版する若手はもう電子組版オペレーションしか知らないせいなのか、「金赤? なんですかそれ?」となってしまうらしい。
今後は、ますますこういう「昔ながらの業界用語」っていうのは消えていくんだろうかな、というような話を交えつつ、悪霊の教科書の細部バランス調整はなんとか山を越えた。


しまつた。
発売日がいつになったのか確認するの忘れてた。

*1:カラーページで本当に真っ黒な黒を表現する場合、K以外のCMYも100%にしないと黒くならない。Kのみ100%だと若干薄い。しかしCMYKの全てを使う場合、版が少しでもずれると大変なことになるので、現在は1/100ミリ以下で位置調整がされていますよ、と。昔はこの位置調整も職人の手作業だったけど、今はソフトで。