バックアップの重要性

実話怪談を仕事にしているから――かどうかはわからないが、過去に最悪のタイミングで作業データが吹き飛んだり、HDDに機関車やえもんの霊が取り憑いてカコンカコン言ったり、PCそのものが突然無口になったり、ということがあった。
そういうトラブルは大体パソコンショップが閉店していたり、銀行のネットバンキングが振り込み受付を休止するメンテ時間などに起こる。狙い澄ましたように起こる。
つい最近も向こう3年分くらいのHDDが吹き飛ぶ事故が起き、危うくデータを喪失しかけたのだが、幸い復旧できなかったのが3年以上前に完了した仕事で、それらは不定期に行っているCD-R/DVD-Rへの書き出し対象になっていたことなどから、メディアからの書き戻しで事なきを得た。
そうした経験から、特に進行中の仕事に関してはマメなバックアップを心がけているつもりなのだが、何分にも人間のすることなので長周期の習慣はつい忘れてしまいがちだし、昨日今日といった短いスパンのバックアップともなると、さらに手を抜きがち。
つい最近も、高田公太君が2週間ほど掛けてiPhone4で書いていた怪談原稿を、まるごと全部吹っ飛ばしたらしい。大変恐ろしい。これが締切直前だったらふて寝したくなるレベル。


やっぱ、自動バックアップ。そして、自分の手元ではなくオンラインストレージへの自動書き込みだよなー、と思う。
iPod touchiPadなどを併用するようになってからDropboxEvernoteを使っている。


Evernoteはメモや写真、PDFファイルなどの携帯端末と母艦PCとの間での共有に向いていて、ちょっとしたやりとりだったら、母艦側にEvernote常駐させておけば勝手に同期してくれるのでiTunes起動してシンクするより早いし楽。ただし無料で使える容量は60MBまで。
管理はノート単位。
日本語化されているので、設定やサービスは日本語対応。


Dropboxはフォルダ構造にあるものを丸ごと携帯端末や母艦との間で共有するものだが、データはWeb上にはなくそれぞれの母艦や端末の上に置かれるらしい。無料で使える容量は2GBまで。
2GBって結構いっぱいあるよな、と思っていたのだが、竹の子書房の作業フォルダを共有させてみたら、あっというまに2GB使い切った*1
50GB(月約$10)、100GB(月約$20)の有償サービスがある。
日本語化はされておらず、サービスは英語でのみ提供。


類似の後発サービスもいろいろあるようで、ZumoやSugarSyncなども試しているのだが、例の「最初に5GBをタダでくれる」というのを売りにしているSugarSyncが、やはりひとつ抜きんでている気がする。
SugarSyncは、同期している母艦PCの内容のうち、それぞれ指定したフォルダの内容をWeb上のオンラインストレージにバックアップするというもの。
Dropboxが「My Dropbox」というフォルダの下にあるフォルダのみを同期対象とするのに対して、SugarSyncは別々の場所、ドライブにある別々のフォルダをWeb上のオンラインストレージにバックアップできるところが異なる。
使ってみると、むしろこの「別々の場所にあるフォルダを、それぞれ別個にバックアップできる」というのがなかなかに使い勝手がいい。
例えば、「メール関係のフォルダ」「今やりかけの仕事」など、同じフォルダにまとめてあることは稀で、だいたい別項目、別会社、別ドライブに分散されている。そうしたものの内容の最新版をオンラインストレージに置いておき、必要に応じて携帯端末などからそれを参照したり、UPしたり、必要な分だけDLしたりする、という使い方になる。
母艦PCでSugarSyncを起動すると、バックアップ/同期は自動でやってくれる。
もちろん日本語化されているので、設定やサービスは日本語対応。
SugarSyncの美味しいところは、最初の5GB以外に「友達キャンペーン」の類がある点。
5GBの無償サービスを、例えば友人の誰かが始めたとする。そうすると、その友人と紹介者の双方に、それぞれ+500MBのボーナス容量が付く。誰かの紹介で始めると、最初から5.5GB付いてくる、ということだ。
SugarSyncの有償サービスは100GB/月額$30なので、Dropboxより若干高いのだが、紹介した友人が30GB以上の有償サービスを開始すると、紹介者と紹介された友人の双方に、それぞれ10GBずつのボーナス領域が付く。つまり、友人は30GB分の料金で40GBを獲得し、紹介者にも10GBがオマケされることになる。


何をオンラインストレージに置くかによっては、このボーナス容量の恩恵は大きくも小さくもなるのだが(例えば動画ファイルを置きまくればすぐになくなるw)、テキストやPDFの「日常的なバックアップ」に使うなら、500MB、10GBという分量はなかなか魅力的だと思う。
まあ、なんといっても「気を遣わずに自動バックアップ」っていうのが便利だしなー。
Dropbox、SugarSyncともに「友人とフォルダ(記憶領域)を共有する」といった使い方もできるので、PCを使ったグループワークの機会が増えている人には、非常に向いてるツールなのではあるまいか。
竹の子書房もだけど、「超」怖い話、恐怖箱など著者陣がそれぞれ遠隔地に分散協業している昨今、こういうツールをうまく使っていくことは重要で、「アナログですし」という人ほど受けるダメージ&リスクは大きくなっていくのかもしれない(゚д゚lll)


というわけで、それぞれのバックアップツール/オンラインストレージはこちら。
いずれもPC/Mac/iPhone/iPad/iPod touch/Androidに対応しているので、これらを縦断しながら使っている人には必須。

Evernote
http://www.evernote.com/about/intl/jp/

Dropbox
https://www.dropbox.com/

SugarSync
https://www.sugarsync.com/referral?rf=fdax4hiqpcmyk

*1:画像ファイルが多いため