ネイチャーストーブの長い旅

去る3/10。
以前から欲しかったネイチャーストーブを売ってるとこをようやく発見。いろいろあって逡巡したのだが、物欲に勝てずに注文した。
すっかり慣れてきた個人輸入について、今回は通常と違うルートを辿ったので、そこらへんの記録も兼ねて。


ネイチャーストーブというのは何かというおさらい。
普通、ストーブと言えば白ガソリンや灯油、もしくは薪ストーブのように薪をくべて暖を取る装置のこと。
液体燃料系のものはバルブが複雑だったり気密性を徹底しなきゃならなかったり燃料を携行しなきゃならなかったり、燃料手に入りにくかったり燃料が尽きたらただの「重たい余剰物資」になってしまったりする。
薪ストーブは薪さえあればよく、オーブンとしても使えたりで燃焼効率もよいわけなのだが、普通持ち歩いたりすることは考慮されていない。重さは10〜50kg以上ある鋼鉄の塊だもの。据え付けたら動かさないか、車で運ぶものだもの。
アウトドア用のコンロとしては、今品薄のLPガスを使うカセットコンロ状のもの、焚き火台などもある。どれも持っているwが、LPガス系のものは使い終えたボンベを捨ててくるわけにはいかず、ゴミが増えるというか嵩張る。通常のボンベ1本で4〜7時間くらい連続使用できるので、一泊くらいなら余裕で賄えるが、補充ができず後ろが見えない長期行ではあまり役に立たないわけで、あくまで「いつでも補給が受けられる」ということを前提にした装置なのだなあ、と思う。
焚き火台というのはこういうもの。

山善 キャンパーズコレクション ステンレススクウェアバーベキュースタンド 焚火台 KL-001

山善 キャンパーズコレクション ステンレススクウェアバーベキュースタンド 焚火台 KL-001

地面を傷めずに焚き火を行うため、火種部分を宙に浮かしてかがり火みたいな感じで使う。
……持ってるけど使うチャンスないなあw
最大の理由は、大量の「薪」が必要な点で、そこらへんの枯れ草枯れ枝では燃料を賄いきれない。また、裸火が宙に浮く形になるので、通常以上に周囲の防火をきっちりやらないとならない。
でも、大人数でキャンプファイヤーを囲む、または暖を取るのには向いている。
難点は「案外でかい」。
折りたたみ式だけど、実用に耐える大きさの焚き火台は一辺が25cm〜30cm以上ある。カバンに入れようと思えば入らないことはないし、トートバッグにでも入れれば問題もなさげなのだが、これを携行しろ、持ち運べと言われると、案外嵩張るサイズだということがわかる。

ジャイロUPに乗り換えてから、久しくツーリングに行くこともなくなったのだが、以前はバイクで移動する人でした。しかも荷物が載らないレーサーレプリカ
となると、ツーリングは自然、コンビニとコンビニ、ドライブインや道の駅という補給地点を転々とする形になるのだが、そういうものがない場所にはそもそも行けないということに。ここらへんがバイクの限界だった。そこらへんは車でも他のものでも同じで、どこまで無補給で、或いは自力で賄えるような装備を携行できるか? という問題に帰結する。
インフラがきちんとしていて、いつでも補充が受けられる、補給地点にはいつでも物資が用意されている、というなら自分自身は余剰物資を持ち歩く必然は小さい。日本国内でのツーリングだったら、そんな大荷物を背負う必要もあまりない。そういえば、峠を挟んだツーリングルートなんかに行くと、財布と保険証のコピーくらいしか持ち歩かないツアラーは多かったなあ。

[rakuten:ahirunodrug:10254199:detail]

バイクで一泊くらいなら、コレでなんとかなるんだけどなあ。
で、ネイチャーストーブというのは、松ぼっくりだの枯れ枝だの割り箸だの新聞紙だのといった、「燃えそうなもの」ならなんでも燃料になるもの。煙突効果によって下から吸気し、熱で発生した上昇気流が上向きに働くので燃焼効率が非常に良い。
空気が動きにくい焚き火台よりも、煙突効果を利用することで少ない燃料を最大限燃やせる。一斗缶やドラム缶のストーブが、缶の下のほうい穴が開けてあるのは、あれは灰を掻き出すためだけにあるわけじゃなく、あそこから空気を入れるためにある。焼き肉屋なんかで見かける七輪も同じ仕組みで、下から風を入れる。
が、ドラム缶はもちろんのこと、一斗缶は持ち運びが難しい。そもそも、塗料関係、現場仕事、そうでなかったら料理関係(業務用)とかに関わってないと、一斗缶に触れるチャンスも使い切る機会もあまりないし。
てなわけで、煙突効果を利用した燃焼機材で、なおかつ折りたたみができるものとして出てきたのがネイチャーストーブ。
国内ではほぼユニフレームのもの一択。

[rakuten:auc-odyamakei:10111378:detail]

薄いステンレスの板でできた幾つかのパーツから成っており、折り詰め弁当のように組み立てて使う。
これは、組み立てに案外時間が掛かる。
複数回の利用で板が歪んでしまうと、うまくツメが収まらなかったりもする。そして、重量物が上に乗らないので、小さなコッヘルで湯を沸かすのが限界でもある。
要するにというかなんというか、ネイチャーストーブは「火遊びのためのオモチャ」「1〜2回遊んだら満足」以上の堅牢性を持たされていない。
いやしかし。エマージェンシーとかサバイバルとかそういうのは、「終わりが定められてはいない状態」を指すわけで、やはり堅牢性は重要だろう! と思うと、今ひとつ食指が動かなかった。
もうちょっと頑丈なのないかな、と探し回っていて、見つけたのがこの方が持ってたコレ。

飛騨ぶらり工房:折りたたみ式ネイチャー薪ストーブ!!
http://blog.livedoor.jp/zj6lai/archives/50245418.html

これはいい。是非欲しい。

  • 20年以上前には持っていた
  • 国内ではほとんど見かけない
  • もうひとつ欲しいが見つからない
  • 商品名もわからない

どうやらアメリカ製であるらしいことまではわかったので、そこからいろいろ手を尽くして調べていったところ、幾つかのアウトドアサイトで扱っているのを発見した。ただし、アメリカ。
最安値で$9くらいだったのだが一般的なショップは海外発送は行っておらず、日本への発送は無理なうえに、逡巡してたらSOLD OUTになってたorz
じゃあeBayはどうだ、と思ったら、なんとか扱ってる売り主発見。
bidは同じく$9くらいからだが、BUY IT NOWだと送料込みで$30近くも取りやがる!
しかも……やっぱ、日本に発送してねえ!(`皿´)ムキー!!


普段はそこで諦めるのだが、こう考えた。
「ユニフレームのネイチャーストーブだって4000〜6000円する。それ考えたら、まだ我慢できる値段。(悔しいけど)


「どんなに欲しくても、個人で手配できる範囲、個人のリソースで解決できる範囲のものに物欲は留めるべき」


というのをモットーとしてきたのだけど、どうしてもこれだけは欲しかった。(出会ってから発見するまでが長かったせいもある(´Д`)ノ)


で、今回は個人輸入代行業者を利用することにした。
日本向けに発送してくれないものでも、現地で購入、日本向けに発送を代行してくれる、というもの。手数料がそれなりに掛かるので二の足踏んでたのだが、後学のために「実際にどのくらいの手数料が掛かり、どの程度の時間が掛かるのか」を知る為の礎石とすることにした。


通常の個人輸入(eBayなどの利用)では、だいたい香港発、アメリカ発、ヨーロッパ発のケースが多いのだが、香港発だと早ければ3〜4日で来ることもある。平均して購入手続きから1週間前後。ヨーロッパ発のものでも2週間くらい。
送料Freeとされているもの(ようするに商品代金に上乗せされているもの)を見ると、大きさ・重さで多少の差違はあるものの、概ね$5くらいから。愕然とするほど高い、というのはあまりない。
巻きたばこのロールペーパーをギリシャから輸入したときには、50枚入り32psが届いたわけなのだが……3DS一台より小さな、新聞広告みたいなチラシに包まれ、テープでぐるぐる巻きにしたものが届いて、最初なんだかわからず「何コレ?」とか思ったw 遠距離送品だから少しでも軽く小さく安くということなのか、多少型崩れして歩留まりがあっても気にすんなというお国柄なのか(世界的にはそれが当たり前なのか)。
壊れ物が梱包されてくる場合も、本当に必要最小限の梱包で来ることがほとんど。
そういえば、前に二つ折りになるBluetoothキーボードを通販で買ったら、それが10セット入っていたと思しき外箱に大量の梱包材とぷちぷちとともに詰め込まれて送られてきたことがあった。
無駄だろそれは! 再利用にも程があるだろ! というか再利用がエコになってないだろ! と。
最近のAmazonも割とその傾向があるけど、梱包機器を自動化して画一化したことが原因なんだろか。
日本より世界各地のほうが、全然エコだよ、とこのときは痛感した。


で。
手続き的には、こんな感じ。


「欲しいものを物色し、URLを確認」
個人輸入代行業者に会員登録(無料)」
「eBayで欲しいものがあるので、これ買って」とURLを送る
「確保したので前金ちょうだい」の連絡
「前金振り込んだので送品してちょうだい」と返信
「商品が現地(今回はアメリカ)事務所に到着したので残金ちょうだい」の連絡
「残金振り込んだので送品してちょうだい」と返信
「現地事務所→空港→成田空港→税関→」
「自宅到着」


現地事務所発から自宅到着までは、今回はヤマト運輸を使ったので荷物追跡もできた。


タイムテーブルはこんな感じ。

  • 3/10に個人輸入代行業者に登録、代行発注。
  • 3/9に代行業者から登録完了の返信(日付が逆なのは現地との時差です)
  • 3/9に見積もり確認の知らせ、代行受注
  • 3/10に「指定商品を注文しました」の知らせ
  • 3/10に前金振り込み、「振り込み確認」の知らせ
  • 3/15に売り主→現地事務所に商品が到着、現地事務所から発送準備完了(残金請求)
  • 3/22に精算*1、「残金確認」と現地事務所(在米)からの商品発送完了の知らせ
  • 3/22 15:19にクロネコヤマトシカゴ支店で荷受け(輸出許可)
  • 3/23 00:00にクロネコヤマトシカゴ支店から発送(出国)
  • 3/25 19:07に日本(成田)到着
  • 3/26 11:00に国内通関(輸入許可)
  • 3/26 18:31にクロネコ国際宅急便サービスセンターから発送
  • 3/27 01:11に作業店通過
  • 3/27 09:49に叩き起こされて*2配達完了

こんな時期だからというアクシデントが、残金振り込みと国内発送のあたりにちらほらしたものの、3/10の注文から到着まで17日間。およそ2週間強で到着した。3/15〜22までの一週間のブランクは、主にみずほ銀行のシステムトラブルに起因する話で、これがなければあと1週間くらい圧縮されたかもしれない。その場合で約10日なわけで、海外通販の所要時間としてはまずまず。
手数料を合わせた費用総額は、商品代金のほぼ倍くらい(´Д`)
まあ、ユニフレームのアレとほぼ同額だと思えば……とグッと何かを飲み込むが、よほどのことがない限り利用は控えないとなあ(´・ω・`)


3/17に注文したファイアスターターは代行業者を通さず同じアメリカ発で3/24には到着していた。所要時間はほぼ7日。こちらの費用はeBayの値付け+明示されていた送料以上には掛からなかった。
実は同じモノが国内でも手に入るのだけど、eBay価格+送料のほうが国内のショップから買うよりも安かったりするのは、やはり輸入手数料というか国内ショップの利鞘が乗っかってるからなんだろうなー、たぶん。
必ずしもどちらから買うのがよいのかは不明なれど、今回はその国内で買った場合に得したはずの分を、eBayからのDonationに上乗せ。
「そもそも日本には輸入で入ってくる」という品物で、日本ではあまり流通してないか値引きされてないようなものだったら、そういう入手手段はあるよな、と思う。


てなことを書いていたら、弟から「こっち計画停電で蝋燭がめちゃくちゃ品不足なんだけど、兄貴のほうはどうよ?」と電話。
豊島区はまだ計画停電区域に入ってないけど、全般に品不足なのは変わらず。蝋燭の類はどうやら他区からの買い出しがあるのと、元々の供給量が少ない(普段から仏壇やアロマに蝋燭乗せる人が少ない)こともあってか、品薄は変わらず。
それこそ「西日本発送の通販で買えよ」または「海外発送のモノ買えよ」とアドバイス


海外輸入は僕だって一年足らずのビギナーだけど、eBayのアカウントとPayPalのアカウントがあれば、それほど緻密な英語力がなくても海外から個人輸入はできる。玄関先で荷物手渡してくれるのは日本人だしw、楽天の取引がそうであるように、Buy It NowでもBidでも、手続きのほとんどはシステム化されていて細やかな英語での応答が必要とされる場面はほとんどない。
「日本で買える、日本にしかない、日本のほうがお得」なものは日本で、「結局出所は海外、海外からのほうが安い、日本にない」ものは海外から。
いろいろ使い分けるのがよいと思う。


例えば、このLEDキャンドルは、$0.99。$1=81円として、ほぼ80円。送料無料。

http://cgi.ebay.com/LED-Flash-Candle-Yellow-Light-Lamp-Electronic-Flameless-/300487609780?pt=Lamps_US&hash=item45f6750db4

同等品をAmazonで買うと170円+送料。
http://www.amazon.co.jp/Star-Galaxy-SG-LEDCANDLE-LED%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB-%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%83%B3%E9%9B%BB%E6%B1%A0%E5%BC%8F/dp/B0046E7US6/ref=sr_1_6?ie=UTF8&qid=1301200145&sr=8-6

まあ、これはボタン電池使用なので今回必要な蝋燭の代わりにはならないけど。
とりあえず、いろいろ探す、自分で探す、もっともよさげなものがどれかを自分で判断する、ってのがよいと思う。
注文した後で、もっと安いところを見つけたとしたら、それは自分の検索能力が低い、自分の判断が早まったのであって、腐すべきは自分。*3


それが「自分でやる」ということなのだと思う。



PS.
なお、この商品は「ネイチャーストーブ」というキーワードから出発して探し当てたものだが、別の商品名で呼ばれていることも多い様子。
商品名の英語表記すら「Pocket Cooker Folding Compact Emergency Stove」「Foldable Pocket Cooker」「Emergency Stove」と一定しない(^^;)
国内では「ポケットクッカー」「ポケットストーブ」という名前で扱っているところもある。国内でのヤフオク価格は4800円から、即落9800円(高ェ!)。元値を知るとそりゃボりすぎだろ! という気が。


国内にあるもの、ないものでも特定商品を探すときに悩むのが「小さい何か」にどういった修飾詞が付いているかで、日本人は「ミニ」とか「マイクロ」とか「ナノ」とかで探しがちだが、海外では「ポケット」「ハンディ」「フォールダブル(折りたたみ)」といった表現で小さいことを示唆することが多いようだ。
変態性を意味する「アブノーマル」は、日本では普通に知られた英単語だけど、英語圏では「普通そんな表現使わないし、その言葉を知ってる人だってどんだけいるか!」というような単語であったりするらしく、輸入外国語と日本の日常外国語の越えられない壁を、こんなときに再認識したりするのだった。

*1:手続きは3/15にはしてたんだけど、みずほが止まってましたorz

*2:いつもご苦労様です

*3:満足できる買い物をしたら、同等品についての価格検索を絶対にしてはいけない、というのは買い物の基本w