ソルト&ペッパー

衝動的に、ソルト&ペッパーを買いました。
(時期的に)酒飲めぬ、外出られぬ、というストレスがこんな形で。よよよ。


ソルト&ペッパーは塩胡椒、ではなく、スイス軍の迷彩パターンを指す。
コットンやウールや、グレーっぽい地に白黒の点々が入るスイス軍の軍服、被服全般、鞄などの軍装品に至るまでをソルト&ペッパーと呼ぶらしい。
これまでうちにあるスイスものと言えば帽子ひとつくらいなのだが、以前から「いつか」と思って狙っていたのがバッグ。
バットバッグ、ブレットバッグの一種で、見栄えとしてはショルダーバッグ。通称はカブトガニ
本体に対してカバーが本体背面まで回るほど大きく、カバーをしてしまえば絶対に鞄の中身が外に出ることがないという、非常に堅牢かつ特殊な形をしている。中に雪が入らないためなのか、転げ回っても中身を落とさないためのものなのかは不明。
現行品はPVC(ビニール)製で、防水性はよろしくなったのだが何とも味がない。
旧品はキャンバス+革のベルト固定具+真鍮の金具+ダイキャストのボタン+コットンの肩紐ベルト……。少なく見積もっても70年代よりは古いだろうなあ、というガッチガチのビンテージ品。いい味出てます。
だけど、値段はそんなに大したことなくて、本体価格1300円と少々。
鞄としてのスペックは、マチが10cmくらい、幅が25cmくらい、縦も25cmより、ちょっと大きいかどうか。内部は横に二層で、マップを挟む薄いポケットと、立体物を入れる本体部分、本体部分の内側には縦長のものをまとめておく底の抜けたポケットのようなもの。本来の用途は違うのだろうけど、500mlのペットボトルがちょうど収まりよく入る。
その他に、細々したミニポケットはない。
留め具の類は、カバー部分にある革+ボタンの他は、本体の入り口を止めておく、鉄でできたフックのみ。
プラスティックもファスナーもスナップもない。当然、ABS樹脂製のパッチンと止める留め具もない。
本体、カバーその他、素材にはナイロンなど使われていない。
軍用品の類は、80年代に突入すると途端にナイロン、ゴアテックス、ノーメックス、ABS樹脂、ストロングスナップ、ビニール製ファスナー……といったものが使われるようになってくる。
もちろん、量産効果(コスト)や強度、重量、耐熱・耐火・耐水性などなどの機能面を考えれば、新素材で作られたもののほうがずっと実用的だということは、よーくよーく理解しているのだけど、やっぱ「コットンと革と真鍮(と、ウール)」に優るものはないな、というかなんというか。
今、市場に出回っているビンテージ軍服の類は、だいたい60〜70年代あたりが多く、ものによっては80年代頭くらい。それ以上新しいのはもはやビンテージではない。50年代より前のビンテージは、実際に普段着として着たり使ったりするのには、さすがに向かない。ほつれる、汚れてる、それ以上に素材の寿命が……。
60〜70年代ビンテージは作られて40〜50年は経とうかっていう古物の割に、作りが非常にしっかりしている。戦争中の物不足は解消され、結構「イイモノ」が優先して軍に回されるようになった時代。
そこからもう暫くすると、装備品の近代化やら共通化やらで、重くて扱いにくいキャンバスや革はどんどん減っていくことになるわけで……。
60〜70年代ビンテージってのも時代の徒花だったんだろうかなー。


とりあえずしまい込んでおくコレクションとしてではなくて、「しまい込まれていたものを、使い倒して最後のお勤めを果たして戴く」ためにミリタリービンテージを買う。お安く買う。
まずは倉庫に眠っている間に付いた、埃臭いような匂いをどうにかせねばならぬ。
でも、洗ったりはしない。革部品多いから洗えない。
消臭剤などもってのほか。
鞄のフタを全開にしつつ、このまま直射日光の当たらないとこにぶら下げて、匂いが揮発するのを待つ。
あー、デビューが楽しみだ。

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