ハンガリー軍のカバン

お気に入りの西ドイツ軍のカバン(バットバッグ)がかなりへたってきた。
バットバッグとは雑嚢のことで、兵士が軍装品以外の普段使いのものを入れておく小さなカバン。
西ドイツという国が東西併合でなくなって随分経ち、「70〜80年代の西ドイツ軍のバッグ」っていうものそのものが、ぼちぼち品薄になってきている。どっかで大量にデッドストックが放出されない限り、後はレプリカしかない。そして、レプリカすらも段々数が減ってきているのが現状なわけで……。
スイス軍のカブトガニももちろんいいんだけど、普段使いには気持ち大きい。
軍物バッグ、もう幾つ持ってんだよとか自分でも思うけど、9や10程度ではコレクターと呼ばれるほどでもないと思う。
各国の衛生兵バッグも収納が便利そうで食指が動くんだけど、あれこそ種類が多すぎて手を出したらキリがない、軍物バッグ界の盆栽とも言えるべきジャンルではないかと(ry

というわけで、何か出物はないかなーと漁ったところ、ハンガリー軍のガスマスクバッグが割と手頃だったのでポチってみた。

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一応、ユーズドではなくデッドストック新品ということらしいのだが、久々にスゲーの来た。
レビューに「ゴミが来たのかと思った」というのがあったので覚悟はしてたけど、ゴミが来たのかと思っ(ry

まず、金具類。この手のものは水濡れなども念頭に置くので、古いものだと真鍮製、アルミ製、新しいものだとABS樹脂など。まあ、かなり古い時代のものだとスチール(鉄)もないではなく、またそれが錆びたりしても使い込まれて黒さびが、赤さびの痕跡が少し布地に移って味が、とかそういうレベルなのだが……。
赤さびが立体的に盛り上がってコブになってるってどういう管理状態なんだww およそ新品デッドストックには見えませんよ?
そして布地が大変薄い。ぺらっぺら。
本体はまだしも、肩紐部分は今使ってる西ドイツ軍バッグの肩紐の厚みで半分もない。百均の端布かというくらい薄い。
これはハードに使ったらというか普段使いしたら、恐らく1年保たない。
匂いとか汚れとかは洗えば済むし、錆も削れば済む。
が、素材の薄さは、これはどうにも致命傷。


似た経験は東独軍のレインドロップバッグや人民解放軍の雑嚢なんかでもしてるんだけど、1960年代より前の東側諸国の品物は案外悪くない。素材も縫製も。
が、70〜80年代中期くらいまでの東側の末期、(ベルリンの壁の崩壊、続くソ連邦崩壊の頃)に作られたものは、存外に状態が悪い。
どこの国でも通常は軍の装備品というのは良いものが優先して使われる。頑丈でなければ実用に耐えず機能的でなければ戦地で不利になる。
そういう超実用主義から工夫が凝らされ、それぞれの国や想定する戦地に合わせて改良され、時代によって若干の改訂や地域差もあったり。
ファーストガンダムで言うと、ザクに旧ザク、ザク、ザクII、寒冷地用ザクといろいろなバリエーションがあるのと同じようなもので、同一概念からスタートしてもまったく同じではない、しかし量産によって良いモノを、他国と比肩して引けを取らないものをという矜持が混じったのが軍装品というものなわけだが。
末期の東側諸国の物資欠乏は、様々な側面に現れていたというけど、このハンガリー軍のバッグにも爪痕として残っているのだなあ、と。
こうした軍物カバンは金額的には1000円か2000円くらいではあるけれども、これはこれで歴史の影響というものを表す歴史遺産なのだなあ、と思う。



それはそれとして、どうしてくれよう。このカバン。ハンガリー軍ェ。
実用しようと思ったら、ストラップざっくり切ってハトメ打って別のストラップ付け直したほうがなお頑丈かと思うんだけど、それやったら負けだしなあ。くやしい。