能登の旅

結婚して十年目なので旅に出た。
新婚旅行も結婚式もしてないままなので、節目くらいはということで、能登へ。
夜の日本海は小樽で、昼の玄界灘は九州でそれぞれ見たことがあるが、昼の日本海を見たことがないなあというのと、蟹食いたいなあというのと、どっさり雪を見たいなあというのと、電車乗り継ぎの旅をしたいわあというのと、利害が一致して能登へ。

前日までの超凹みがなんとなく晴れたので後顧の憂い無く出発。
まずは在来線で池袋から大宮へ。
大宮から上越新幹線MAXときに乗り換えて越後湯沢へ。
そういえば上越新幹線乗るのも初めてな気がする。そもそも越後湯沢は来たことがない気がする。ほんと北陸に縁が無い人生だったのだなあ。
越後湯沢はもはや一面銀世界。
スキー、スノボによい状態になっている。
東京は晴れてたけど雪も降り放題。
越後湯沢から特急はくたかに乗り換えて、目指すは金沢……のさらに北、和倉温泉
能登半島の中央辺りにある能登湾の南側である。北が輪島。湾に浮かぶ島が能登島

宿は「十番館」。客室22室ほどのそれほど大きくないホテルなのだが、和倉温泉では異様に評判がよくリピーターが多い。週末は取りにくかろうと思ったが、休日明けの日/月の二日間で取れた。
とにかく人混み、休日のイベントが苦手で「なんでわざわざ休みの日に人混みに揉まれないといかんのか」という家人と、日頃視界に入るのは猫のみ、住み処の周辺は池袋至近の割には住人の7割が家から出ない老人ではないかと囁かれるシャッター街の私鉄駅前暮らしの僕と、要するに二人とも「人がいっぱいいて混んでるとこが苦手」なので、ウィークデーの旅行となったのだった。

和倉温泉駅に着くと、ちょうど宿の支配人の伊藤さんが客の送迎に来たところ。今到着した客は僕ら二人だけだった。


今回は「十周年で」とうっかり伝えたところ「では頑張らせていただきます!」と、随分頑張ったメニューが組まれたらしい。
大浴場の他に、部屋付き露天風呂があるとかそういうとこ。
そんな部屋、これまでの人生で一度も泊まったことない(`Д´)
そろそろそういうの泊まってもOKなお年頃になったということでしょうか。
浴衣が似合う体型になったということでしょうか。
チェックインをしていると支配人が「今回は頑張らせていただきました! お品書きが凄いです!」

全18品目ってなんだおwwwww
一品一品が量が少ないとかそういうことかなと思いたいとこなのだが、「あの宿は料理のボリュームがすげえ」という情報があり。
「さらに今回は、十周年ということでしたのでかにしゃぶをサービスさせていただきました!」
なんてことを!www
「ですから、是非頑張って下さい!」←本当に言った。


仲居頭さん*1に案内されて部屋へ。
「ご自宅だと思ってゆっくりおくつろぎ下さい」
僕んち自宅、部屋に能登湾を一望できる露天風呂とか付いてません><
仲居頭さんもにんまり笑って、
「今日のお客様の仕事は夕飯を【頑張ること】です」←これも本当に言ったw
客が晩飯を頑張る宿ってどんなんだよwww


頑張って露天風呂に浸かり、腹減らす体操などをする。昨夜のTANGOのカウンターを思い出せ自分!と発奮。


晩飯は――。
凄かった。
カニが4品付いてた。
しばらくカニは見たくないんじゃないかというくらいカニと戦った。
ノドグロとも戦った。
フグとも戦った。
甘鯛も倒した。
メニュー全体の9割が海鮮系で、唯一強肴が和牛陶板焼き。
深きものども系食生活、金が許せば毎食でも寿司を食いたい僕ですが、この「食えこの野郎」的な魚の嵐は……そうだ、実家だ。うちの実家の(沼津時代の)晩飯がこんな感じだった。それを食い切れない量にした感じ。
正直、全メニューが強肴w


食べきれぬ!
もっと食べたいんだけど、身体が拒否している!(´;ω;`)ブワッ なんたる屈辱!
能登こしひかりまで行き着けなかったorz


食堂を去り際、ホールのお兄さんに呼び止められた。
「あ、こちら支配人からお二人にどうぞ、と」
用意されていたのはケーキでした。
「今は無理だと思いますので、落ち着いたらどうぞ」
ええ、今は無理ですとも!(翌朝食べた)
部屋へ戻り、もう一度風呂に入り、ふっかふかのベッドに転がり、








その後の記憶が無い。
寝たのだと思う。

*1:この宿は女将はいないそうです。