H2AIIに続きM5も成功

祝!M5ロケット打ち上げ成功

ああ……青空に白い筋雲を引いて上がっていくロケットのなんと美しく麗しく神々しいことよ。
先日のH2AII型の一期・二機連続成功*1といい、今回のM5ロケットの成功といい、少し前まで「失敗するとこの世の終わり」のような批判に晒されていた日本のロケット界も、これでなんとか面目躍如という気がする。
ただ、うまくいったらいったで新聞の科学欄の片隅に数行で「できてあたりまえ」と書かれ、失敗したら一面トップを飾って「それみたことか」と言われるのではたまらんと思う。それではあまりに気の毒だ。
そして、近所の国からは「日本がミサイル実験をしている!」と言われてしまう可能性、大である。いろいろ面倒なことだ。


言わずもがななことだが、JAXA(旧NASDA)のH2Aは液体燃料ロケット。今回のM5は固形燃料ロケット。
H2Aは商用衛星の打ち上げで採算を取ることを目指していて、EUのアリアンロケットあたりがライバル。アリアンは54回連続無失敗の記録を打ち立て、なお更新中。
M5は科学衛星の打ち上げが主体で、過去に数十回連続*2の打ち上げ成功記録を持つ。
日本は、終戦後にジェットエンジン研究で出遅れ(開発研究を禁じられた)、朝鮮戦争の頃に一足飛びにペンシルロケットの開発に向かう。ペンシルロケット朝鮮戦争で米軍に供給された砲弾の形成炸薬を燃料に転用した(このためペンシルサイズになった)もので、日本のロケットはその出発地点からして固形燃料だった。
日本はこういった固形燃料を使ったロケットの経験は豊富で、Mシリーズの信頼性は非常に高い。ので、実は今回のM5打ち上げはそんなに心配してなかった(^^;)
その意味では、技術的に難しい(高性能だが構成部品が多く制御が難しい)H2AIIがこのところ連続で成功しているのは実に素晴らしいことだと素直に思う。


ロケットというのは地球の自転方向を考慮して、東に向かって打ち上げるのが普通で、日本のロケットも太平洋に向かって打ち上げられる。
このため、万一失敗したときには海に落ち、陸上に被害が出ないようにする一方で、海に落ちるということは漁業関係者の操業と生活を脅かすことにもなるので、漁業補償をした上で夏冬の決められた期間内しか打ち上げができないことになっている。おまけに、その夏冬の期間のうちの一部は確実に台風など気候悪化で打ち上げには使えない。種子島などモロにそうだが、台風銀座のど真ん中に射場があるわけだからして。
そうした打ち上げ回数そのものが制限されている上に、失敗するとものすごい批判と乏しい予算が減っていく*3厳しい条件の中、高い精度の発射成功にこぎ着けている日本のロケット開発技術陣に、今後とも頑張れ! とエールを送っておきたい。

*1:H2Aは商用を目指しているが、打ち上げ時期は種子島の漁業権との関連で夏冬に限定されている。商用として軌道に乗せるためには一期に2回、年4回打ち上げないとならないわけで、これでなんとか目処が付いた。

*2:確か20回だったと思う。

*3:H2Aなんかは保険が掛けられているらしいが、その掛け率は1/2だとかで、失敗したらもう1機買える保険金が出るが、保険料は1/2機分にもなると聞いたことがある。