北朝鮮核実験強行
日中首脳会談の後、北朝鮮がついにやらかした模様。
事実関係の確認はともかく、本稿では「行われた、一部でも成功した」という前提で書いてみる。
対中国のときにはせず、対韓国の前にはやるというあたりに、何かのメッセージが含まれているような。一応は中国のメンツをたてている、とか?
言えることとしては、これは韓国に対する大いなる踏み絵になるだろう、ということ。この後、北朝鮮が潰されることがあった場合に、北朝鮮の受け皿になるのは、中国か韓国がロシアか。うち二カ国はP5の一員、韓国は核保有していないが、「自力国防」を声高に叫ぶ準軍事国家。北朝鮮とは休戦中であって終戦にはなっていない上に、日本と領土問題を抱えている場所に軍を駐屯させてる国でもあり。
今後の展開として、短期的には対北朝鮮への武力行使を念頭に置いた議論が高まってくると思う。この期に及んで及び腰だったりすると、逆に噛みつかれかねない、という雰囲気が出てくるのでは。
もちろん、「正気を保て、北朝鮮は刺激さえしなければ安全だ」論は出てくると思うが、準核保有国になった北朝鮮を安全視するのは問題、という視点が今後しばらくは続く。
中長期的には、集団的自衛権行使の問題→核兵器行使に対する対抗としての(1)先制攻撃の容認(2)非核三原則の見直しによる米軍核兵器行使の容認(3)憲法改正問題→自衛隊装備と訓練内容の変更→対抗措置としての日本の核武装……という焦臭い方向に話が進んでいく可能性はあるかもしれない。
日本自身が核保有する方向に話が向かうかどうかは、ブッシュ政権(共和党)の次のアメリカ政権が、民主党と共和党のどちらになるかで変わってくるかも。
もし、アメリカが次も共和党政権なら、日本はアメリカを集団安全保障上のオフェンスとして頼るだろうし、アメリカも日本保護に動き、日本自身が核武装するという選択肢はまだ選ばないだろうと思う(その実、日本の核武装を共和党のほうこそが望んでいるのでは、と思う)。
もし、アメリカの次がヒラリー・クリントン率いる民主党政権の場合、アメリカのアジア戦略は対日重視から対中重視にシフトする可能性が高い。北朝鮮の管理&北朝鮮潰しを中国にやらせ、北朝鮮崩壊後のリスクを中国に取らせようという。そういう事態に陥った場合に、アメリカは日本を「手厚く保護」するかどうかというと……? 米民主党は伝統的に日本をアメリカのライバル視/軽視する(対日戦争、80年代ジャパンパッシングなど)傾向が強いので、日本が感じる脅威についても軽く見るのではないか、と。その場合、「アメリカは有事に守ってくれない」と考えた日本が、独自の防衛力強化&極論としての独自の核装備の可能性を高める。ただ、米民主党は日本が独自の核装備を持つことを望まない。このため、アメリカ国内に反日ムードが生まれる可能性もなきにしもあらず。日米の雰囲気が悪化することで喜ぶのは、やはり中韓で、盧武鉉ショックの反動で韓国は日本の代わりにアメリカに近づこうとするかもしれない。潘基文国連事務総長を仲介者として。
経済的には、今日の市場が開いてからでないと読み切れないが、韓国から欧米資本が脱兎のごとく逃げ出していたのは、これを嫌ってのことだったのだと思う。日本市場から韓国同様の「資本脱出」が見られる場合、かなり事態は深刻。
なんかいくらでも黒い想像がわき上がってしまう。
日本人の核アレルギーは、対アメリカ(日本に対する核攻撃の当事者)、反日という形で保持されてきたが、今回の件で対北朝鮮(対アメリカ以外の核保有国誕生)の核アレルギーが、どのように発露するかに注目が集まると思う。
「核を持つな」という運動が、対米反米運動だったのか、本当に核アレルギーだったのかが確かめられるかもしれない。
前者、対米反米運動の一翼に過ぎなかったとしたら、今度は逆に「日本が核武装をすべき」という意見に「それは拙速だ」という意味の反発をするようになると思う。
自前の核装備を持たない日本が、今後も核保有せずに敵対する核保有国に対抗するには、「核保有国と緊密な関係を保つ」ということしかない。この場合、アメリカ。
よく聞かれる「勇ましい独立独歩の自国防衛(盧武鉉)」を目指すなら、北朝鮮に対抗して自力核保有国を目指すしかなく、そうでないなら徹底してアメリカの同盟国でなければならない。*1
今回ばかりは、通り一辺倒の「反核」だけでは事態は解決に向かわないだろうし、「日本も核武装を」という極端な意見に舳先を向けた、段階的な強硬意見が少しずつ力を持つようになっていくかもしれない。
ともあれ、折しもタカ派の安倍政権が発足し、国内に右翼的傾向の強い主張が強硬的にはびこっていくことになるだろうという論調の新聞・報道がはびこって、正気を保て、刺激しなければ北朝鮮は安全というキャンペーンを張るんじゃないかなあ、と思う。
チキンレースの主役である北朝鮮・金正日が、あとどのくらい権力の座で頑張るつもりなのか、というのがひとつのキーになるだろうとは思うのだが……。