世間は

この週末はクリスマスらしい。
「超」怖い話冬班はゲラ読み。
文庫一冊分の。
家族に白い目で見られながらの。
世の中を白目で睨みながらの。



げんしけんに関するちょっとネタバレな話。
げんしけん9巻の付録の同人誌に「オタクはなろうとしてなるもんじゃなく、気付いたらなっていたというかそれしかできなくなっている自分を恨みながら抜け出せないというもので……」と熱弁して後輩にウザがられてマジ凹む、という話が出てた。そういえば、げんしけん本編あたりにも似たようなエピソードがあったような気がする。斑目のセリフだったか、笹原が妹に言ったセリフだったか忘れたけど、「オタクは気付いたらなっているもの。望んでそうなったわけではない」みたいな。
怪談書きもそうかもしれない。
望んで書く人もいるだろうけど、たぶんきっかけのどこかに「望んでいたはずじゃなかった」というのがあって、そのうちに自分でもなぜこんなことを一生懸命やってるのかわからなくなる。気付いたらエキスパートになっていたりw、それなしではいられなくなっていたりしているかもしれない。でも、「よし、今から怪談を極めよう!」と、一大決心して始めるものじゃないよな、という気はする。
気付いたら怪談を書いてた。
違うな。怪談は書かされてた、というべき? 誘ってくださった大先輩によって、ではもちろんない。
書いて消費して昇華させて脳みそから追い出さないとならない怪異を、誰かが持ち込んできたから。聞いた以上は書かないとフキツ〜、というのが始まりだったかもしれない。
怪談を書くというのは忌み仕事だと思う。
望んで忌み仕事をする人が多数派ではないように、なぜこうなったのかもうよくわからない。

「実話は一生モノだから、やめようとしたってやめられないよ」と、最近大先輩に言われた。
まさしくその通りなんだろうな、とも思う。
いつか用無しになる日まで、怪談を残すことをやらされるんだろう。きっと。


そういうわけで、本日も仕事です。