民主党の今

●横峯良朗議員(民主党2007年参院選選出)
http://news.google.com/news?q=%E6%A8%AA%E5%B3%AF+%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%85%9A&num=50&hl=ja&lr=lang_ja&um=1&sa=X&oi=news_result&resnum=1&ct=title

  • 不倫問題(当人が事実と認めているので「不倫疑惑=疑い」ではなくて、不倫の事実)
  • 賭けゴルフ(これも当人が事実と認めているので疑惑ではなくて事実。

賭けゴルフは金額の多寡に関わらず違法行為。釈明会見では「10年も前のこと」「今はやっていない」を繰り返しているけど、前にもあったなあと思ったら岡田元民主代表の「現役国家公務員時代(岡田元代表通産省官僚出身)時代の服務規程違反(兼業禁止)」について、「昔のこと」「今はやっていない」と弁明してたなあ、と。それを突っ込んだ小泉総理(当時)の発言が「人生いろいろ会社もいろいろ。岡田さんの会社もそうでしょ?」というもので、当時の岡田民主党代表の過去の兼業禁止違反を指摘したものだったのだが、「人生いろいろ」の部分だけが「小泉の言い逃れフレーズ」として一人歩きさせられてしまったのだった。


横峯議員は事実関係を認めた上で、「記事は事実と異なる」「名誉毀損」で発行元を提訴。

姫井由美子議員(民主党2007年参院選選出)
http://news.google.com/news?q=%E5%A7%AB%E4%BA%95%E7%94%B1%E7%BE%8E%E5%AD%90&num=50&hl=ja&lr=lang_ja&um=1&sa=X&oi=news_result&resnum=1&ct=title

  • 自民党片山虎之助参院幹事長を落選に追い込んだ、「姫の虎退治」で脚光を浴びたが、不倫相手から不倫の事実を暴露された。

これ、下半身スキャンダルのみのように見えて、実は「共同経営の喫茶店の運営に関する給与未払い問題」で提訴されたことのほうがダメージが大きい。姫井議員は所謂左派護憲市民運動である「9条ネット」のメンバーで、言うなれば筋金入りの「プロ市民」。不倫相手とされている人物は岡山の剣道界では有名な人のようで、やはりそちらの方面の活動を共にしていたようだ。
週刊誌的には、というかイエロージャーナリズム的には「姫はM女」「下半身スキャンダル」のほうがおもしろおかしいのだろうが、「市民運動の同志からカネ絡みで訴えられていた」ということのほうがイデオロギー上のダメージは大きい。
さらに言うと、この給与問題に関する提訴は7月の段階、つまり投票日前には行われていたのだが、選挙期間中は記事にならなかった


姫井議員は事実関係についてノーコメントとしながらも、否定せず。

青木愛議員(民主党2007年参院選選出)
http://news.google.com/news?num=50&hl=ja&lr=lang_ja&um=1&resnum=1&ct=title&ie=UTF-8&q=%E9%9D%92%E6%9C%A8%E6%84%9B&btnG=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%A4%9C%E7%B4%A2

通常、国会議員は政策秘書1名+私設秘書を置くが、政策秘書は歳費から給与が出されている公設秘書。今後、民主党が政権を取り、小沢代表が首班指名されて総理大臣になった場合、首席秘書官*2になる重要人物。


青木愛議員の選挙時のポスターは、路肩などに集中配置されたもので、選挙終了後も撤去されておらず、「景観を損ねる」とされながらも、事務所自身が撤去しない限り違法にはならないため、放置されたままとなっている。


小沢一郎事務所では、この件について「違法ではない」と主張。

ここまでの三者について言えば、「選挙が終わってから露呈した」というよりも、選挙期間中からすでに尻尾を掴まれていたけれど、いずれも「ただの民間人に起きた話」ならニュースにはならない。議員バッヂを付けさせてしまってから明るみに出れば、より大きなニュースになる。
それもあって、選挙が終わるまで伏せられていたスクープなのではないか、とも言える。
民主党の比例トップ当選議員が、年金問題を引き起こした自治労の幹部であることは、開票当夜に露呈した。選挙運動中に収録された自治労幹部議員の「自治労は悪くない」発言は、開票後まで放送しないという協定が結ばれていた。投票前に放送されていたら、結果は違っていただろう。
横峯、姫井、青木議員についても同様のことが言えるのではないか。


今になって「軽いお灸のつもりだったのに、なんでこんな奴らに入れちゃったんだろう」と青くなっている人もいるかもしれないが。

小沢一郎民主党代表
テロ特措法:反対の民主党に対案なし 原則押し通す構え−国会:MSN毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20070830k0000m010133000c.html


テロ特措法の延長(2007/11/1が期限)については誤解と混乱と混同があって、「イラク特措法」と「テロ特措法(対タリバン)」を意図的にか知らずにか混同している向きが多い。小沢代表の解釈である「テロ戦争はアメリカが勝手に始めた戦争」「国際社会の同意がない」というのは、イラク戦争に対する国際社会の批判であり、911同時テロ事件に端を発した対テロ戦争タリバン及びアルカイダの壊滅を目指すものについては、当時ブッシュ、プーチンシラクを始めとする各国首脳が対テロ殱滅について一致団結した結果継続されているもの。後のイラク戦争ではアメリカと袂を分かったドイツ、フランスなども、対タリバンアルカイダの対テロ作戦には同意、参加している。
テロ特措法はこの対アルカイダタリバンに対応するもので、ニュースなどでは「アメリカ追従に対する反対」が叫ばれるが、アメリカだけでなく、パキスタンムシャラフ大統領、ドイツのメルケル首相、フランスのクシュネル外相、インドのムカジー外相、オーストラリアのダウナー外相なども、相次いで日本に対して(正確には小沢民主に対して)、「海上給油の継続」を訴えている。アメリカの顔色を窺って、という印象の報道が多いが、実際には洋上警備を展開している11カ国を始め、国際社会からの要請がある問題で、これを断ることで日本が孤立する恐れがある。


小沢代表は、「民主党の党としての総意」をタテに、テロ特措法延長阻止、テロ特措法廃止に動き始めた。
「平和国家日本が海外に兵を送るのは良くない」というのは、先の選挙で大量当選した
市民団体系民主党議員の基本的主張であり、労組や市民団体などを支持母体に持つ民主党の基本主張となっている。
これらの団体は、「日本だけの平和」を主張している。


海上給油というのは洋上で停船せずに、受給艦と給油艦がともに航行速度を保ったまま給油を行うというもの。洋上給油は高い操艦技術を必要とし、この給油技術を持った国は世界的にもごく少ない。*3機雷水雷駆除の掃海技術*4と並んで、後方支援しかできない日本のその後方支援技術=海上給油技術は、非常に高く評価されている。


ちなみに、テロ特措法の延長が可決されない場合(衆院可決、或いは参院発議で店ざらしされた場合)、衆院で再可決したとしても11/1に間に合わない。テロ特措法延長が実現しない場合、民主党政府を困らせることができる
この政権交替のための国内政局が優先された場合、対テロ作戦に展開中の各国のうち、パキスタンなど海上給油を受けられなくなる国は、対テロ作戦への参加が物理的に不可能になる。その場合、参加不能になる国はパキスタン一国に留まらず、今押さえ込まれつつあるアルカイダタリバンが息を吹き返すことにもなりかねない。
このため、テロ特措法延長阻止は、実質的には「民主党によるテロリストへの支援」という国際的メッセージを送ることに他ならない。


先のアフガンにおけるタリバンによる韓国人拉致事件は、駐留韓国軍の年内撤退+23億円の身代金支払いによって解決した。タリバン側は「活動資金に当て、武器購入資金として活用する」と宣言しており、韓国政府側は身代金支払いの事実を否定しているが、いずれにせよ拉致は安価で低リスク高リターンで効果的な戦術だということを示してしまった罪は大きい。
かつてのよど号ハイジャック事件の折、「人命は地球より重い」としてハイジャック犯人の要望に屈してしまったのは福田赳夫元総理(福田康夫官房長官の父)。この言葉は国内では人命尊重のシンボルのように言われているが、ハイジャックという手法が効果的であることをテロリストに示してしまったため、後の「航空機乗っ取り」の激化を招いたため、国際的にはその対応が長く批判されてきた。911同時テロも長い目で見れば、よど事件が起源と言える。
韓国がタリバンに屈したことは、タリバンに誤ったメッセージを与えたことになり、民主党によるテロ特措法阻止はこれに続く悪判断になる恐れが強い。


民主党は現在、政権にリーチを賭けた。
その一方、現実にはまだ衆院与党は自民党であり、民主党には政治的責任がない(小沢氏)。このため、政府を揺さぶるためにはなりふり構わず、無責任な行動を取ると宣告している。
衆参第一党の捻れは、このように一方(この場合政権にない民主党側)があらゆる法案に対して対決姿勢を取れば、その一切が停滞或いは完全静止してしまう。
この数年叫ばれてきた「二大政党制」の最悪のデメリットがここで、3年ごとの改選が行われるまで勢力比が固定されたままの参院の存在は、二大政党が伯仲すればするほど「何もかも決まらない政治」を浮き彫りにしてしまう。


民主党が、政権担当可能な正気や常識を保った政党である場合、実際に政権についてしまうと現状の自民党がやっていることと余り大きな隔たりのある為政は難しい。例えば年金問題は誰が担当しようと名寄せをせねばならず、誰が担当しようと増税(減税廃止)するか、消費税を上げない限り「支払いの多すぎる福祉」は支えきれない。
自民/民主が違いを主張できるのは安全保障政策*5ということになるのだが、民主党はその安全保障政策において日本を人質にして政敵を揺さぶるという作戦に出た。


手続きを経ずに既存の社会制度を暴力によって破壊するのがテロルという行為だ。
911で被害を被ったアメリカが先頭に立っているものの、その手続きが民主的方法であれ共産主義的、王制などどんなものであれ、既存の社会制度・秩序を恐怖で破壊する行為だからこそ、国家制度の異なる国々がテロ根絶のために動いている。
国内政局のためにそれらの国際的合意の場から手を引くということになれば、国連常任理事国への道はさらに遠のく。


小沢代表は「アメリカ同調よりも、国連同調を」という国連中心主義を唱えている。
1991年の湾岸戦争で、カネだけ出して汗を掻かなかった結果、日本は91億ドル出資したのに感謝もされなかった。このとき金を出す決断をしたのは当時の小沢一郎自民党幹事長だったが、人を出さなかった結果それは評価されなかった。
人を出さなければ国際的な信用は得られない。金だけ出して人を出さない国は国際社会での発言力を失う。それを誰よりもわかっているはずの小沢一郎という人が、なぜ今、国際社会の信用を失う判断を仄めかしつつ、16年前の失敗を繰り返そうとしているのか。また、自身の「国連中心主義」とも噛み合わない。


これは想像だけど、小沢一郎という人は、湾岸戦争のときに潰されたメンツにこだわってアメリカに意趣返しをするために、アメリカと共同歩調を取っている与党安倍政権に嫌がらせをしているのではないか。
まさかそんな幼稚なことはないとは思うんだけど、そう考えると全ての謎が浮き上がってくるようにも思える。
そうやってレートを釣り上げ、また安倍総理の頭越しに各国首脳からの小沢代表詣でが続けば、国際的にも注目を集め、党内に対する自分自身の価値を高めることができ、「国際的にも知られていて政権担当能力がある」ことをアピールすることができる。



改造を終えた安倍内閣について、「もう先がない崖っぷち内閣」と呼ぶ向きもあるようなのだが、日本を危機や苦境に追いやっておいて、相手に甘えて妥協を引き出すという崖っぷち交渉術を行っているのは、むしろ小沢民主であるように見える。


そして、この交渉術のアジアでの第一人者は、北朝鮮を率いる金正日であるわけなのだった。



民主主義というのは、共同責任システムでもある。
多数派が間違った判断を行った場合、それによって起こる不利益は、多数派だけではなくそれに賛成しなかった少数派も共有しなければならない。
それが決まりだ。
民主党が今後何をやらかそうと、それの報いは有権者自身が受けなければならないということだ、と思っている。

*1:当時は候補

*2:安倍政権にとっての井上秘書官、小泉政権にとっての飯嶋秘書官の位置づけ

*3:日本は戦前は世界第1位の、戦後もアメリカに次いで世界第二位の海軍力/海上防衛力を保持している。

*4:二次大戦終戦後、アメリカが日本の主要港湾を封鎖するために敷設した機雷を取り除く過程で、日本(後の海自)は高い掃海技術を得た。

*5:敵あるいは防衛対象となる仮想敵国が存在し、備えだけではどうにもならない問題、かつ、地方自治体では対処できないハイレベルの問題