ダンディズムの延命と喫煙と嫌煙
ぶっちゃけ、僕は煙草吸うし酒も飲む。バイクも乗る。
最近は吸わない飲まない乗らない人が増えていて、いろいろ肩身が狭い。トスポ……じゃなかった、タスポの申請もしないとなあ、てな具合。
その中でも何かと話題になり、宗教戦争の様相を見せるのが喫煙。
僕は仕事中は吸わない*1ので、ひと箱買ったら一週間保つ。吸わなくても居られるんだけど、ライブハウスにいると、どうしても欲しくなる。あとカウンターバーとか。
同席者が吸わない人なら吸わなくても別に我慢できる。ライブハウスは最近禁煙/分煙のところが増えてきたんで、基本的にはそれに従うけど、やっぱ「紫煙をくゆらしながら音楽を聴く」というスタイルに慣れていたので、なかなかしんどいね、と思わなくもない。
で、ちょっと前から出ている「煙草ひと箱1000円」の噂など。
たばこ税と酒税というのは反対したって上がるときは上がる。嗜好品に掛けられる税に吊られて値段が上がるっていうのは何十年も前から続いてることだし、まあいずれ上がるんだろうな、っていうことで諦観的に諦めている。
煙草だって、昔は180円とかだったのがじわじわ上がって320円とかになって、それでも吸う人は納得して買ってるわけで、1000円になっても吸う人は買うんだろなと思う。
ビールの酒税が上がったとき発泡酒が出てきて、発泡酒の酒税が上がったらその他の雑酒が出てきた。たぶんいずれその他の雑酒の酒税もあがるんじゃないかと思うんだが(その分、日本酒の酒税は下がってるらしい)、こういった嗜好品への課税&値上げというのは、だいたい何かしら頭のいい人wが知恵を回して抜け道や回避策を考え、そこに皆が雪崩を打っていくものなんで、タバコが1000円になった場合も同様のことが起こるんじゃないかなあ、とか思った。
そこで思考実験。
【命題:タバコがひと箱1000円になったらどうする?】
(1)それでも変わらず吸う
(2)吸うの辞める
(3)吸う量を減らす
(4)安いタバコに銘柄を変える
(5)一本を根元まで吸うようにする
(6)紙巻きタバコを辞めて、自分で巻く
(7)紙巻きタバコを辞めて、パイプにする
(8)紙巻きタバコを辞めて、煙管にする
(1)それでも変わらず吸う
辞められない人は辞められないだろう。今、普通に吸う人が一日に1〜2箱だとして、320円×30で9000円。二箱吸う人なら18000円は掛けている。これが、1000円×30で30000円になる。何か別のことを我慢して、それでも吸うっていう人は、やっぱ出てくるだろう。
(2)吸うの辞める
やめられるくらいにしか吸ってない人は、これを機にすっぱりやめるだろう。習慣性はなかなか抜けない云々以前に、「金ないから無理」という説得力に勝てる人は少ない。
(3)吸う量を減らす
一日ひと箱を三日でひと箱にすれば帳尻は合う。
気軽に吸ってたのを、戦時配給品のようにちょっとずつ吸えば、なんとか今までと同じくらいの予算でやりくりしていける、だろう。
(4)安いタバコに銘柄を変える
全部のタバコが一律1000円になるわけではないだろうから、少しでも安い銘柄に乗り換える、とか。タバコって、税率が上がって値上げされるたびに、別の安い銘柄が出たりとか乗り換える人が出るんで、同じ事はある程度起きるんじゃないかなあ。
(5)一本を根元まで吸うようにする
ヘビースモーカー、チェーンスモーカーな人ほど、実はタバコを最後まで吸ってない。普通に吸う人なんかでも、火を点けて3cmくらい吸って、3〜4cm残してすぐに火を消してしまい、またすぐに新しいのに火を点ける、という行動を繰り返す人って多い。以前いた編集部に、一日に4箱くらい吸うチェーンスモーカーの人がいたんだけど、見てると先っちょ1cmくらいしか吸ってなくて、消してすぐに次に火を点けるっていう、典型的な「ちょっとだけ吸う」っていうタイプだった。
つまり、タバコをたくさん買っている人、チェーンスモーカーは、実はそれほどタバコをきっちり吸ってないのではないか。タバコを燃やすということよりも、単に火を点けるっていう行為が好きなのかもしれん。
2〜3cm吸って消して捨ててた人は、根元まで吸うようにすると1000円に上がってもダメージは少ないかもしれない。
先のほうと根元のほうは味が違うっていう人もいたけど、そのこだわりが1000円になったときに貫けるかどうかw
また、スリムタイプのタバコ(ヴァージニア・スリムとか)は、レギュラーの紙巻きタバコよりも引火速度が遅いというか、燃え尽きにくいらしく長持ちする。
そうなると、「細くて長くて本数が多い」という、長持ちさせるためのスリムタイプタバコが増えるのかもしれない。
(6)紙巻きタバコを辞めて、自分で巻く
以前、うちの事務所の二階に住んでいたイスラエル人のコックさんが、自分で巻くタイプの紙巻きタバコを吸う人だった。
巻くという行為そのものがリフレッシュになるし、吸いきれなかった葉っぱはまたほぐして再利用するので無駄が出にくい、とかいう話。
一時期、キムタクが吸ってるからという理由wで、端をカットして吸う本格的な葉巻が流行ったことがあったけど、タバコをファッションとして吸ってるような人には、こういう「一手間掛けてカッコイイ」みたいなスタイルが流行るかもしれない。おしゃれな芸能人wが「最近はこうしてます」みたいなことを言って、それにみんなが便乗したりすると、そういうことも起きるのかも。
手巻きの紙巻きタバコっていうのは、専用の巻き機みたいなものがあったりフィルターがあったり巻き方にコツがあったりで、いろいろ奥深い世界らしい。
(7)紙巻きタバコを辞めて、パイプにする
僕の中ではパイプと言えば、マッカーサーよりも樋口明雄氏*2とムーミンのパパなのだが、それはさておき。
手巻きタバコと同じくらいの理由で、パイプが流行るかもしれない。あれもまたダンディズムの骨頂だし。
ただし、吸うのに手間が掛かる(そして用具の手入れが結構大変)という煙草というのは、「ちょっと吸う」というのが面倒なんで、日常的に「ちょっと一服」という吸い方をしている人には受け入れられにくいかもしれない。
しかも、パイプって紙巻き煙草とは吸い方が根本的に違うもんなあ。
(8)紙巻きタバコを辞めて、煙管にする
前に煙管を吸ってみたことがあったんだけど、煙管ってすぐに燃え尽きちゃう。(火種はちょっとしか入らない)ので、火を点けて消してまた点けてっていうのが結構忙しないんだけど(^^;)、これは紙巻き煙草を大量に消費しているであろう、「火を点けて直ぐに消す」というチェーンスモーカーな人にはむしろ向いているんじゃないかと思う。
如何せん、パイプ同様にちょっと扱いが面倒だったり、人前で使うのがちょっと恥ずかしかったりしないこともないけど、それこそこれだって「芸能人がかっこよく使いこなしている」というのが肯定的に報じられたら真似する人は出るかもしれない。
ちょっと脱線するけど、本枯れ節を削る鰹節削り器というのは今も開発改良が続けられていて、ステンレス+プラスティック製で持ち運びにも便利な携帯型の鰹節削り器とか、刃が二重・三重になっていて、いっぺんにたくさんかける鰹節削り器というのもあったりする。古い道具も新たな挑戦がされている、という話。
なので、煙管も現代風なデザイン&持ち運びに便利な形態なんかになったら、再評価されるかもしれない。
とまあ、いろいろ想像。
その他に、禁煙パイプみたいなものとか、嗅ぎタバコとかも出てくるかもしれない。そういえば、一時期嗅ぎタバコを使っていた時期があったんだけど、アレは鼻の粘膜が荒れるwのと、食い物の味が変わるのであんまりよろしくない。見栄えも、なんかヤバイクスリをやってるみたいに見えたしw
でも、頭がスッと冴えて酒が美味しくなるという効能はあった。
煙草というのは酒と相性がいい。
どちらも嗜好品であり、またどちらも「軽くトリップする」ために使う。
酒はテンションを上げ(血管を拡張する)、煙草は興奮を抑える(血管を収縮させる)。
どちらもほどほどな範囲で、しかし末永く場末のバーとかライブハウスとかで、ぷかぷかやる大人でありたいものだなあ、とか思う。