切ないお話

いつもレビューなど下さる読者の皆様と、全力スレでお話させていただいている。
もっとも、僕のほうが圧倒的に人生経験も足りてなくて、学ぶべきことが多い身の上なので、(これは誰と接するときでもそうだけど)いろいろなことを教わっている。
「超」怖い話のレビューを書いてくださる方のサイトは、新刊が出ると血眼で(笑)、そうでない時期もぽつぽつと拝見している。自分の関係した本への評価がどう下されているかというのは何より気になるところではあるが、同時に、拙作にそういう評価を下された方が他の方の著書をどう見ているのか、また、その方がご自身をどう語るかについても興味がある。直接お会いする機会はほとんどなさそうな、そういう多くの方々の胸の内の断片を、覗き見ることができるという意味で、ネット、blogというのは興味深いものだ、と思う。
今日、そのようにしてしばしば様子を拝見している方のblogに、とても切ないことが書かれていた。内容は、ごくプライベートなことであったので、ここで詳細に説明することは避けたいが、とてもとても切ない話だった。もしかしたら、その方はしばらくの間、泣き濡れて過ごされるのかもしれないし、もしかしたら――狂ってしまうかもしれない。正気を保てなくなるほどのショックを抱えておられるのかもしれない。
世の中にありふれている出来事の一つに過ぎないかもしれない。でも、その人にとっては、特別で大変で世界がひっくり返ってしまうほどの出来事なんじゃないかとも思う。その件について部外者どころか傍観者ですらない僕にはなんとも声を掛けることができないし、それも望まれていないと思うし、そもそも――まあ、いい。
いつか元気になって、また怪談本のひとつも読んで「きゃーっ」と驚いたり怖がったりすることで発散していただければ、怪談屋としてこれ以上の僥倖はない。
怪談は人を幸せにするものではないのだろうと思う。その意味で、怪談屋である限り人を幸せにする仕事からは遠いところにいるような気がする。が、それを「楽しみ」「喜び」として下さる方々の気持ちを和らげることに、拙作が役立てるのであれば、それはそれで喜びであると考えるようにしている。
この話は、僕とその方にだけ通じればいいか、ってことで、ちょっとしたチラシの裏のメモと思って読み流して頂ければ幸いである。