初質問

3/1の予算委員会で、あの杉村太蔵議員が初質問するらしい。
議員になってからの彼の専門分野は自らがそうであった経験も鑑みて、ニート・フリーター対策に絞っているタイゾー議員の一番の強みは、外資系証券会社に入る前(大学中退後)は自身がフリーターだった、ということ。山ほどアルバイトも経験しているらしいこと。


考えてみたら、国会議員という職業は、

  • 「大学で政治系サークル(弁論部とか)に入る、政治家の選挙の手伝いなどする(ボランティア)、のめり込んだり見出されたりして私設秘書になったりする、市議・県議になったりする、その後、国会議員にランクアップ」

という下積みステップを踏んでからなるか、どうやら辞めないらしい民主党永田折り紙議員のような、

  • 「大学卒業後、官僚になる、官僚としての実績を積んだ後に(または永田議員のように留学経験を積んで帰国後にさっさと官僚を辞めて)、実務(元官僚だから)に強い、というのを売りに、政策政治家になる」

というエリートコースを渡り歩いてなるか、

か、

  • 「会社員など民間の仕事で実務を経験した後、親/親族の地盤を引き継ぐ」

か……まあ、だいたいこのうちのどれか。もちろん、例外もいるけど、政治家になることを志した後、「大学を出てからのコース」は概ねこれにあてはまるだろう。

どっちにしても、基本的には「優秀な人」もしくは「挫折を経験したことがない人」が政治家になる、と考えてもいいと思う。


ところが、その挫折を経験したことがない人たちにとってみれば、フリーター、派遣、さらにはニートというのが、どういったものなのかがわからない。
当たり前かもしれない。
下手したら、アルバイトの経験すらほとんどなさそうな人が政治家に就職しているわけだし。

先の911選挙では、フリーター→派遣から議員になったタイゾー議員、商店街の親父から議員になった安井議員などなど、多くの「本当の意味での市井の人々」が大挙して議員になった。これは、実は日本の憲政史上も実に珍しい、むしろ快挙と言っていいことなんじゃないかとも思う。
もちろん、彼らの多くは「政治が専門じゃない人」たちだし、議員になってから勉強をしなおしてる人も結構いるだろう。でも、彼らは政治家としての経験は少なくても、「社会でめちゃくちゃ苦労した」という、エリートの政治家は絶対に経験していない、大きな財産を持っている。


現在、ニート・フリーターの就業についてが、大きな社会問題になっている。
一方で、政治家の多くはニートとフリーターの区別が付いていない者もかなりいる。いくつかの政治家のblogを回ってみて、ニートを「親のすねかじり」フリーターを「職能・就職意欲がない」という理解で、「本人のやる気」に結びつけた理解というのが、今のエリートの経験しかない多くの政治家の認識であるようだ。
もちろんそういう人々もいるだろうけど、例えばフリーターの場合、それ以上に、

  • 「正社員の募集がない(長い不景気のためリストラで削ってるくらいで、当然求人だって少なかった)」
  • 「長期継続のアルバイトは社員待遇での保証をしなければならないため、1年単位くらいでアルバイトを切っている会社も少なくなかった」
  • 「そうこうしているうちに、企業が正社員として取ってくれる年齢を大幅にオーバーしてしまう」

といった、本人以外の問題の存在も大きいのだが、そこんところを考えずに「職業訓練」とか「職安に来たら手当を」とか言ってるのは、トンチンカンも甚だしく(ry

が、これは、議員の不勉強というよりも、「体験していないことは、理解できない」ということなわけであって、やはり実際に体験している人間でなければ、問題の根底を理解するのは難しく、また、根底が理解できなければ対策の立案も難しいんだろうなあ、と思う。


繰り返しになるが、タイゾー議員の武器はそうした経験を自身もしている、という点にあると思う。本人だけではなく、その交友関係(笑)というか、議員になる前の遊び仲間(今でも仲間だろうと思うけど)も、そんなに違わない環境かもしれない。半年前と今とではライフスタイルは変わっただろうけど、そういう人々から期待されているだろう。
彼のblogなどを見ると特に、「これから選挙権を持つことになる人々」に彼は優しい。
戦争の後に生まれ、高度成長期に青春を過ごし、政治不信、政治離れ、斜に構えて反骨を気取ることがかっこいいという時代を生き、バブルでいい思いをした人々は、今年あたりからそろそろ引退していく。
これから選挙権を持つことになる人々が、その引退する世代のように「政治に対して遮二無二反対を唱えるのがかっこいい」というような誤解をしないよう、また、大部分のエリートじゃない人間に「君はそこにいてもいいんだよ」と言ってくれる政治家というのが、一人くらいいてもいい。というか、もっと増えて欲しいw


そんなわけで、タイゾー議員の初質問を大変楽しみに僕も仕事に励みたい。