方言

原稿チェックをしていて、不明語が出てきた。
思い当たる意味がない言葉だったので、慌てて調べると方言であった。
方言は、時折標準語の中に普通に混じって使われていたりする。
原稿を書いている側は案外気付かなかったりする。
人生の半分以上東京で暮らした最近ではそうでもなくなってきている(と、多分思う)が、最初の頃は僕も似たような経験をしているので、気持ちはちょっとわかる。


以前も書いたが、静岡の言葉で「とぶ」と言ったら、「走る(run)」の意味。
田舎では、「100m走をとぶ」「マラソン大会で10kmとぶ」「運動会でとぶ」「とびっこ(かけっこ)」のように、標準語の文法に普通に織り交ぜて使っていた。
当時の静岡県人は、東よりの東海地方ということもあって「自分たちは共通語を喋っており、訛りは全然無い」という、恐ろしい思い込みを持っていた(笑)
なので、「とぶ」というのが標準語じゃないということに、他県出身者が多く集まる東京に来るまで気付かなかった。*1


近年、全国ネットのテレビや映画は標準語なので、日本のどこに行っても標準語が通じないということは、まずない。
が、元々の地言葉、動詞、名詞に限らずそういうものが標準語にさりげなく混じっていたりすることは、ままある。
当人は方言ということに気付かずに使っていることも多い。
別にいけなかないけど、前振りなくさりげなく自然体で使われていたりすると、やっぱりちょっと面食らう。



ところで、静岡の東部では不可疑問形の語尾*2に「〜だら?」と付くのだが、島根県では「だら(ず)」というと「こン、バカたれが」という意味になるらしい。20年前の上司がそっち出身で、「だらだら言うな!」と、よく叱られたことを覚えている。というか、指摘されないと気付かないほど「だらだら」言ってた(笑)

*1:山梨、長野の一部、新潟南部の一部などでも「とぶ」と言うらしい。多分、川沿いの方言。

*2:断定でも使うけど