日本に移民1000万人

民主党の公式な提案らしい。


1000万人移民受け入れ構想


この移民受け入れの目的は多分、

  • 少子化により減少する人口を移民で補う

これが最大の名目であろうと思われる。
少子化の流れが止められないのであれば、足りない分をよそから持ってこようという考え方だ。

これによるメリットは以下の通り。

  • 人口増(維持)により、国内消費(購買力)が維持され、国内市場が活性化できる。
  • 安価な労働力の確保。(つまり、移民なら日本人より低コストで使えるだろうという意図がある)
  • 税収の増額(住民税は国籍に無関係)
  • 移民に日本国籍を与えることで、移民が選挙権を持つとき、移民に積極的な民主党が一大票田を確保できる
  • 移民に日本国籍を与えやすくする土壌を整備する。

もちろんデメリットもある。

  • 日本国内に、日本語が母語ではない集団が生まれ、既存の地域コミュニティとの摩擦衝突対立暴動を起こす可能性がある。(近年ではフランス(パリ暴動)、ナチスドイツ(ユダヤ人弾圧)、ドイツ(東ドイツ併合)、オランダ(トルコ人移民流入)、イギリス(イスラム系移民流入)、アメリカ(ロス暴動、中韓系移民ロビー)
  • 移民資格の認定基準を厳格化しなければ、首都圏などにテロリストの潜入を許す恐れがある。
  • 安価な労働力として重宝される場合、日本人の就職が圧迫される恐れがある。

(日本人と移民の就職機会の均等はいずれ叫ばれるようになるし、そうなれば日本人が排除されていく流れも十分に考えられる。そのことが、失業者失職者による移民への嫌悪感情を育てる。欧州各国の移民問題/国内暴動、右傾化は、こうした労働力として受け入れた移民と失職失業した自国民との対立を招く。ヒトラーユダヤ人を排斥した理由は「ドイツの富を奪い、労働の機会を奪い、ドイツ人の職を圧迫した」で、実際その主張は時のドイツ人の支持を集めてナチスドイツを強大化せしめた。戦後の欧州各国の移民問題も基本はヒトラーが抱えていたものと同じ。)

  • 移民の受け入れに労働力確保が挙げられる場合、それは「成人の受け入れ」を意味する。言語・文化的土壌の異なる「成人の移民」が地域に参加するのは難しく、日本の法制から独立した「移民だけの社会」が日本国内に生まれる可能性がある。

(移民によって形成されたゲットーは治外法権化しやすく、オランダなどでもこれが問題になっている。日本のように「地域の相互監視」「善隣思想」で和が保たれるという思想の統治制度*1と、そういった経験・伝統がない国からきた移民の間で対立が発生したとき、地域によっては拡大していく移民社会に乗っ取られてしまう可能性も出てくる。例えば、今の都内で言えば、大久保、歌舞伎町、北池袋・池袋西口は、もはやほとんど日本ではない)
例えば行政代執行のような事柄を行った場合、ヤクザの抗争なみの「内戦に近い騒乱」に発展する可能性を持つ。二次大戦終戦直後、日本国内には多くの朝鮮人*2がいた。これは労働力としての徴募に自主的に応えた経済移民*3で、現在の特別永住資格を持つ在日韓国朝鮮人の先祖は、この「戦後の移民」である。

  • 経済移民が人数を増やして勢力を持ち、さらに日本国内での「外国人参政権」を元に国政に参加するようになると、日本人と移民の賃金格差問題がクローズアップされるようになる。こうなると、「安い労働力を得るために移民を受け入れる」という当初目的は消失し、日本人と移民の間で職の奪い合いが激化する。


移民による日本国政への参加については、民主党白真勲議員、蓮舫議員、今夏の選挙では同じく民主党からの立候補となる金政玉候補の行動がその典型例で、移民である在日同胞の権利を拡大するため、あえて日本国籍を取得し日本人の資格を手に入れ、しかし移民の利益のために働くというもの。現状での移民には投票権も政治献金もできないが、彼らの行動によって移民の権利が日本人と同等なみになり、投票権を得たり政治献金が可能になると、それを新たな票田としてキープしようとする勢力が現れる(今で言えば民主党の行動がそれで、民主党は党員に相当する「サポーター」に、国籍制限を作っていない)。ヒトラーが台頭する前のドイツは、金融業で力を持っていたユダヤ人がそうした勢力を付け始め、ドイツ人の不満に火を点けたヒトラーが、不満の元を一掃するという名目で力を得ている。
移民によって起こりうるデメリットの可能性を論じないまま移民受け入れを促進することは、日本人の不満を募らせ、それを爆発させるヒトラーやロワイヤルのような存在を産む可能性が高く、危険である。


欧州の場合、トルコ、エジプト、アフリカ他、中東〜アフリカからの移民を受け入れたが、これは歴史的な繋がりと、やはり「近いから」というのが大きい。特にトルコはEU加盟も俎上に上るほどに近く陸続きだ。しかし、いくら近くても、否――近いからこそ文化風習の壁は大きく、また歴史的な軋轢感情は近いほど強い。
日本が移民を受け入れるとしたら、やはりもちろん「近いところ」から来ることになる。
韓国、北朝鮮、中国である。

  • 韓国からの移民はすでに在日韓国人という形での実績がある。民団、総連のように独自の結社を持ち、日本国内に欧州における戦前のユダヤ人のような確固たる地位を築き、さらに年々人口を増やしている。*4
  • 北朝鮮からの移民は、在日朝鮮人とは別に今後北朝鮮が崩壊したときに大量に発生する可能性がある。もちろん、地続きの韓国・中国への流入が圧倒的に多いだろうけれども、日本の親類縁者を頼って日本に流れてくる北朝鮮系移民、または「経済難民」が九州北部、日本海側各地に大量流入してくることは想像に難くない。
  • 富める中国からは経済難民はない、と考えられがちだが、中国で増大している中流とは沿岸部の住民のみで、それは中国全体の1割にも満たない。内陸部の中国人は維新前の日本人と変わらないほどに貧に窮しているのが現状だ。全世界に散らばり、世界各国に「チャイナタウン(中国人社会)」を作る精力のある中国人は、もちろん日本国内各地(横浜、神戸、長崎他)に中国人社会を築いている。
  • 先頃、民主党は「一国二制度の元、沖縄を日本から独立させる」「沖縄に、中国人観光客の長期滞在を招聘する」「招聘する規模は年間のべ3000万人程度」という提案を、党の提案として行っている。ちなみに、沖縄の県民人口はおよそ50万人。*5


このように、日本が1000万人の移民受け入れを表明したら、所謂、特ア三国*6から、日本社会に対して友好的ではない意識を持った移民を自ら招き寄せることにもなりかねない。
特ア三国の意識が日本に対して友好的に変わるならともかく、それについての対処がなされないままに頭数と将来の有権者だけをアテに、拙速な移民を受け入れるのは危険。


オランダでは、画家フィンセント・ヴァン・ゴッホの弟テオドール・ヴァン・ゴッホの曾孫に当たる映画監督テオ・ヴァン・ゴッホは、移民のテロリストによって殺害された。
先に退陣したイギリス労働党のブレア首相が最後まで苦しんだのは、労働力確保のために受け入れてきた移民が、増大しすぎイギリス当局の統治の手が及びにくくなっていったこと。ゴッホの件とブレア首相の件は、いずれも「イスラム系移民」が関わるため、移民の問題ではなくイスラム(宗教的対立)の問題と受け取られがちだが、どちらも「移民に対して柔軟かつ鷹揚な受け入れ策を続けた結果起きたこと」と言える。
オランダやドイツではトルコ系移民の人口比が急増し、イスラム的伝統、習慣、正義と地域の元々の伝統が衝突するようになった。その結果元々のオランダ人やドイツ人は国を捨ててアメリカやその他の国に家族ごと流出を始めている。ドイツはヒトラーの経験を「苦い失敗」としているところから、右傾化して移民を排除する方向には走らず、自ら国を捨てる国民を産むに至っている。


移民を許容して成功している国と言えば、アメリカとオーストラリアが挙げられるが、この2国の特徴は(大部分が砂漠だとしても)広大な国土を持ち、流罪の民を受け入れ続け、かつ「自分の身は自分で守る」という社会保障の薄さに反比例した、個人の権利(と責任)の大きさが挙げられる。
国土が狭く、居住可能な地域のほとんどがすでに開発され尽くし、文化的一体性(共有意識)が高く、社会保障への依存が高く――何よりお人好しが多い。そういう相手の善意を期待することで成立している日本が、その善隣善意を完全に期待することができない移民1000万人を受け入れるのは、危険であり早すぎるのではないか。


というお話。


もっとも、このエントリは「移民」をキーワードにしていて、「外国人労働者(国籍取得を前提にしない在日外国人居留者)」とは本来分けて考えるべきものなのだけれど、「外国人労働者→結局定住→国籍を取らずに参政権よこせ」というのが現在の特別永住資格を持った在日韓国朝鮮人問題の原点でもあるので、和えてごちゃまぜに論じている。
短期外国人労働者の受け入れについては、北朝鮮は論外、韓国、中国は元より、タイ、フィリピンなどからの「看護師」の受け入れや、インドからの「技術者」受け入れなどが重要案件として議論されている。特に病院の看護師不足というのはかなり深刻なのだそうで、それを補うためにということらしい。


そういった、かなり幅広い案件と絡み合っているのが「移民」「外国人労働者」問題であるわけで、ここのエントリに述べた話はそうした案件の一側面でしかないので、そのまま鵜呑みにせずに自分で再度調べてみるなりなんなりすればよいかと思う。一側面を見ただけでも、いろいろ問題があることがわかるのだが(^^;)





ところで、民主党の提案者の一人に細野豪志議員がいるだけど、この人って山本モナと路上でチューの人でしたっけ。

*1:例えば、派出所に警官が一人、地域に1〜2人でやっていけるのは、地域の協力があるためだ。江戸時代の奉行所詰めの役人は、300人未満で100万人の江戸の民を統治していた。これは地域協力と相互監視の思想&システムが整備されていたから。

*2:当時はまだ大韓民国/北朝鮮が成立していなかったので、合わせて朝鮮人だった

*3:強制連行よりも、経済的植民者が多く、戦前に内地に渡ってきた人よりも戦後に密入国してきた人のほうが多い。

*4:本国から日本にニューカマーとしてやってくる韓国人も増えていて、在日移民がその受け皿になっている。報道ステーションチーフディレクターはニューカマーの韓国人である。

*5:中国は「まず漁船を送り、次に民間人観光客を送り、次に増大した民間人を庇護するために軍艦を送る」という手法でフィリピン北部の島嶼部を実効支配して、領土としてしまう戦略を持っていて、それは戦後数十年の間に実際に実行されている。また、日本と中国の間には尖閣諸島を巡る領土問題があるが、これだけではなく沖縄各島についても中国は「歴史的な繋がりを前提にした、中国への帰属の正当性」を訴えている。

*6:日本を除く中国・南北朝鮮などの北東アジア三国で、特に日本を警戒している国々。