その後のジャスコ(メルト)と、改変フリー曲の展望

閑話休題
今更ながらメルト。
そして、ここんところの騒動で後回しになってたネタ。


言うまでもなく、メルトは「恋に落ちる瞬間」の歌。
まずはおさらいの原曲。

メルト(本家)(12/7)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1715919

で。歌った人はたくさんいる。
ギターで弾いたりドラムで叩いてみたりしてる人もいる。
その中に、アルトサックスで吹いた人がいる。

アルトサックスで「メルト」を吹いてみた (12/17)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1799291

なんというか、非常にジャスコっぽいw
ジャスコに限らないけど、西友とか東急とか、大型スーパーの店内ってこういうスピードのあるムーディな曲ってよく掛かってるよね。曲名知らんけど、みたいな。

ジャスコ(メルト)(12/18)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1803146

で、それに「ジャスコでお買い物、お金足んなくて万引きして捕まる」という歌詞が付けられた。アホスwwww
そしたらまた、歌う人が出る出る。
http://www.nicovideo.jp/tag/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%82%B3%EF%BC%88%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%88%EF%BC%89

今更「ジャスコ(メルト)」歌ってみた (12/21)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1826316

さらにそれを底歌に、替え歌が作られた。
しかも店内アナウンス付き。
しかも買いすぎで金が足りず、レジで行列ができてしまう。
悔しくて万引き、んでやっぱりばれる、という内容。


は、腹捩れる……⊂⌒~⊃。Д。)⊃


しかも、75000近くも再生されてる。
メルトの再生数ランキングで言うと、

  1. メルト(本家)      65万再生 (12/7)
  2. メルト♀(ガゼルVer.)  33万再生 (12/13)
  3. メルト♂(halyosy Ver.) 32万再生 (12/12)
  4. メルト♂♀(ミク+halyosy)14万再生 (12/12)
  5. メルトで俺の現実を歌ってみた 12万再生 (12/19)
  6. メルト(4)のPV      10万再生 (12/15)
  7. メルト♀(歌和サクラVer.) 8万再生 (12/15)
  8. 今更ジャスコ(メルト)   7万再生 (12/21)
  9. メルト(ミク+ドナルド)  7万再生 (12/15)
  10. メルト♂♀(ガゼル+halyosy) 6万再生(12/13)


※2007/12/24 0:00頃調べ。4桁台端数切り捨て。
※※「メルト」タグ登録動画は延べ362。
http://www.nicovideo.jp/tag/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%88?sort=v

ぜ、全然負けてねぇ。



メルトは一時一悶着もあったようなのだが、今はもう「好きにして」状態にあるようで、こうした珠玉の「原曲レイプw」も横行している。
演奏、歌唱、改変(同一性保持の制限除外)、編集、そういったことに制限が掛けられていたら、できない。


しばしば引き合いに出た明冶の辻演歌は、節回しを残してのパクりパクられが当然のように横行していて、「節回しは覚えやすさ、歌詞が勝負所」という感覚だったらしい。だから、元歌より売れちゃった曲というのも珍しくなかった。(だからこそ、元歌の作者が自分の節回しをパクられるのを嫌って、音楽著作権の独占(というか、改変を認めない権利)を言い出したんだろうなあ、という気もする。
大正昭和以降の音楽史は詳しくないのでよくわからないんだけど、音楽利権に手を染めている会社を「音楽出版社」という言い方をするのは、やはり楽曲(の、特に歌詞の部分)の改変をさせないようにする歌詞権利者の防衛の知恵の結果なのかもしれない*1


改変フリー歌唱フリーの民謡・謡曲から、商業歌謡の過渡期にあったのが明治期の辻演歌+もう少し後に一般化するレコード吹き込みあたりなんだろうなと思う。レコード*2というパッケージへの格納、歌詞本の売買、そういうのを経て今の音楽産業の形ができたんだろうけど、明治以前(江戸期以前)から続く「替え歌」「歌詞追加」「原曲改変」という大衆娯楽を、権利保持の題目とともに封じてきたのが近代音楽産業事情。


2008年は「改変フリー曲」が復活するといいな、と思う。
メルトとか、celluloidとか、普通に人間のプロのシンガーが歌っても、なんの違和感もない。今はそうした権利フリー曲を「商業歌手が商業的な場で商業的に」歌うことにも制限がある*3のだが、そういう歌うプロ側の垣根も崩れていくときっとおもしろい。
メルトのブレイクの功労者は、間違いなくプロである森晴義であると思う。素性の知れないwアマチュアの楽曲も凄いけど、きちんとしたプロはやっぱり凄いのだ。


2008年は、プロとアマのコラボがたくさん聞ける年になりますように。
まあ、あと一週間あるのでまだ今年の総まとめには早いんだけど(^^;)



PS.
ところで、連休中日なのにあまりミクオリジナル系の新曲が出てこないのは、やはりクリスマス狙いだからだろうか。
明日が天王山かー。

*1:今の音楽権利関連は、やっぱり古賀政男周辺を調べ直さないと本当のところはよくわからないのかもしれないけど、そこまで調べるのは今は面倒

*2:当時は蓄音機

*3:JASRAC未登録曲を歌うこと=JASRACへの反逆と見られかねない、という遠慮もある。また、権利関係が不明確なため、トラブルに巻き込まれるのを嫌う放送曲は間違いなく流さない。CDへの収録もJASRAC関連の制限があるから難しく、ライブで予告して歌うのも難しい。せいぜいが、ライブハウスでゲリラ的に歌うくらいのものだろう。