この数日間で、グッと来たキーワード
家人が大昔会社の先輩に連れていかれた安居酒屋の壁に、酒の名前を書いた札が並んでいたらしい。「ビール」「焼酎」「サワー」とかそういうありがちなドリンクメニューに混じって、
マテニ
というのがあった。カタカナ3文字で「マ・テ・ニ」。
日本酒とか熱燗とかそういうのと並んで。
「あれ……マテニってなんでしょうかね」
「あれは……きっと日本酒だよ。越乃マテニとかそういう」
頼まなかったらしいんだけど、本当のところはたぶん「マティーニ」であろうと思われた。
「ギムレト」とかはなかったらしい。
公衆トイレのラクガキというのは古来からいろいろあるもので、多くはクラスの誰かを貶すものとか、誰かの隠された罪を告発するものとか(なんでトイレに書く)、エロい罵倒とかの類で、稀に名文を発見すると嬉しくなったりする。
で、ここ最近は世相を反映してか、嫌韓朝・反韓朝的なものが増えているようで、真新しいものは概ねそっち方面だった。
その中に、
在日ロッテリア人は国へ帰れ
というのがあった。
最初、「在日コリア人」とか「在日ローデシア人」とか、そういうのかと思ってよくよく確認したのだが、やっぱり在日ロッテリア人と書いてある。言わんとするところはわかる*1んだけど、アメリカとかオーストラアとかローデシアとかに混じって、ロッテリアという国があったりして、とかそういうのを連想。
さらに、マクドナルディアとかあったりして、国民はみんな「ラン・ラン・ルー!」と踊りたくなったりしてるんだろうかとかなんとか想像。
……えー、酒は飲んでも飲まれるな。
あ、そうだ。
重要なキーワードに後藤というのもあった。
江古田コンパの角を入って東長崎にまっすぐ伸びる道がある。
ここは江古田で終電後まで飲んだ後、酔っぱらって家に帰るのに使う裏道なのだけど、この道の途中に後藤がいる。
といっても後藤というのはこの場合人名ではなくて、とあるバイクに付けられた符号。
タイムマンを過ぎてもう少し先、千川通りに出るちょっと手前あたりのマンションの入り口に、YAMAHAのZealが置かれている。もう20年……とは言わないけどそのくらい昔のビンテージバイクで、オーナーによってよく手入れされたピカピカのZealで、ああ、バイク乗りは斯くありたいものだなあと惚れ惚れする。ただ一点を除いては。
タンクに、明朝体のやたら個性的なデカールが貼ってある。その文面が、
後藤の前に後藤なし。
後藤の後に後藤なし。
……うーん。なんか凄くインパクトがあるんだけど、これはなんというか恥ず……きっとオーナーは後藤さんというんだと思うんだけど、後藤という名前はもはやオーナーの名前ではなくてこのZealの固有名称のような感じで、実に堂々としている。濃灰色のタンクに薄灰色のデカールというのも奥ゆかしいが、信号待ちとかでそういうタンクのZealが並んでたら、それを見た人間はどう受け止めたであろうか。
この手のDQN臭いデカールが、改造バイクだとかチョッパーだとかナントカ連合だとかのシールと共にあったら、「まあそういうこともあるかな」で終わっていたと思う。が、Zealというのはそういう手合いのバイクではなく、今や廃れて久しいレーサーレプリカではないオンロードスポーツ(しかもネイキッド)という渋いジャンル。しかも後藤はそのデカールさえ除けば実にピカピカにオリジナルの状態を保っている、生粋のノーマルバイクである。なんで後藤なんだ、というその一点さえ除けば。
少なくとも7年くらいは同じマンションの入り口に停められているので、ワンオーナーなんだろうなー、大事にされてんなー、あのデカールを除けば、と通るたびに思っていた。
先日、ちょっと用事があってその前を通りがかったら、ピカピカのZealは健在だったのだが、デカールがなくなっている。後藤の前に後藤なし。後藤の後に後藤なし。という、あの堂々たる輝かしいちょっとアレなしかしその存在感を強調するデカールがない。
なんということでしょう!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2452721
察するに、タンクの上の燃料補給用の蓋がシーリングされてたところから、タンクにイタズラされたかなんかで、タンク交換を余儀なくされたのではないかと思われる。デカールを剥がした痕跡はなかったし、タンクはピカピカだった(でもたぶん新古品か中古品だろう)。
オーナーは恐らく30代にぼつぼつ突入しようか、もう過ぎたか、という年頃ではないかと想像するのだが*2、ぼちぼちあのデカールは恥ずかしいと思うようになったんだろうか。
なんというか、なかったらないで寂しい気がするというか、あのデカールの写真撮っておけばよかったなあ、とちょっと後悔している。
他人のバイクだけど。
ついでに、もうひとつ。
本日ぐっと来たキーワードというかタイトル。
先輩が同級生
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2819982
好きだった先輩が、今年から同級生www
ちょっと昔の歌謡曲っぽいポップな仕上がりのラブソングなわけだが、春の定番季語wの「花見」「桜」「卒業」「進学」「別れ」「上京」に、「留年して始まる新学期」を加えたのは凄い。しかも、たった6文字でそれとその背景に繋がる諸々を悟らせる言葉のインパクトは凄いと思う。
……先輩、ダブったんだね(つД`)
*2:Zealというのがそもそもそういうバイクだし、もし新車ワンオーナーだったらもっといってるかもしれない