肉と西武線のモーツァルト

北海道の人がわざわざ食いに来るほどうまい焼き肉屋が富士見台にあると聞いて、ご相伴にあずかってきた。
確かにうめえ。安い。東京でも安い。ソフトドリンク100円、デカンタで250円も安いけれども、肉が。もう脂を咀嚼してるかのような柔らかで濃厚な肉が。葱すら旨かった。「月に旨い」と書いて脂と読むのだなあ。*1
その帰り道、西武線の車内にヅラを被ってないモーツァルト♂がいた。
というか、カンタレラがいた、でもいい。
ヴィジュアル系コスプレとはちょっと違う気がしないでもないが、そっち方面。
ライヴ帰りなのだとしたら、化粧落としと衣装替え忘れてますよって感じだし、観客だったのだとしたら、そのカッコのままで出撃したんですか、と聞きたいし。
もしかしたら、何かの罰ゲームだったのかもしれない。
もみあげから前は真っ白なのだが、そこから後ろはなんだか日に焼けて浅黒く、一歩間違えば志村けんのバカ殿みてえだなあ、と本人の美意識に冷や水ぶっかけるような失礼なことが脳裏をよぎった。
とにかく大変気になった。
まあ、僕だって周りから見れば「何あの髪の毛緑の人。キモーイw」と言われたり、「ねえママ、あのおじちゃん髪の毛緑だよ!」と小学生が母親に報告したりされてるかもしれないし、帰省中は行く先々でされてたし、「ガチャピンの人!」と後ろ指指されてるかもしれないし、これはちょっと知恵の付いてきた姪甥達に散々言われてたし、まあ、それはそれでよし。
というか、人のこと言えた義理じゃないよねと思う反面、やっぱりあの見事なまでにコーディネイトされたモーツァルト的ファッションの人の正体が大変気になった。
彼は練馬で降りていったが、モーツァルトの住まいは練馬にあるのだろうか。

*1:よしながふみ著「愛がなくても食っていけます」より。