うごくメモ帳とうつすメイドインワリオと可処分時間争奪戦

本日、12/24はクリスマス・イヴ。
そして、DSiウェアの配信開始日でもある。
DSiを買ったのは今日この日のためw
ということで、さっそく接続してみた。

DSiポイントを買ってみた

まずDSiウェアを購入するためのポイントは、2009年3月までは1000ポイント分がプレゼントされ、さらに追加分は「ポイントを買ってね★」ということになっている。
せっかくなので、もらった1000ポイント分とは別に、もう1000円分買ってみた。
ポイントの充当は、玩具屋・コンビニなどのポイントカード購入、クレジットカードの他に、「携帯から」というのがあった。これはポイント充当料金を携帯電話の通話料に上乗せして、携帯電話通話料金と一緒に支払う、というもの。これを選ぶとQRコードが表示されるので、それを携帯で読み取れば直接充当用のページにジャンプする。そこで支払処理をし、表示されたポイント番号をDSiのポイント充当ページで入力すれば、ポイント購入処理は完了。携帯で購入処理をして表示されたポイント番号と、それを認識してのポイント充当処理は、間髪を入れずにスムーズに行えた。
携帯ゲーム機のユーザーが携帯ゲームを使うとき、それは机の前にはいないとき。だけど、携帯電話を持ち歩かない人はほぼいないのでw、「欲しいときが買い時」「商機を逸しない」という意味では、非常にうまいことシームレスなペイシステムになってるな、と思った。


本日配信のDSiウェアは、完全に無料のうごくメモ帳*1と、200円、500円、800円以上のソフトが何種類か。詳しいところは任天堂のサイトでも見て貰うとして、「発売済みDSソフトのお試し版」的なものと、「小ネタ過ぎるゲーム」が混在している感じ。
まあ、こういう新機能が盛り込まれてきたとき、絶対にハズレがないのはメイドインワリオなのでw、今回も「うつすメイドインワリオ(500円)」を真っ先にDLしておく。
ソフトのDLは、ファイルを選んで実行で、DL中はマリオたちが瓶に水を汲み入れるアニメーションが流れる。Wiiのショッピングチャンネルでソフトを購入する場合は、でかマリオがコインを集めまくるというアニメーションが表示されるが、あれと一緒で「あとどのくらい」という目安が表示される。満杯になったらDL完了。

うごくメモ帳を弄ってみた

さて、まずは「うごくメモ帳」。
これは手書きメモソフトであると同時に、パラパラ漫画作成ソフトである……と紹介されていたが。なんちゅうか、そういうレベルを越えている気がする。あくまで、DSiのちっちゃい画面の中での処理が中心なので、それはチープなものでしかないのだけど、これは静止画を中心とした動画オーサリングツールだと思う。はっきり言って、扱う静止画のピクセル数が少ないとか、ドローツールが貧弱だということを除けば、ソースネクストあたりが出してる動画オーサリングツールとか、ニコニコ動画のNMMあたりと、機能的には遜色ない気がする*2
タッチペンによる手書き入力の他に、やっぱり当然だけど内/外のカメラからの画像取り込みができる。これは、綺麗なカラー写真としてではなく、白黒(或いは赤白や青白)の2値化された画像として撮影されるのだが、コントラスト重視とか、アウトラインのみ強調してコミカライズとか、ちょっとしたタッチの変化を付けて、写真をイラストっぽく取り込むことができる。カラー写真として扱わないのは、画像データが大きくなりすぎるからだろう。
メモをたくさん保存するなら、1個あたりのデータは小さいに越したことはないし、デジカメの画素数を犠牲にした分、逆にとことんチープにしたようだ。どうせ、完成したうごくメモをアップロードしたりDLしたりするときに、画質がよくなればその分データサイズは大きくなってしまう。どうせ小ネタだからデータサイズは小さいほうがいい、と割り切ってる様子。
このへん、つい最近見てきた「チップチューン」の理念に通じるものを感じる。
また、マイクからごく短い秒数の音声を録音することができるのだが、これはBGMとされる主音声1種の他に、SE相当の副音声が3種までを、DSi本体のマイクから拾って録音する。もちろん、音質も大したことはないレベルだけれど、このオモチャのような、チップチューンのような、トイカメラのような動画オーサリングツールには、この程度のもので十分と言える。
そうしてできあがったうごくメモは、実質的に「プチ動画」と言えるもの。ローカル環境では本体とSDカード、さらにGIF画像化したものが保存できるようだ。それらは、カレンダーや、カテゴリ分けしたお気に入りから見ることができる。
さらにそれをはてなと連動した「うごメモはてな」にアップロードして公開でき、それを他のユーザー(DSiユーザーはもちろん、携帯やPCなどからも)が閲覧し、面白ければお気に入りに入れ(はてななので「スター」が付く)、問題があるメモは通報される、という仕組み。
実はこれはYoutubeニコニコ動画的なことを、もっとずっとチープにしてやってるんじゃないかな、と思われる。ニコ動の流れるコメントや、Youtubeのようなコメントがどかどか出るわけじゃないから、自由度はもっとずっと低いけれども、★の数から人気不人気はわかるし、この低機能な動画オーサリングツールを無駄遣いするバカ神が出てくれば、ミニマムなYoutube/ニコ動のような、ちょっとした遊び場としては機能するのではないか。
写真撮影したものや、マイクからの音声取り込み機能を入れたことで、著作権違反画像が入ってくる可能性は残ったけれども*3、独自制作された動画を取り込むことを前提に、また侵害があっても被害が最少になるように、という配慮はされている様子。*4
そんなわけで、youtubeやニコ動と競合する第三極になる……というところまで行くとはおよそ思えないけどw、無償ソフト+無償サイトで遊べる「動画遊び」としては必要最低限の条件は揃えているように思う。
いろいろ羨ましいw
動画オーサリングツールは、NMMやWMMに慣れた人なら違和感なく使いこなせるレベルだが、そうしたオーサリングツールを使った経験がまったくない人には、「いろいろ面倒くさそう」に見えてくるかもしれない。
いずれ、スタークリエイターが出てくるようになったら、また面白い文化が醸成されるのではないかと思う。
そのへん、今後に期待。

うつすメイドインワリオで遊んでみた

今、DSiを持ってる人は、今すぐうつすメイドインワリオを落とせ! 入れろ! 使え! 遊べ! と、最初に結論を言っておく。
内容の概要はと言えばいつものメイドインワリオシリーズのノリである、「なにをすべきかを、画面上の動画から瞬時に理解して、すべき動作を見つけ出す」というものが踏襲されている。相変わらずの瞬間芸的力業ゲームが多くて飽きない。それはまあいいんだ。
今回のメイドインワリオは、「遊園地(テーマパーク)」ということになっていて、まずDSiは自分の顔が写るように平たい机の上などに置く。
最初にDSiの内側のカメラでプレイヤーの顔と手の記念撮影がある。これは、後々「顔」と「手」でプレイさせるための入力用。
そう。これはその昔、PS2でKonisikiがCMやってた、「EYE TOY」とほぼ同じ遊び方をするものなのだった。
EYE TOYは専用デジカメで入力された映像をPS2で処理してテレビモニタ上に映し出し、全身を使って身体でプレイするという発想のものだったが、うつすメイドインワリオは、DSi本体のみ+プレイヤーの顔と手*5でそれをしろ、と言われる。
というか、数年前、あんな大がかりで、しかもあまりパッとしなかった遊び方が、DSi一台にコンパクトに収められ、しかも小ネタのミニゲームを山ほどやらされるwように生まれ変わった、という感じ。
このDSiのカメラを使ったゲームというのは絶対に出てくるだろうと思ってたけど、これはSONY戦士の人たちが相当悔しがるのではなかろうか。
もちろん、画質の点で言えばPS2のEYE TOYのほうが全然いい。ここでもDSiウェアレベルでやってることは大変にチープな画質だが、遊び方・遊ばせ方としては、画質はあまり要求されない。そもそもメイドインワリオシリーズは、毎回グラフィックも投げやり系だw


で、一応1ゲームクリアしてみたら、最後にやたらクリアな動画が出た。
ゲーム中、プレイヤーはDSiに向かって頭を振ったり手を振ったり、画面に近付けと言われたり、いろいろなポーズを取らされるわけなのだが、それをDSiがずーっと撮影してやがるwww しかも動画でwwwwww
「あー、終わった終わった」とクリアして「じゃあ、これが記念写真だ」などと言うので何が出るのかと思っていたら、自分のマヌケ顔でくねくねしたプレイの様子が、それまでのチープさを全て吹き飛ばすクリアな動画でループ再生されたorz
うわー、ヒデーことするゲームだなwwww


そんなわけで、うつすメイドインワリオは500円なら全然惜しくないというか元が取れるというか、誰かにやらせてニヨニヨしたいゲームだと思う。


可処分時間争奪戦

ここでも任天堂DSi(のカメラなどの入力系)に込めているのは、「コミュニティ、コミュニケーションを、馬鹿馬鹿しさでアシストする」という愛すべきバカ補助ツールということなのだなあ、と思われた。
DSiを「DS、またはDS Lite」として使ってると、今まで通りのスタンドアローンな携帯ゲーム機、或いは携帯対戦ゲーム機の域を出ない。
が、カメラ関連に絡んだものやDSiウェアを使ってみると、途端にDSiは以前のDS/DSLと互換性があるが、まったく別の遊び方をする機器なのではないか、という印象に変わってくる。


最近、バンダイナムコタカラトミーなどから、「大人が遊ぶためのミニバカゲー」の類や、「持ち歩いて誰かにやらせて一緒に笑う」系のオモチャが幾つか出ている。無限ぷちぷちや無限枝豆、つっつき箱、人生銀行*6、ヘリQなどがこのへんに入る。
こうした「いい年をした大人が、顔付き合わせてワハハと笑うためのプチゲーム」または、1分よりさらに短いナノ単位wの可処分時間(もしかしたら秒単位の)を消費するためのコミュニケーション・アシストという地平が拓かれつつあるということかもしれない。


現代では長編小説は流行らなくなってきていて、携帯小説や数頁程度の短いものが台頭してきつつある。一文あたりの量すら、流麗な長文より、状況理解をしやすい短文のほうが読まれやすかったりする。
この辺りも、「忙しすぎてまとまった長い可処分時間がない」人々の、寸断された細分化された可処分時間を取り込めるか否か、というところと繋がっている。昨日の長文エントリでも触れたように、「まとまった時間を拘束されるテレビ、新聞」が下火になって、「短い時間でも細切れでも好きな時間で消費できるネット、携帯、ゲーム」がそれに取って代わっているのは、消費者の可処分時間争奪戦の見地から見れば、当然と言えば当然ということだろうと思う。
任天堂の携帯ゲーム機が可処分時間奪取機になっていることについては、岩田社長以下任天堂は明確に意識した上でそうしている、というようなことが「社長が訊く」などからも窺える。


岩田任天堂になってからのブルーオーシャン戦略、ネットインフラの活用と融合、ゲームのシンプル化、ゲーム機の可能性の拡張・ユーザー層の拡大、インフラ維持・メンテの省力化、細分化された可処分時間の奪取などなど、そのへんの戦略の多くは実に理に適っている。
うーん、見習うべき点、そうそうそうそう、と賛同すべき点などなど、ホントに多い。超-1/遺伝記システムは「掛けようにもお金がないので、ありものをどうにかする」で全て賄ってきているのだけど(^^;)、余力があったりとか、ああいったインフラを援用する下地があったら、もっとあれこれしたいなあ、こんなことができるなあ、というアイデアばかりが湧いて出る。*7
しかしホントにまったくもって、なんとも羨ましい。

*1:DSi発売と同時に配信されていたDSiブラウザも無料だった。

*2:褒めすぎだとは思うけど、DSiでちょっと弄るなら、この程度できれば十分。

*3:それは通報によって除外される仕組みとしたようだ

*4:もちろん、想定の斜め上を開発していくのが、こうした「例外の地平を拓く」人々なので、今後どういう想定外が出てくるかは不明だけど。

*5:片手だけ入力するが、ゲーム中では両手も使わされる

*6:これは持ち歩かないけどw

*7:ゲームはいろいろ思うところあってしんどかったけど、いつかまた機会があったら「あれもやりたいこれもやりたいこういうことやったらきっとおもろい」というのを、提案したいものだと思った。アイデアあるし。まあ、機会があったら、ということになるけど。