怪癒

現在のメインの仕事は幾つかの仕事の仕込みと、主に「恐怖箱 怪癒」。
怪癒は昨年2月に世に出た雨宮淳司さんの「怪医」の第二作に当たる。
怪医と同様、そっち系の実話怪談を中心に書かれているのだけど……。
うーん。読み進めるのがもったいない。
実話怪談は仕事だから読む、というと大変叱られそうなんだけど、できれば極力怖いものは遠ざけたいというのは、僕の中では以前から変わらない。
また、仕事柄、本に仕上がるまでの原稿というのは何度となく繰り返して読むのだが、あまり内容に引き込まれてしまうというのは職務上はよろしくない。つり込まれて誤字脱字や些細なミスなどを見落としがちになってしまうからだ。
その意味で、編集稼業的には「魅せられる原稿」というものほど怖いものはない。
怪談というのは、人によってはタイトルを聞いただけでオチを看破してしまったり、題材を聞いただけで幾つかの展開経緯を予想できてしまったりする。そのくらい、重度のジャンキーが多い世界でもあるので、これまで通り、内容については一切触れないし事前にも事後にも紹介することはない。買って読んで脳内に像を結んで、その事の次第の重大さに打ちのめされるのが、怪談という「読者によって完成される読み物」の醍醐味でもあろうかと思うので。


しかしこれは、すげえ。
やべえ、こええ。いろんな意味で。
そして酷く惹かれる。
早く誰かに見せてえ。


超-1から出てきた人々は、決して多産家ばかりではないのだけれど、いずれもなんか「そういうタイミングと、そういう役目と」を持って、現れたのかなあ、とか思わなくもない。
むしろ、もう僕は書かなくてもいいよね、ね? とか思うw
つくづく編集者冥利に尽きるなあ、と思うのはこういうとき。