テポドン対策

青森は羽柴秀吉が守る!

羽柴秀吉さんが〝ミサイル基地〟設置 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090404/trd0904040153007-n1.htm

 「テポドン2号が飛んできたら迎撃する」。派手な選挙パフォーマンスで知られる青森県五所川原市の会社社長、羽柴秀吉さんが私有地に建設した“ミサイル基地”から北の空をにらみつけた=写真・ロイター。“ミサイル”は全部で14基。3500万円をかけて設置したという。

羽柴さん、あいかわらずパネェっす!
「国を挙げての心配事に乗じたふざけたパフォーマンス」という真面目なお叱りはあろうけれども、この人のこういう仕事wっぷりは実は嫌いじゃない。
真面目な話をするなら、この「ミサイル」は、私有地に3500万掛けて作られた、とある。地方の建設業は構造改革の煽りを受けて全般に仕事が減っているわけだが、こんな「ミサイル」であっても3500万掛けて設置すれば、それを作る仕事というのは発生するわけで、この設置工事に従事した地元の下請け業者などに3500万円分の経済効果が発生する。
またこれに注目するニュースが紹介されれば、地元の活性化にも結びつくわけで、東国原宮崎県知事がしているのと同様の地元活性効果はあるかもしれない。
3500万円というのは結構凄い金額に見えるけど、このニュースが報道を通じて写真付き、地名付きであちこちに配信された場合の広告効果を考えれば、そんなに高いものでもないかもしれない。広告枠を買った場合、広告制作費は広告会社に、広告代金もまた広告代理店に支払われるのであって、地元には落ちない。しかし、このやり方の場合、工事費用は地元に落ちて地元の活性化に結びつき、宣伝に相当する部分はタダでできる。
「成金で変人」という誹りwに当人が耐えているのか、気にしてないのか、喜んでるのかは不明だけど、この人の徹底して「地元にお金を落とす」的な態度は、なんとなくカーネギーに通じるものを感じて微笑ましい。*1


さて。
羽柴秀吉が万全の備えと地元活性化に尽力しているその頃、政権交替を狙い明日の日本を担おうとしている民主党は!

時事ドットコム:北ミサイルに備え対策室=民主
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009040300739
民主党は3日、北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射に備え、「北朝鮮飛翔体発射対策室」(室長・平野博文幹事長代理)を設置した。鳩山由紀夫幹事長は記者会見で「万一発射されれば、迅速に党としての対応を考える」と述べた。

……対応を考えるのは、「発射されてから」ですってさ。
撃たれてから腰を上げるんじゃ、何もかも遅すぎるわけで。
政府なんか遺憾の意の表明準備すら済ませてるぞw
対応が空回りしていても、事前に対策を実行した分だけ*2羽柴秀吉のほうがマシに見えるわw


さて、日本によるテポドン迎撃については、麻生総理があちこち駆け回って根回しをしているようで、北朝鮮民主党社民党と国内の市民団体wを除けば、米欧各国に加えて六者協議の参加国である中露からも迎撃と安保理上提の合意を取り付けている。あまり報道されていないようだけど、こういうのを「効果のある外交努力」っていうんじゃないかなと思うのだった。
単純に物理攻撃を防御するしないという話以外に、「発射は阻止できないが、相手が確実に成功するとも失敗するとも言えない場合」に、どう転んでも対応できるように最善を尽くして準備をしておくことを、人事を尽くして天命を待つというのでえあって、何の準備もせずに「非難」だけをして、「発射されたら対応を考える」というおっとりしたこと言ってて、民主党は大丈夫なんだろうか。まあ、絶対にお鉢が回ってくるはずがないという安心感があってこそなんだろうけど。


ところで、民主党の「北朝鮮飛翔体発射対策室」の室長に名前が挙がっている「平野博文幹事長代理」が、安全保障関連及びテポドンに何らかの知識がある人物なのかどうかと思って、当人の政策一覧を見てみた。
http://www.hhirano.jp/policytop/
でもこの人、安全保障関連の下支えになるような知識、ほとんどない人ぽい。こりゃダメだ。


週刊オブイェクトさん経由の借用で、「実際にロケット(ミサイル)の打ち上げに失敗するとどうなっちゃうのか」映像。
アメリカ・デルタロケット。燃料と破片が地上に降り注いでます。

中国・長征ロケット。何か凄いことに。

ロシア・ソユーズロケット。

日本は固体/液水ロケットでそれなりの技術蓄積があり、独自に衛星を打ち上げる能力も持っていることから、米露や弾道弾を改造してソユーズ型宇宙船を打ち上げた中国などに次いで、宇宙開発先進国と言っていいだろうと思う。
日本も多段ロケット打ち上げでは、先のH2Aなど、何度も失敗を重ねてきている。テポドンも2度目(前回)は失敗して途中自爆させてるし。
技術蓄積を重ねれば、そうした失敗は減っていくとも言えるけれども、「前回と違う改良」を加えると、新しい未知の不具合が発生する確率は高まるわけで、制御不能な失敗からはやはり逃れられない。
中露の場合、「失敗して地上に被害が出たからって、なんだってんだ。文句はないよな?」というw感じで、国が国民に対して酷く強く出る国柄だからあまり問題にならなかったし、日米や欧州の場合は、打ち上げは海に向けて行われるのが通例だ。
北朝鮮の場合、打ち上げは確かに海に向けられているのだろうが、その先には日本があるわけで。


日本を目がけて落下してくる可能性は、「打ち上げに失敗した場合」か、「想定以上に早い段階で落下コースに入ってきた場合」か。
関連報道では「現在のミサイル防衛システムでは、迎撃は不可能」というのを嬉々として流している論調が多いようなんだけど、実は逆転の発想で対応は可能になる。
例えば、「打ち上げ前に打ち上げ施設を破壊する」とか。そこまで言わないまでも「上昇中に破壊する」とか。
まあ、これは専守防衛の範疇を超えることになるため、実現には憲法改正が必要になるのかもしれない。


二次大戦後に制定された現在の日本国憲法は、当時の日本から外征/侵略能力を剥奪する意味も含めて、「先制攻撃の機会」が剥奪されている。これに基づいた現在の専守防衛構想は、「敵が来るときは、海を渡ってくるしかない」という、1945年当時の思想に基づいている。確かに上陸戦、上陸部隊が日本に来るためには、渡海能力が必要なのは確か。飛行機で来るにしたって、防空圏もあるから、多少のタイムラグはある。


が、ミサイルなどを用いた、「着上陸をしない戦略的攻撃」の場合、状況開始から数分で決してしまい、避難も邀撃も難しくなる。今回の北朝鮮のように、事前通告を何日も前からしてくれるのは、親切すぎるくらい。
こうした事態に普段から事前に備え対抗しようと思ったら、結局のところ「法的な制限」を見直すしかないのでは、と。
今後、「対応策は取れたのに、法的制限でそれができなかった」ということになれば、保守的というかタカ派というか右傾的というか、そういう声が高まる可能性がある。


「日本が譲歩すれば回避できる」
という思想は、憲法九条信奉者など左傾的な市民運動団体や、それらを支持母体としている野党などに多く見られるのだけれど、戦争や戦争状態というのは、意見の不一致を解決するために、手段を選ばないという決断を対立する勢力の一方が選ぶだけで、一方的に始めることができる。
こちらが喧嘩をしたくないと思っているから、相手も同じ考えのはずだというのは甘えで、こちらがどう思っていようが「相手に譲歩を強いても行う」という相手の考えを変えさせるのは難しい。


譲歩と協調、対話では事態を回避できない以上、そういう考え方が恐らく今後支配的になっていく可能性が高い。

*1:誉めすぎ。

*2:それが便乗でもw