今回の衆院選の選挙分析
衆院選の選挙分析について、なかなかいいのが出回っている。
オリジナルソースは2ちゃんねる市況板のウォンを看取るスレらしい。
【KRW】ウォンを看取るスレ№1419【至急ウォン断化】
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/livemarket2/1252253186/60-85
が、よくできているということで、あちこちに転載拡散中なので、見かけた人も多いかも。
今回の衆院選の選挙分析 〜マスコミとネットは影響したか
http://www.google.com/search?hl=ja&lr=lang_ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E4%BB%8A%E5%9B%9E%E3%81%AE%E8%A1%86%E9%99%A2%E9%81%B8%E3%81%AE%E9%81%B8%E6%8C%99%E5%88%86%E6%9E%90+%EF%BD%9E%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%81%A8%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AF%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%8B&num=50
たむたむの自民党VS民主党:たむたむのプロフィール - livedoor Blog(ブログ)
http://tamtam.livedoor.biz/archives/50134508.html
同じ文書が、自民党政務調査会調査役の田村重信氏のブログなどにも貼られている。
で、これは結構量のあるテキストなのだけど、公開されている誰でも検証可能な数値データからいろいろな考察を導きだしていて大変興味深い。
まず、一般的なマスコミによる論調、45回衆院選の総括を大雑把にまとめてみるとこうなる。
まあ、郵政選挙と比べて議席規模が逆転しているので、そう見えるのも致し方ない。
が、この選挙分析は「案外そうでもない」ということを示唆している。
これまたざっくりと説明すると、自民・民主の議席数の差は
- 自民119:308民主
と、およそ1:3の開きがあるのだが、実際の小選挙区・比例区の得票数/得票率の差で言うと、
- 自民4:5民主*1
で、実は民主は自民の1.2倍程度しか上回っていない。
国民の4割は今も自民を支持しているわけで、民主を支持しているのは半数でしかない。
だけど、小選挙区制は1選挙区に1人しか当選者が出ないので、2位以下は全て死票になる。
東京10区は1位当選の民主候補が、2位落選の自民候補*2とおよそ2000票差くらいなのだが、この票差は自民候補のほぼ1.2倍相当で、全体の得票差の割合とも合致している。
もちろん、3位以下の候補の得票も死票になる。
報道では「接戦を制して民主候補が僅差で1位当選」というのを、デッドヒートの末の圧勝、のように報じている。もちろん、小選挙区制だから2位以下は切り捨てなんだけど、2位以下にまったく支持が集まらなかった、というわけでもなかったわけだ。
4年前の郵政選挙ではこれと逆のことが起きて自民が圧勝したが、このときも自民と民主の票差はそれほど大きかったわけではないらしい。*3
とすると、「国民の大多数が民主を支持した」「自民は国民の大多数にNOを突きつけられた」という報道による選挙分析は、実はそんなに正しくもないのでは? ということになる。
……というのが、この選挙分析文書の骨子。
他に、「世論調査と実際の投票行動の差」などについても触れられていておもしろく読み応えもあるので一読をお奨め。
なるほど、と納得できるところも多いのと、信頼できる上司からの内部情報wなどに頼らなくても、公開されている情報を比較していくだけで、情緒報道や印象操作に寄らない色々なことが見えてくる。
大変ためになりました。
追記。
たむたむの自民党VS民主党:自民党の総選挙結果分析 - livedoor Blog(ブログ)
http://tamtam.livedoor.biz/archives/51248492.html
自民党の公報掲載の選挙分析で、こちらも概ね上述の選挙分析と近い分析を行っている。上述の選挙分析が自民党内部からのリーク、と思う人もいそうだけど、ベースとなっている得票数、投票率、議席数などは、各種マスコミ(TV、新聞、週刊誌)の他、選挙結果として選挙管理委員会がまとめたものと同じで、自民党が特別に入手した内部資料、的な説明があるわけでもない。
出来うるならば、このへんはグラフにすると得票率と獲得議席の差などがはっきりわかっていいのかも。
上述の分析になく自民党の分析にあるものでは、「惜敗率の比較」が興味を引かれた。
- 70%以上の惜敗は118選挙区(敗れた選挙区の半数以上)
- 90%以上の惜敗は24選挙区(全体の1割超)
- 30%台での敗戦は10選挙区
「自民党は全ての有権者に拒絶されて失意のうちに負けた」という印象報道は正しいとは言えず、これらの惜敗率や得票数から見ると、「約1割の有権者*4」の自民から民主への移動が、これらの敗戦を招いたと言える。
日本では、「テレビの話を鵜呑みにする層」と言われる人々が、全体の30%ほどいるのだそう。これは、テレビ・新聞のみを情報源としていて、それ以外の情報源*5を持たず、組織化されておらず、マス=コミニュケーションの影響を受けやすい人々の割合だとかで、CMを見ると消費欲が書き立てられる人、みのもんたに流されやすい人wの割合と一致する。
概ねこの層以外がそれぞれ固定で、この30%の層がそれぞれ動いたのだと考えると、第二椿事件とも言える「マスコミによる民主党擁護報道キャンペーンの影響」がどの程度に及んだのかが推察できる。